映画「からかい上手の高木さん」初見の感想(ドラマについても)
※原作、アニメ版大好き!な、一個人的感想
※映画公開初日に観た勢いで書いているので、細かいところは怪しいけれどネタバレあり
※(齋藤潤くん推しが、途中ダダ漏れます)
原作の実写ドラマ化とその10年後を描くオリジナルストーリーの映画化
初めてこの情報を知った時、「何で?!オリジナルってどういうこと?」と(たぶんたくさんの原作ファンの人と同じように)思った。チャレンジングすぎる。そもそも『からかい上手の(元)高木さん』という公式もあるのに、なぜその間を攻める?更にキャストを知って「いや、映画版の西片、イケメンすぎやろ!?」とも。
オリジナルストーリーやキャストに対するもやもやで、ドラマに対しても、観たいけど、何か観たくないような、怖いような、そんな気持ちだった。
ドラマもうすぐ始まるなという頃に、SNSで流れてきた予告映像の西片(黒川想矢くん)の台詞を聞いて、「めっちゃ西片やん!」と思い、勇気を出して恐る恐る観た第1話。
↓↓第1話視聴後の感想↓↓
予告の西片がめっちゃ西片だったので本編観たらやっぱりすごい西片だった。高木さんの鈴をコロコロ転がしたような雰囲気も素晴らしい!
原作の面白さの要でもある、西片のモノローグ。これ、人が実際にやるのは相当難しいと、失敗したら目も当てられないことになると、そう思ってもいた。
↓↓最終話後の感想↓↓
漫画やアニメだからこそ成立してた西片のともすれば過剰なモノローグや表現をそのままやるとわざとらしいし、無いと西片の可愛らしさ減るし、どう落とし込むかが実写の鍵かなと思っていたけど、そこをギリギリのいい塩梅で攻めていた黒川想矢 くんと制作陣がお見事!
ちょっぴり恐れを引きずりながら視聴したドラマも回を重ねるごとに、どんどん西片の西片っぷりに磨きがかかり、2人の時間の流れ方も、取り巻く景色や空気感もとても心地よく、当初の不安や恐れは何だったんだというくらい素敵な実写化。
こういう風に『高木さん』の世界を描いてくれる監督と制作チームなら、オリジナルであっても、きっと素敵な『高木さん』であるはず!当初の不安も、もやもやも、小豆島で流れるキラキラした風のように(行ったことないけど)キレイに吹き飛ばしてくれた素敵なドラマのおかげで、ようやくムビチケを購入。
(齋藤潤くんの出演を知りとても観たかったけれど、それでもやはりオリジナルストーリーが怖くてなかなか買えなかった)
そして、ついに初日舞台挨拶中継へ駆け込んだ。
【ここから映画のこと、ネタバレあり】
最初のシーンの西片の第一声と動き。
西片、だった。
いや、めっちゃ西片。
西片やん。
西片おるやーん!!!!!
高橋文哉くんが、イケメン若手俳優の気配を完全に消していた。イケメン若手俳優の放つ光が透明なガラスがキラキラしてるみたいなのだとすると、西片の高橋くんは、砂浜で波に削られたシーグラスみたいな。角が丸くなって柔らかな光。そんな感じ。
そして、そこはかとなくドラマ版西片の面影も感じられる、大人西片。あの部屋で、10年間過ごしてきた西片(大学時代は違うだろうけど)の時間を感じられる。イケメン若手俳優(何回言うの)が演っている西片ではなく、中学生西片が成長した西片。すごい。
もう、初手からやられた。
高木さんは、大人になっても鈴が転がってるみたいにかわいいけれど、しっかり大人だ。それでもやっぱり全身から「好き」が溢れている。それはもう、初対面の町田くんにあっさり見破られるほどに(笑)
(あー、町田くん、いい!いい!!)
大人になった2人を見ているはずなのに、
西片が掃除道具入れを見ただけで、
砂浜を2人が縦に並んで歩いて行くだけで、
帰り道を横に並んで歩くだけで、
神社で話しているだけで、
こっちはもう条件反射的に中学生の2人の姿を勝手に脳内で重ねる。
ああ、大人になったね、
でもまた一緒にいるね、嬉しいね、、、、、
泣ける、それだけで。
ちょっと乱暴な言い方だけれど、もうね、ストーリーなんていいんです。大人になった2人がただ一緒に過ごしている姿を見るだけで十分幸せなんです、泣けるんですよこっちは、、、という気持ちになったところで、この原作ドラマ化からのオリジナル映画という流れの魔法に気づく。
やられた。
見事に魔法にかけられた。
ドラマは、それ単独で素敵な作品として成立しているし、映画も、単独でも綺麗なラブストーリーとして成立している。
でも、ドラマを経たことで、知っていることで、映画を観た時に、こっちは勝手にその経験を重ねて、3週間の物語ではなく、10年間の壮大な物語として捉えてしまう。だからこそ、西片の「好き」が、「好きだからつきあう」とか、そんなものでは、その程度ではないということが、不器用な西片の言葉以上に理解できてしまう。ああ、また泣ける。
西片が町田くんの家を訪れる(初登場の佇まいからそれはもう町田くん!!)何気ないシーンとか、
高木さんと町田くんのシーン(もれなく全部いい!!)とか、
神社で3人でラムネ飲むシーン(町田くんの脚の開き具合!!)とか、
プールに飛び込む前に高木さんの表情を見る西片の表情とか、
プールの中でブーケを渡して言葉を交わした後の無言の尺(あそこで、セリフ終わった後も長く残す今泉監督最高!!)とか、
町田くんが久しぶりに教室に入ってくるシーン(町田くん!!)とか、
町田くんと大関さんが向き合うシーン(2人とも素晴らしい!!)とか、
廊下を歩いてく町田くんの後ろ姿(町田くん!!)とか、
最後の合唱シーンで大関さんの指揮のワンショットを町田くんの後頭部越し(だったと思う)に撮ってるところとか、
とにかく、いいシーンばかりなのだけれど、最後の方の教室での2人のシーンが!!!
画角固定であれだけの長さ、圧巻だった、すごかった、ああいう風に撮った人も演った人も(鳥肌)
自分の気持ちをよくわからない西片が(本人以外は全人類わかってる)、高木さんと話すことで段々と自分の気持ちを掴んでいくのも、西片だね、がんばれって思うし、そうして出てきた西片の言葉が、みんなが思ってた「好き」よりももっともっとドデカ感情だったことに、驚きと嬉しさと、何かちょっともう笑ってしまう。西片よ、アンタって子は。
「告白は暴力」という今年一の名言を吐いた町田くんが、「自分の気持ち伝えないまま去るんですか」とひっくり返るくらいに心が動いたことも、町田くんの高木さんへの質問を最後に西片がなぞることも、それぞれへの高木さんの答えも、とても素敵だった。
お互いの気持ちをはっきりと明言せず、でも何となく感じている、みたいなのが一連の「高木さん」の世界だと認識していたので、映画で言わば「高木さん」と「(元)高木さん」の間をやると知った時、映画はどうやって終わらせるんだろうか?やっぱり、ふんわり終わらせるのかな、と思ってた。だから、まさかあそこまではっきりもっていったという驚き。おそらく、それが嫌だという原作ファンもいるだろうし、制作陣もそれをわかってると思うけれど、だからこそ、個人的には、制作陣のその思い切りの良さにむしろ拍手!!だって、「高木さん」の世界でそれがあるとは思ってなかったから。めちゃくちゃ意外だった。でも、幸せ。
ラストで、ドラマのシーンと映画のシーンを重ねるところは、もう披露宴。いろんな感情が押し寄せて来て、もはや親族の気持ち。やっぱり、幸せ。
実写化に関しては、いろんな想いのファンがいて。肯定派、受け入れ派、否定派も勿論いて当然だし、この作品に関しては、オリジナルストーリーということで更にハードルは高い。「なぜこのフォーマットを使ってやらなければならなかったのか」という声もきっとあるんだろうな、とも思う。けれど、それをわかっていて挑戦したチームに、拍手を贈りたいと思うし、いろんなことを削ぎ落として考えて、シンプルに素敵な温かい作品だなと思う。
スタッフ、キャストの皆さま、素敵なものを観せてくださってありがとうございます。また、劇場へ観に行きます。
そして、今泉監督、いつか齋藤潤くんで1本撮ってください!(急に個人的な願望)