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質問取りがようやくオンライン化、心の内では「言い出しっぺの法則」を期待してしまっている

言い出しっぺの法則という考え方があります。最初に言い出した者に責任と行動が求められる考え方です。割とありがちなのが飲み会の設定でしょうか。特定の集団で盃を交わしたいだけなのにも関わらず、それを言い出すと幹事という役割まで生じてしまいます。飲み会くらいの軽いものであれば構いませんが、業務でこの法則を適用されると仕事が増えるだけなので厄介です。そこを配慮してもらえる社風であればよいのですが。

類似する言葉に「先ず隗より始めよ」という諺があります。大きな計画は手近なところから着手するのが良いという意味が込められています。由来は中国の故事です。隗とは郭隗という人物であり、優秀な人を集めたければ、郭隗のような凡庸な人物を採用するところから始めよ、さすれば自ずとそれより優秀な人材が集まるという話に由来します。

今風に表現すると「ミニマムスタート」でしょうか。まず低リスクで小規模な状態で試してみて、それを少しずつ大きくしたり広げたりする手法です。ミニマムとして手っ取り早いのが発案者を中心とした規模で始めるというものでしょう。それが言い出しっぺの法則に転じてしまっている気もします。

言い出しっぺの法則は個人的にはあまり好きではありません。これを適用されると発言者が自らの首を絞めることになり、発言が萎縮してしまうからです。発想は自由闊達な意見交換が無ければ生まれてきません。何でもかんでも発案者に行動まで求めるのは如何かという気がしています。

しかしながら「言い出しっぺの法則」は感情として私を含めた少なからぬ人の胸中に存在すると思います。その内容が面倒であればあるほど、「じゃあお前やっといて」となりかねません。また、行動を伴っていない言葉は空虚に聞こえてしまうものです。

1月21日の衆議院運営委員会理事会で官僚による国会議員への「質問取り」について対面形式をできる限り自粛するという合意を取り付けたそうです。これは感染症対策の側面が大きいですが、長時間労働化しやすい国会運営を是正する狙いもあるようです。国民民主党が対面での質問取りを原則禁止としたのを発端として、与党である自由民主党が乗る形で実現したようです。

感染症対策が謳われてから1年が経とうとしている今となってようやく実現しました。働き方改革という点では何年越しでしょうか。多分にして「今更感」が漂います。今まで働き方改革や、テレワークの推進を民間企業に勧めておきながら、立法府はオンライン化が進んでいなかったのです。

何かと制限や変革を求められている1人の国民の感情としては、国に対して言い出しっぺの法則を内心で期待しています。議員ないし官僚の皆さんにおいては、手元から率先して理想的な働き方とやらを実践していただきたいものです。その点において国民民主党の行動は称賛に値すると思います。この調子で居眠りが生じてしまうような国会運営が改善されれば、世の中はもっと効率化して生産性が上がるのではないでしょうか。

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