GBER開発者・檜山 敦先生に聞く「R60-SETAGAYA-」への想い
「シニアの働く」と「地域の事業者」をつなぐ、情報プラットフォームモデル事業「R60-SETAGAYA」では、東京大学先端科学技術研究センターが開発・研究している、高齢者就業マッチングサイト「GBER(ジーバー)」を活用しています。
「Gathering Brisk Elderly in the Region(地域の元気なシニアを集める)」の頭文字をとって名付けられた「GBER」は、シニアの地域活動をサポートするウェブプラットフォーム。GBERを用いた実証実験は、千葉県柏市、熊本県に続き、世田谷区で3例目となります。
「人生100年時代。そんな現代社会で、自立し元気に生活を営むシニアは、ただ支えられるだけの存在でしょうか。シニアは社会の活力。シニアが活躍できる環境作りによって、社会に変革を起こせるのではないか…そう考え、生まれたのがGBERです」
そう語るのは、東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授の檜山 敦先生。今回は檜山先生に、「R60-SETAGAYA-」への想いについてお聞きしました。
街全体に発信力を感じる世田谷
――世田谷には、どんなイメージをお持ちでしたか。
檜山先生:学生時代は世田谷区に住んでいて、研究する上で頭を整理したり本を読んだりしたりする場所を求めて、自転車でカフェ巡りをしていました。早朝からやっているお店、遅くまでやっているお店、犬も一緒に入れるお店、いろんなところを巡っている中で、街全体から新しいライフスタイルをつくって発信していくイメージを感じていました。
そのため、ライフスタイルに敏感な世田谷の皆様と、新しい働き方、街との関わり方や事業経営の形をつくっていけるかもしれないとの期待があります。
地域を元気にする懸け橋を目指して
――実際に世田谷でモデル事業をスタートしてみて、いかがですか。
GBERの理念の中には、地域に住まう生活者がいて、その生活者と地域とのつながりを紡いでいくことを含めています。生活者が、仕事以外にもボランティアや生涯学習、そして地域のイベントなどを通して、街との多様な接点をつくっていく。その中で、地域を知り、自分を知り、住民と事業者とが一緒になって、新しいライフスタイルや経営スタイルを獲得する。その手助けをしていきたいと思っていました。特に、地域のシニア人材のひとりひとりの力を合わせることで、フルタイムでなくても地域の企業を元気にしていく、モザイク型の就労スタイルを広げていきたいと考えていました。
世田谷区でのGBERの運営の委託先が、ライフイベント等によりフルタイムで働くことが難しくなった女性を対象にモザイク型のワークシェアリングを展開している非営利型株式会社Polarisに決まったとき、新しい風が吹きそうな予感がしました。
――ワークショップでは、檜山先生も一緒にグループの中に入り、参加者の声に耳を傾けていらっしゃいますね。
檜山先生:R60-SETAGAYAは、スタート時からコロナ禍により、シニア層の社会活動が大きく制限される壁に直面せざるを得ませんでした。そのため、各種イベントはオンラインでの開催となりましたが…相互理解を深めるためのさまざまな企画を通して、世田谷に住まう人と事業者の声に直接触れることができました。これからの地域とのつながりや働き方に関心を持つ住民の方々、そして、世田谷で事業を営む中で各々課題を感じている事業者の皆様。それぞれの立場で、新しい地域とその未来をつくっていきたいという思いと期待が感じ取れました。
――「〇〇の機能が欲しい」「GBERをこんな風に活用できないだろうか」といったご意見も活発に出ており、寄せられる期待を感じます。
どうしたら事業者と利用者との間の距離を縮められて、お互いに一歩を踏み出してみる後押しができるだろうか。そこにGBERが仕組みとしてどのような役割を提供できるだろうか、ということを模索していくことが、目下の課題ですね。
新たに獲得した人生の時間を、創造的なものに
――改めて今考える、R60-SETAGAYA-で成し遂げたいことは何でしょうか。
100年にも到達しようとしている一生の中で新たに獲得した人生の時間を、今までの一生を間延びさせたような時間にするのでなく、新しい生き方を模索して実践していける時間にしていきたい。そしてそれが若い世代の働き方にも余裕をもたらし、多様な人々が参画できるような社会と地域を創造することにつなげていきたい。そのために役立つツールに、GBERを成長させていきたいと考えています。
私の「R」は、これ!
――檜山先生の「R」が何かと、その理由をお聞かせください。
「Region(地域)」です。
GBERのRであり、地域の中のワクワクを発掘して、一人ひとりの住民につないでいくことで地域全体が明るくなり、超高齢社会も明るくなっていくと思います。
――檜山 敦先生、ありがとうございました!
GBERについて、そしてR60-SETAGAYA-について、熱い想いを語ってくださった檜山先生。「地域をもっとワクワクさせる」可能性を秘めたR60-SETAGAYA-に、今後もぜひご注目ください!
※今後開催予定のイベント情報については、こちらからご覧いただけます(随時更新)
---------------------------------------------------------------
Facebook、Twitterからも情報を発信しています!
【Facebook】https://www.facebook.com/GberSetagaya
【Twitter】https://twitter.com/GberSetagaya
---------------------------------------------------------------
お問い合わせは以下へご連絡ください。
(世田谷区事業者の方)
(世田谷区民の方)
働くをRe:DESIGNする
R60-SETAGAYA-
世田谷版GBER運営オフィス(運営:非営利型株式会社Polaris)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?