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テレワークを急に導入しようとしても無理です

連日でテレワークの話題で恐縮です。気になる記事があったものでして。

https://www.mag2.com/p/money/893745

ネットでは、「学生が今やるべきことは、就職したい企業の●●●ウイルスタイプを調べること」と、在宅勤務できない企業=リスク判断できない企業と見る動きや、新型●●での会社の対応がブラックかどうかの判断材料になりそうだとする声が多く上がっている。

※noteに注釈が出てしまうので一部伏せ字にしました。

今この状況でテレワーク(在宅勤務)できない企業がブラック企業であると繋げるのは早計です。リスクに対する準備が十分に出来てないのはその通りです。ただし、それが即ちブラック企業であるかは判断しきれません。

テレワークは急に実現できるものではありません。数日程度ならもしかしたら何とかなるかもしれません。ただし、昨今の事情でテレワークを行おうとすると、終わりの見えない戦いになります。長期戦におけるテレワークの体制ができている企業は割と限られていると思います。

以降、業務内容的にテレワークが可能な企業である前提で進めます。

コミュニケーション改革が必要

テレワークで最も重要となってくるのはコミュニケーションです。

この度の流れでいち早く全員テレワークに踏み切ったGMOがブログで状況を報告していました。

この記事によると、コミュニケーションを伴う作業については半数の人が生産性が下がったと回答しています。GMOは東京オリンピックを見越して以前から直ぐにこの体制へ移行できるよう準備をしていたそうです。そのGMOですら、コミュニケーションに課題を抱えているのが現状です。

直接的な対話を極力排除せよ

具体的にどの様な場面で困るかは私の経験を元に想像を加えて書こうと思います。

最も困るのはすぐに社内内線を使ってしまう人だと思います。内線や対話など同期的なコミュニケーションは話しかける側としてはとても効率の良いコミュニケーションです。すぐに話しかけたり、内線をしてしまうのが楽というのはよく分かります。

しかし内線をしたり話しかけたりするコミュニケーションの多くは、実はチャットツール(Slackを想定)などで済む内容の方が多いです。普段から対話でのコミュニケーションをしがちな人にとっては、テレワークで生産性が下がったと感じやすいと思います。

テレワークで生産性が下がったと感じにくくするには、普段からチャットなどの非同期コミュニケーションに慣れておく必要があります。これは個人が頑張って達成できるものではありません。組織的に号令をかけて文化を醸成するものです。

慣れるまでは苦労すると思います。しかし、慣れたら何でもないですし、慣れない人は一生慣れないでしょう。

ちなみに内線ないし話しかける行為は「時間泥棒」です。堀江貴文さんが「電話は時間泥棒」とよく仰ってますが、私もその通りだと思います。話しかける側にとっては効率のよいコミュニケーションですが、話しかけられる側にとっては効率の悪いコミュニケーションです。

話しかけられるのがどのように効率が悪いのでしょうか。たとえば話しかけられて数十秒かかる話は、文章であれば数秒で済みます。さらに、話しかけられると業務を中断させられるので、中断前と同じテンポで業務を再開するのにも時間がかかります。

対話でのコミュニケーションに頼っている人が不便と感じる一方で、実は誰かの生産性が上がっているかもしれません。どのように均衡するかは総合的に見て評価する必要があると思います。

社内インフラ改革が必要

テレワークを導入するにあたり、VPN(Virtual Private Network)の設定は最低限として必要かと思います。VPNについては検索して一番上に出てきたNTTのページを貼っておきます。

VPN接続とは、インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できる専用ネットワークです。

企業内でのコミュニケーションは極秘の情報で溢れています。競争優位性を保つための企業秘密もそうですし、顧客や従業員の個人情報もそうです。これらの情報を各家庭や公共Wi-Fiを通じて取り扱うのは危険です。VPNで社外回線から比較的安全に繋げられる状態でないとなりません。

「テレワークが出来ないからブラック」ではない件において、こちらの問題の方が大きいかと思います。VPNの設定には専門家の知見が必要です。そこにあえて投資していない企業はありえます。それはただの経営判断なので、VPNを設定しないから即ちブラックだとは一概には言えません。

更にはこの点においても企業文化の醸成が必要になります。社外で仕事をするときはVPN経由で行うという常識が必要です。

意外と準備が必要なんです

文脈的に省略してましたが、「会議」においても改革が必要です。本当に必要な会議だけが効率よく設定される文化や組織づくりが必要です。

VPNは予算をかけて整えるだけなので、今からでも何とかなると思います。しかし、組織的なテレワークで大きな壁になるのはコミュニケーションであり、文化の醸成です。

「昨今の諸々で大変だから明日から全員テレワークです」とするのは現実的ではないでしょう。普段からテレワークに適用しやすいコミュニケーション文化や、業務効率化がなされていなければなりません。定期的に訓練をして慣れておく必要もあると思います。

テレワークは一朝一夕では成し遂げられません。危機的状況においてテレワークが可能な企業は良い企業だと思いますが、不可能な企業が必ずしも悪い企業ではないとは申しておきたいと思います。

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