デール・カーネギー著『人を動かす』
どうも、読書家のヒデです。
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さて、今回は創元社さんから2016年に出版された、デール・カーネギーさんの「人を動かす」をご紹介したいと思いますが、この2016年に出版されたのは文庫版の方で、原書自体は1936年、90年くらい前に出版された書籍で、そこから全世界で1500万部以上売れるている現代の古典とも言われている名著なんです。
著者のデール・カーネギーさんは弁論術を研究していて、いろんな講演会だったり、企業の顧問として社員の教育をしたりしていたんです。その中でそれに適したテキストブックを探したんですが、その時代には、そういった書籍というのが一切出版されていなかったんですよ。
そこで、デール・カーネギーさんは自分で書くことを決心したんですよ。
そこから彼は新聞や雑誌、裁判記録をはじめ、心理学書だったり哲学書、そういった書籍を片っ端から調べあげて、さらにはたくさんの各界の著名人を訪ねてはインタビューをして話を聞いたんです。
それから15年後についに「この人を動かす」と言う書籍が完成したんです。
この書籍ですね、たくさんの方のエピソードや名言が載っていてテンポよく読めて、めちゃくちゃ読みやすいんですけど、本書は「人を動かす三原則」から始まって「人に好かれる6原則」「人を説得する12原則」「人を変える9原則」となんと30原則もあるので、怒られるかもしれませんが、私なりにギュギュッとまとめると、最初の3原則に集約されているんではないかなと思うんですよね。ですので、この三原則をご紹介していきたいなと思います。
盗人にも5分の理を認める
これは、泥棒にも泥棒なりの理屈があるってことなんですよ。悪いことをする人にもその人なりの事情があって、仕方なくやってしまったかもしれませんよね。家族が病気で倒れていてお金が必要なんだけど、働き口も失ってしまって、それでしかたなくやってしまった。そういうこともかもしれませんよね。裁判だと情状酌量って言ったりしますよね。争い事が起きる時は基本的には自分が正しいと思ってることってあるじゃないですか。いつだって正義と正義のぶつかり合いだったりしますよね。
本書はそういったエピソードから始まっていくんですが、最初に出てくるエピソードが凶悪な殺人犯で、2丁拳銃のクローレと言う男のエピソードなんです。彼は警官を殺めたうえに、彼を捕まえようとしてくる警官をさらに殺めて、たくさんの人を殺して大量殺人犯になってしまうんですよ。
はじまりは、恋人と車の中で怪しげな行為ふけっていたんです。それを警官に「おい何してるんだ、免許証を見せろ」と言われて、自分の身を守るために警官を撃ってしまったんですよ。そこから彼の逃走劇が始まって、捕まえようとしてくる警官を次々に射殺していったんです。そして、最終的には百何十人の警官に囲まれて最後逮捕されるんですよ。
では、そんな彼は自分のことをどう思っていたのか。
彼は言いました。「自分の身を守っただけなのに、こんな目に合わされるなんて納得いかない」って。そうやって言って処刑されていったんですよ。
これだけの大量殺人を犯した犯人でさえ自分は悪くないと主張するんですよ。さらに、あの暗黒界のマフィアのアル・カポネでさえ自分は悪人だと思っていなかったんですよ。それどころか自分は慈善事業家だと本気で思っていたんです。
そして、ある刑務所長に話を聞いたときには、ほとんどの犯罪者は「自分は悪くない」と主張して刑務所の中にいるんだと、刑務所の中に入れられているのは不当だと思っている人がほとんどであると、そうやって答えてるんですね。
このエピソードからわかるのはどんな人間も自分が不利益を被った時は必ず自分を正当化するって言うことじゃないでしょうか。
そして、それを責められようものなら必ず反発すると言うことじゃないでしょうか。
つまり「盗人にも5分の理を認める」っていうのは"人の批判や非難をするな"って言う事なんですよ。
会社でも「君それちょっと間違ってるよ」「君それちょっとおかしいよ」って言っちゃうじゃないですか。「君ちょっとそこ直したほうがいいよ」とか言っちゃうんじゃないですか。でも言われたほうは納得なんてしてないんですよ。必ずそれに反発しちゃうんですよ。「私が間違っていました。すみません」とはならないんですよ。
人って他人から認められたいと強く思っているんです。ですが、それと同じじくらい、他人からの非難を恐れているんですよ。
なので第一の原則は「決して人のことを非難しない」と言うことです。
重要感を持たせる
本書の中で著者は人を動かす秘訣は、この世にただ1つしかないと言っています。それは、「自ら動きたくなる気持ちを起こさせること」。
偉大な心理学者のフロイトも「人間が行動を発する原理は2つしかない」と言ってるんです。それが"性の衝動"と"偉くなりたいという願望"であると。
偉くなりたい願望っていうのは誰にでもあるじゃないですか。認められたいという承認欲求って人間の欲求の中で1番つよい欲求と言われてるんですよ。SNSでも、いいね!が欲しい、フォロワーを増やしたい、認められたいわけじゃないですか。あらゆる人が自分は重要な人物だと思いたいし思われたいんですよ。
だからこそ、この重要感を相手に持たしてあげることが大事なんですよ。
鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーは新しく設立した会社の社長にシュワップという、若干38歳の青年を迎え入れたんです。カーネギーが製鉄の最高権威でも経営のプロでもないこのシュワップという男をなぜ社長にしたのか?それは、彼が人を褒める天才だったからです。
本書にシュワップの言葉があるんですが
これ、本当にそうですよね。
会社でも小言を言われて働く時よりも、褒められて働くときの方が仕事のパフォーマンスって良くなるじゃないですか。小言を言われて働いたときの方がパフォーマンスが良くなるなって場面は私自身は1度も見たことがないんですよ。
これがカーネギーがシュワップを社長に迎え入れた理由なんです。
また、そのカーネギー自身も褒める天才だったんですよ。カーネギーは自分の墓石に「己よりも賢明なる人物を身辺に集める方法を心得し者ここに眠る」と刻んでいるんですよ。めちゃくちゃカッコよくないですか。
つまり私のおかげではない、私よりも賢い者たちみんなのおかげで私は鉄鋼王になれたんだと言っているんですよ。
カーネギーやシュワップのように心から賛成し惜しみなく賛辞を与えれば、相手の心に深く刺さって相手は生涯忘れないんですよ。
要するに第二の原則は「褒める」と言うことです。
人の立場に身を置く
第一の原則で「相手を非難せずに認める」、第二の原則で「相手を褒める」その上で第3の原則なのですが、イギリスの首相、ロイドは「釣り針には魚の好物をつけろ」と言いました。これ当たり前だと思いますよね。釣り針に魚の好物つけるのって当たり前じゃないですか。
でも、これを人間関係でやってますかって言う事なんですよ。
要するに釣り針に魚の好物をつけずに自分の好物をつけてませんかって言う事なんですよ。確かに自分が良かれと思ってやってあげることってあると思うんですけど、そうじゃないんですよね。相手が何を求めているのかを考えなきゃダメなんですね。
幼稚園に行きたくないと言って駄々をこねている息子がいたんですよ。そこで、息子に「幼稚園に行くんだ。言うことを聞きなさいと」怒鳴りつけて幼稚園に無理矢理いかせたところで幼稚園を好きにさせる事は難しいですよね。
そこでその父親は幼稚園に入る一番の楽しみはなんだろうって考えたんですよ。幼稚園でやる面白いこと。例えば絵の具を使って絵を描くとか、合唱とか、新しい友達など、それを考えて幼稚園でできる楽しいこと家の中で夫婦でやってみたんです。絵の具で絵を描く。そうすると息子は自分も仲間に入れて欲しいって言い出すんですよ。でもそこで、「まだだめだよ。幼稚園で絵の具でお絵かきの練習をしてからじゃないとダメだよ」って教えてあげるんですね。そうすると翌朝、息子は、幼稚園に遅れるといけないからここで待ってるのと言ってずっと椅子の上で眠りながら待っていたんですよ。
怒鳴りつけても幼稚園行きたいと言う気持ちを起こさせる事は出来ないんですけど、相手が望むものを与えてあげれば幼稚園に行きたいと言う気持ちを起こさせることができるんですよ。
相手の心の中につよい欲求を起こさせることが大事なんですよ。
第3の原則は「相手につよい欲求を起こさせること」なんです。
本書ではまだまだたくさんの原則が書かれていて、どれも大事なので、気になる方はぜひ、手に取ってみて下さい。
今回は以上です
それでは素敵な1日を
読書家のヒデでした
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