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本当に知りたい情報は感染者数ではない

中国武漢を発祥とする新型コロナウイルス感染症(=COVID19)の収束が見えてきません。東京都では連日のように「感染者数」が伸びています。6月末からしばらく100人台が続いたものの、8日には75人で一時的に減り、9日には224人、10日には243人となりました。

「感染者」の数字が伸びた背景には2つの要素があるようです。1つ目が検査数が飛躍的に伸びていることです。非発症の感染者はホテルなどで隔離することで、医療リソースの圧迫を避けられる体制が整っているようです。2つ目は感染症拡大の危険性が高い新宿や池袋の繁華街を営む集団に対して集中的に行われている事情があるようです。

危険性の高い集団を中心として検査数を伸ばせば、感染者が多く観測されるのは当然です。

西村経済再生担当大臣や小池都知事は伸びている「感染者数」の内容について説明を続けているようです。しかし両氏の解説はあまり伝わっていません。マスコミ各社の見出しは「感染者数〇〇人」のような書き方になっているからです。記事の内容を横断的に読めば先述した背景の部分も書いてあります。しかし、SNSで情報を粗く収集している人は記事の内容まで読みません。

感染経路を追う重要性は認識しています。感染者数はそれを分析する専門家にとっては重要な情報なのでしょう。

一方で一般大衆が本当に知りたいのは経済活動を停止しなければならないのかの判断軸です。感染者が何人になったかという数字から、政府や東京都がどう判断するのかを知りたいのです。西村大臣や小池都知事がこの数字をどう解釈しているかこそ重要なのです。

なぜ知りたい情報が伝わってこないのでしょうか。それはある意味で小池都知事の自業自得だと私は思っています。小池都知事は緊急事態宣言が発令される頃から「ロックダウンの必要が生じる」など過剰に危機感を煽る発言を繰り返していました。東京都は緊急事態宣言が解除された後も「東京アラート」という演出に代表されるように慎重過ぎる対応をしました。

私も以前は緊急事態宣言発令当初は小池都知事程の煽りは有効だと考えていました。それは正常性バイアスに陥ってしまう人が一定数いるからです。刺激的な言葉で不安を煽るのは有効だと考えていました。

この考えは今となっては間違いだと分かりました。私達は不安を煽られすぎたのです。感染者数の推移に敏感になってしまいました。結果として、マスコミは今でも大衆が反応しやすい見出しをつけて報道します。

マスコミはある意味で大衆を写したものだと思っています。短絡的な反応をしないよう心がけたいものです。

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