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日本人の宗教観って結構不思議

あなたは自分が「〜教徒」っていう意識、ありますか? 自分が何かの宗教に属してるって思いますか?

私は、父方の祖父からクリスチャン(キリスト教徒)で、祖父と父は牧師です。だから、自分も生まれたときからキリスト教の中で育ったし、自分はクリスチャンだって思ってます。ちなみに、よく「あなたも牧師にならなきゃいけないんでしょ?」と聞かれますが、日本のお坊さんたちとは違って、自由です。

けど、正直、友達とかには言いにくいなと感じちゃいます。中学生になって、ミッションスクール(キリスト教の学校)に入ったので、むしろ自慢といった感じだけど、小学校の時は、仲のいい人にしか言えなかったです。なんでかは自分でもよくわからないけど、多分1番の理由は、日本にクリスチャンが少ないから。周りにそういう人がいないと、仲間外れにされないかとか心配だったのかも。

日本にはクリスチャン、少ないけど、そもそも、自分が何かの宗教に属してるって意識してる人がめちゃくちゃ少ないなって思います。クリスチャンじゃなくても、神道とか仏教とかあるじゃないですか?でも、絶対意識してないよねっていうのを多く見かけます。

キリスト教には教会、または聖堂。 イスラム教にはモスク。 仏教にはお寺。 神道には神社。 というようにそれぞれの宗教に建物があります。お寺だって神社だって、れっきとした宗教施設です!

でもほとんどの人はそれらを宗教施設として認識してません。お寺に行くことも神社にお参りする人も、それを【習慣】としか認識していないことが多いんです。だから、神道と仏教は最初は全然違うもので、どちらにするかという問題で、物部尾輿と蘇我稲目が大きな戦いを起こしました。けれど、いつからか、神道にルーツのある天皇家の人が、出家する(仏教の人になる)ようになりました。後白河法皇がいい例ですね。つまり、平安時代ごろから神道と仏教の境目があやふやになってきて、鎌倉時代には、【神仏習合(神道と仏教を融合させたもの)】が当たり前となりました。

江戸時代、幕府からの迫害を避けた、隠れキリシタンたち。彼らの文化は、キリスト教(カトリック)と神道と仏教、3つを全て合わせたようなものです。ちなみに長崎県生月島には、今でも隠れキリシタンの文化が残っています。ぜひ一度行ってみてくださいね。

このような宗教の融合があり、それが庶民に広がると、だんだんと習慣化してきます。それは自然なことではあると思います。

まだ、私が小学生の時に、ある友人が言っていました。「俺は無宗教。無神論

けれど、私は彼が、定期的に神社にお参りしに行っていることを知っていました。なのに、なんで無宗教、無神論なのかわかりませんでした。仏教徒の方がそういうのはわかりますよ。仏はあくまでも仏であって、神ではないので。けど、神道って、八百万神を信じるんじゃなかったっけ?と思いました。

牧師である父(日本の宗教観に興味があるらしいです)に聞いてみたところ、「多くの日本人にとっては、お参りは生活習慣の一部であって、お寺へ行くのも同じこと」だと教えてくれました。

正直、私は、びっくりしました。多分、多くの人はこれを聞いてもびっくりしないんじゃないかと思います。けど、私は、自分は宗教意識を持ってるし、それが当たり前なので、そうじゃない人というのがいることも知らなかったんです。

とはいえ、キリスト教が国教であるイギリスでも、同じことです。クリスマスやイースターは生活の一部であって、(特に子どもたちには) なくてはならないイベントです。ちなみに、ハリー・ポッターの作者J.K.ローリングさんは、『ハリー・ポッター』から、出来るだけ宗教的であるものをなくそうとしましたが、「クリスマスやイースターのない子どもたちはかわいそう。ありえない」と考えたようで、『ハリー・ポッター』にもクリスマス休暇とかクリスマス・ダンスパーティーがあります。もう生活の一部になってるんですよ〜。キリスト教の文化ですが、今の日本にもクリスマスはなくてはならないですね。

でも、フランスでは、公的な場での宗教的な言動、ファッションは禁止されています。これを【政教分離】っていうんですけど、聞いたことあると思います。数年前の天皇陛下の代替わりのとき、多額の税金が神道の象徴である天皇家の行事に使われるのはいいのか、と問われていました。秋篠宮殿下が、皇室では珍しく、政治的発言をされたことでも、注目を浴びてました。これは、「政治に宗教を、宗教に政治を持ち込まない」という考え方。そう。日本は、一応、政教分離の国です。去年は、トルコでも、イスラム教とキリスト教の融合文化で評価されるハギア・ソフィアを、モスクに戻していいのか、ということで、政教分離問題となっていました。

日本人が宗教を意識しない理由の一つに、今まで宗教が日本にどういう影響を与えたかということも関わってきます。1番注目されるのは、『オウム真理教』。宗教が過剰になって起こった『地下鉄サリン事件』。これは、日本人に「宗教」の悪いイメージを植え付けたに違いありません。この事件以来、「宗教」と聞くと、「自分を壊すようなもの」「怖い」「家族に会えなさそう」などなど、マイナスなイメージを持ってしまう日本人が増えたと言います。実際に、父が、大学で教えている自分の生徒に、【宗教のイメージ】をアンケートで聞くと、マイナスな答えがほとんどだったみたい。このイメージ、すぐには拭なさそう……。

日本人では、【有神論か無神論か】というところに重点が置かれていますが、海外には【不可知論】だという人も多くいます。宗教においての【不可知論】とは、「神がいるとかいないとか、そういうことは、人間が考えてわかることではない。『いる』とも『いない』とも言えない」という考えのことです。つまり、神の有無の話は人間の領域ではない、ってこと。不可知論者の有名人は、彼が不可知論者であることはあまり知られていませんが、イギリス人男優のトム・フェルトンさんですね。彼は、もともと無心論者でしたが、2016年公開のクリスチャン映画『復活 (原題:Risen)』に出演して、考え方が変わり、不可知論者になったと言われてます。

私はもちろん有神論者だけど、不可知論っていう立場も素敵だなって思います。


さて、みなさんはどうですか?

困った時とか辛い時に頼れる存在があるといいですよね。

宗教って、ほんとに人それぞれだなって思います。


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