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JR北海道がイカれた切符を発売したので乗り潰しついでにINGRESSと観光してきました~①Explorerに関する考察と廃線要素を添えて~

■ご挨拶

 皆さんこんにちは、お久しぶりです。お世話になっております。
INGRESSでは大阪エリアを中心に日本全国どこにでも現れるENLエージェント kizokuchan でございます。

 今回のお話はタイトルを読んでいただければわかる通り、北海道観光がメインとなります。だいたいINGRESS半分、観光旅行記半分くらいの割合でテーマを織り交ぜながら書いていきたいと思いますので、よろしければお付き合いいただきたいと思います。

 突然ではありますが、INGRESSというゲームには様々なプレイスタイルが存在することはエージェント諸氏におかれましては十二分に御存知のことかと思います。とにかくレゾ刺しの勢いだけはすごい人、毎日の水やり(リチャージ)だけは欠かさない人、綿密なCFの構築が得意な人、それを壊すのが楽しくてたまらない人、ミッションをやりまくる人、地元周りをきっちりパトロールする人、観光ついでにユニークを伸ばす人、ポータル申請に余念がない人、審査の達人、大規模作戦の快感がクセになってしまった人、焼いたら昼夜問わず秒で飛んでくる優秀な警備員……などなど……

 プレイスタイルは様々、好きな遊び方でやって良い、というのはINGRESSの良い点でもあり怖い点でもあるんですね。


■黒の誘惑

 さて前置きが長くなってしまいましたが、私kizokuchanのプレイスタイルはと言いますと、一口には申し上げにくいのですが強いて挙げるとすれば「何処にでも現れる」といった表現が凡そ適切だろうと自負しております。以下、私がINGRESSを始めたきっかけや大まかなプレイスタイルについて少し書いていこうと思います。

 以前にも書きましたが、私がINGRESSを始めたのはリリース2年目からで、きっかけは伊集院光の深夜ラジオでINGRESSのプレイ体験を話していた回を聴いたことに始まり、元来旅好きで移動が大好きな自分の性分とマッチするのではないかと思い、その日のうちにインストールした記憶があります。

 手始めに自宅周りのポータルをチュートリアルに従ってハックしたり、レゾを挿してみたり、リンクを繋いだりしてみました。おおかた2、3日のうちにゲーム内でやるべきことを把握したので、市街地の方へ出掛けて行ってみたり、駅間を歩いてみたりして数時間も夢中になったのをよく覚えています。そうこうしているうちに幾つかの実績メダルを獲得しはじめます。もちろん銅メダルですが、こういう実績解除的なやつに滅法弱い私としては「こりゃよく出来るてるな」と感心したものです。その当時は金やプラチナ以上の実績など全く意識しておらず、とてもじゃないが到達は無理だろうと思っていました。

 しかし1年、2年とやっているうちに実績が積み上がっていきますから段々と上の実績解除メダルが気になってきます。

■Explorer という指標

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 INGRESSには「Explorer」というステータスがあります。簡単に説明すると、「今までに何箇所のポータルを訪れたか」という指標ですね。一度でもハックしたポータルはカウントされますが、逆に同じポータルを何度ハックしても実績が増えることはありません。リリース時からしばらくはポータルをハックした場合のみカウントが増えていましたが、途中からハックだけでなくレゾネーターを挿す、MODを入れる、そのポータルからリンクを飛ばす等、要するに「そのポータルの有効範囲内で、ポータルについて何かアクションをした」というような広い判定でユニークカウントが増える仕様となりました。

 Explorerの実績メダルは下から順に100(銅)、1,000(銀)、2,000(金)、10,000(プラチナ)、30,000(オニキス)となっています。ポータルの存在密度からして都会であるほど伸ばしやすい実績だといえます。例えば山手線の駅周辺や中核都市の繁華街付近など、ある程度の都心部であれば1時間ほど歩き回ると100ポータル程度の実績を稼ぐことは容易ではないかと思います。

 私の経験上の話になりますが、相応のプレイ期間を経たエージェントの多くはExplorerについて金(2,000)〜プラチナ(10,000)程度の実績を持っている方が多いように見受けられます。継続年数によるところも大きいかと思いますが、まずは自宅近辺のポータルをほぼ網羅する、さらに通勤通学経路や休日の出掛けた先などでの実績がそこに乗っかる、たまの旅行や遠征もしくはイベント参加などの際に今まで訪れたことのない地域に行くことになりますので、そこで実績を上積みする。こういった行動の繰り返しでおよそ2,000という数は割とすぐ越えられると思います。あとは行動頻度や範囲により10,000を越えるかどうか、さらにその先の20,000から30,000に到達するかどうか、といった具合です。

 オニキスの実績である30,000というラインはなかなかに絶妙な数字でして、基本的にはユニーク稼ぎを明確に意図した遠征を何度も繰り返さなければ到達できない数字だと思います。「ユニーク」という性質上、単純なハック数やリンク生成数などとは違い、同じ場所同じエリアではカウントが増えなくなる性質を持っており、実績を積めば積むほど数を伸ばすのが難しくなるからです。10,000から20,000へ伸ばすよりも、20,000から30,000へ持っていく方が遥かに難しい、その先も然り、といった具合です。

 INGRESSでは他エージェントのステータスを確認することができます。具体的な実績の数字は公開•非公開を選択できますが、各実績メダルの色だけはどう設定しても他人に見える仕様となっています。各メダルの色とAPを比較してみながらその人のプレイスタイルを推し量るというのも面白い要素です。地元密着型エージェントであったり多重おかわりの鬼であったり…その中で、プレイスタイルというか「行動範囲」の傾向として目安に出来そうなのがExplorerというステータスであると考えています。

■もはや修行なんよ

 で、私のExplorerの数字がどのくらいかと言いますと、2021年12月初頭現在で約91,000です。オニキスが30,000ですから3倍強といったところですね。    

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  INGRESSには「リカージョン」という仕組みがあります。これはAPが4千万に到達してレベル16になると、実績の数字やメダルの色は引き継いだままAPを0にリセットし、その際ついでにどちらの陣営で始めるか選び直せるという、いわば「転生」を行えるシステムです。再度レベル16になるとリカージョンを行うことが出来ますので、爆速でAPを稼ぎながら何度も「転生」されている方もいらっしゃいます。ちなみにAPが0になるのはレベル1からのスタートを分かりやすくするためで、それまで稼いだAPはちゃんと「生涯獲得AP」として別カウントされていますのでご安心ください。
 
 リカージョンを行うメリットとしては、まず上記画像のようにリカージョンを行った実績メダルを入手できることが挙げられます。また、エージェントネームの横にリカージョン実施済みであるマークが常時付きます。さらにレベル1から始めますのでヒヨッコだった頃の新鮮な気持ちでしばしプレイすることができますし、レベルアップ時の報酬アイテムは何度リカージョンしてもその都度ちゃんと貰うことができます。最近はレベル8くらいまでのレベルアップ報酬の中にAPEXが含まれていますので、使い所を工夫すれば効率よくAPを稼いでレベルアップすることが可能です。

 リカージョンにはもう一つ特典がついてきて、それは実績メダルでオニキスを達成した項目に関して、オニキスの2倍の数字を達成するとメダルに羽根が生えることです。Explorerについてはオニキスが30,000に設定されていますから、60,000を達成した時点でメダルに羽根が付きます。さらに「オニキスメダル×2」という表記も追加されます。他の項目に関しても同様で、実績がオニキスの3倍、4倍・・・となるのに合わせて表記もそのようになります。大体のメダルがオニキスになり行くところまで行ってしまった皆さんは、この各メダルに「羽根を生やす」ことを目標として日々エージェント活動に勤しまれているわけです。INGRESSもリリースから目出度く9周年を迎えましたので、当初各プレイヤーの目標であったプラチナやオニキスメダルを次々と達成する方も増えてきたと思われます。そこでリカージョンという仕組みを導入し、オニキスメダルのさらに上を設定するのではなく、「オニキスメダル何個分」という形で実績の伸ばし具合を測れるようにしたという訳ですね。ある意味現時点でのエンドコンテンツとも言えるでしょう。


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 再度になりますが私のExplorerは9万オーバーです。ですからExplorerメダルには羽根が生えており、「オニキスメダル×3」という表記が付いています。9万に到達したならキリのいい所で10万に乗せたいと思うのが人情です。そんなわけで自分の街のユニーク取りこぼしや新しく生えたポータルを拾ってみたり、遠征時に街を歩いてみたりして実績を伸ばしています。

 INGRESSの全体的に見てもこのExplorerに関してオニキス到達者はそこまで多くなく、さらに羽根が生えているとなると一部の酔狂な移動マニアだけに限られます。私としてはただ今まで行ったことのない地域を観光や探索しながら回ればいいだけなので楽だと感じているのですが、大体の人間にこのことを話すとドン引きされます。個人的には緻密な多重CFなどを敵味方の目をかいくぐって作り上げる方も十分すごいと思います。人間には得手不得手があります。実を言うと私は去年までIlluminator(CFで囲んだ人口密度ベースのスコア=MUsの累積)は60万程度でプラチナでした。地元で仲の良いエージェントにCFの手ほどきを受けて一念発起し、無事にオニキスの400万に到達することができました。いわゆる「多重おかわり」を都心部で行っている方の中にはオニキスの100倍を超える実績を持つ方も見受けられ、果てしなさに頭が下がります。

 方向性は違えども、オニキスメダルへの道やオニキス以降の累積というのはある種「修行」のような面も持ち合わせていますし、その道を進む者にしかわからないセオリーや苦労があって、ここがまた面白いところなんですよね。「あの人、このメダルが黒くなってる…!」という驚愕が一歩進んで「あの人、このメダルに羽根生えてる…!」という畏敬の念に化ける、そんな感じです。また、他エージェントのメダルを見て自分と同じメダルが黒くなっていたり、同じようにメダルに羽根が生えていたりするのを見かけると、自分と同じような道のりを経て来たんだなぁと感じられ、ある種シンパシーのようなものを感じることもあります。

■このように稼ぐのだ

 では具体的にExplorerの実績をどのように稼ぐかということをお話ししたいと思います。というか時々「どうやったらそんなに増えるんですか」と訊かれることがありますのでそのカラクリの一部をここで書いておきたいと思います。

 Explorerはつまるところ、「今までに訪れたことのないポータルの有効範囲に入り、そのポータルに対してハック実行やレゾをデプロイ、MODデプロイなどのアクションを行う」ことで実績が増えていきます。覚えている限りではハックする、レゾを挿す、MODを挿す、そのポータルから何処かへリンクを飛ばす、そのポータルのスキャンデータをアップロードする、そのポータルの写真を申請する、があったと思います。バースターでレゾやMODを攻撃するのは範囲外から出来ちゃうので対象にはなっていません。細かいことは考えずにとにかく片っ端からハックしていくのが一番簡単な行動になります。非常に単純な行動で稼げる実績だといえます。

 しかし、非常に単純な行動で稼げる実績である反面、単純な行動の繰り返しでしか伸びない実績であるともいえます。同じ箇所をグルグル回っても実績が増えませんから、これまた単純に「行動範囲の広さ」「新しい場所へ行った回数の多さ」が正直に実績の伸びに反映します。平たく言うと「数行きゃ良いんだよ」ということになります。飛躍的に効率を伸ばすという近道は殆どなく、経験則によるコツというものが存在する程度です。要するに「数を行くためにはどうすればいいんだ」という命題に対するいくつかの解がそのコツということになります。

 私は生来の移動狂でして、学生の時分よりJRや私鉄の乗りつぶしを始めとして、寺社仏閣巡り、温泉巡り、長距離ドライブ等を好んでやってきました。また現在は職業上、遠方への出張が頻繁に発生しますし、その行先も多岐にわたります。ここまで読んでいただいて恐らくピンと来た方も多いかと思います。Explorerという実績は「とにかく移動が大好きな人」「色々な場所へ精力的に出かける人」と非常に相性が良く、先述の通り私の生活スタイルといい感じに合致していたんですね。

 あとはここに「スプーン1杯程度の狂気」を加えることで効率がそこそこ上がります。「スプーン1杯程度の狂気」の中身についていくつか説明しますと、
①なるべく特急などの速達列車を使わず、普通や各停を使う
②2点間を往復する場合、行きと帰りで別の交通手段を使用する
③電車で20分程乗れば行けるところを、50分かかる路線バスで移動する
④城や中規模くらいの神社が近くにあるなら寄ってみる
⑤出張先のホテルにチェックインした後、街を3時間ほど散策する
⑥真っすぐ行けばポータルが1つだが、右に曲がると2つあるので曲がる
⑦で、結局真っすぐ行った先のポータルにもあとで行く
⑧西国三十三か所巡礼のついでに全部の寺のポータルをハックする

など、とにかく1つでも多く拾ってやろうという意識が体に染みついて今日までやってきています。先ほど「スプーン1杯程度」と申し上げましたが、どう考えてもバケツ1杯か下手すると一斗缶レベルの量が確認されたため謹んでお詫びいたします。


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 また最近はスキャナーもしくはIntel Map上のポータルにフィルタをかけることが出来るようになり、「訪問済みであるポータル(紫)」「キャプチャ済みであるポータル(赤)」「スカウトコントローラー取得済みであるポータル(黄)」と、各ポータルに色のついた円のマーキングがつくことで視覚的に判別が出来るようになりました。ですから、今度行く予定の地域のIntel Mapをあらかじめ眺めてどの程度訪問済みなのか確認しておいたり、逆に次の休日の行き先を決める際に、未訪問が多い地域にアタリをつけたり、いつも行く場所に対しても「おっ、これは新しく生えたポータルかな?」と気づけたり、色々と便利に使用することが出来ます。たまにですが、あまり通った記憶の無い地域のポータル群に紫の〇がビッシリ付いているのを見て「あれ、ここは通ったことがあるのかな・・・?」と困惑することもあります。もう自分が信じられない。

■お待たせしました、北海道の話をします

 前置きが長くなって大変申し訳ありません。この記事も5,000字を超えてしまったあたりでようやく北海道という文字列を出します。先の段落で書いた通り、私の職種は出張先が多岐にわたります。もちろん北海道もその全域が対象となっており、移動自体は大変なのですが北海道は美味しいものも観光資源も豊富にありますし、INGRESS的には訪れるべき地域も沢山ありますので毎回楽しんで仕事兼周遊を行っております。

 今回の発端は11月の中旬に函館の方で仕事が入り、それがちょうど木曜日の予定でした。何が「ちょうど」なのかサッパリ分かりませんがその時点で私の脳内は「せっかく北海道まで行くのだから週末まで行程に組み込んで何か出来ないだろうか」という思考ですぐさま埋まり始めました。

 皆様は「有給休暇」という制度を御存知でしょうか。これは本来出勤日である設定の日に休みを取り、海で釣りをしていようが一日中布団でゴロゴロしていようが駅前で正拳突きを延々とやっていようが、その日の分のお給料は満額出るという大変素晴らしいシステムになっております。遠方への出張が金曜日ならそのまま滞在したり、その近辺へ足を伸ばして週末を使い動き回ることが出来ます。これが木曜日となりますと、本来は嬉しいはずの金曜日というやつが足枷になって行程を組むのが非常に難しくなります。そこで金曜日を休暇に設定します。皆様は「木曜日に仕事で函館へ行き、金曜日に有給休暇を設定する同僚」が居た場合どのような想像をされるでしょうか。10人中10人が「こいつ北海道を満喫する気だな」という目でその人間を見ると思います。実際その通りなのですから申し開きのしようがありません。「北海道の出張は長旅になるから、金曜は自宅でゆっくり旅の疲れを癒すのだろうな」と思う人間は皆無です。こういう時には大変便利な言葉がありますので咄嗟の時に使えるようにしておきましょう。それはすなわち「お土産、楽しみにしててくださいね!」という魔法のワードです。これで大体OKになります。私の場合、既に社内で「こいつは涼しい顔してとんでもない長距離を移動する趣味を持っている奴だ」という認識が浸透しきっていますので、小細工そのものをする必要がなくなってしまいました。目指せ宮脇俊三といった感じですね。

■で、どうやって動くのよ

 さて、木曜日の仕事終わりから金、土、日と都合3日間を使用して北海道を周遊する暇が与えられました。北海道と一口に言ってもそれはそれは広大な土地ですから、移動経路や目的地、それに各日程の宿泊先などは無数の選択肢があります。まずは「何処へ行きたいのか」「何をしたいのか」「移動手段は何を使用するか」をメインに大まかな行程の軸を考えることにします。

 新婚旅行の行き先は北海道でした。その際も函館から上陸しレンタカーで7日間約3,000㎞を走破して北海道を満喫しました。初日の宿泊地は函館で、オーソドックスに函館山からの夜景を見に行ったのですがインバウンドの観光客だらけですし詰めだったのと、当時はスマホしかもっていかなかったので上手く夜景を撮ることが出来ず、そのリベンジをしたいと思いました。

 私はJRや私鉄の全線乗りつぶしをライフワークとして続けています、JRだけに限って言えば、主たる幹線や都市部から近い路線はほぼ完乗しており、その割合は路線長で計算すると90%を超えています。残るは関東の一部路線と東北のいくつかのローカル線、それに北海道は釧網本線(釧路~網走)と富良野線(旭川~富良野)を残すのみとなっていました。この際ですから北海道で未乗のこの2路線を乗り潰しておきたいですし、INGRESSをやっていない頃に走破した路線の幾つかも乗り直してポータルを拾いたいものです。

 基本的には上記2点、①函館山の夜景をちゃんと撮る、②釧網本線と富良野線完乗、あと可能な限りローカル線乗り直し、を満たすように行程を組み、これを幹として前後に肉付けをしていきます。JR路線の走破が含まれていますので、移動の主体は鉄道となりレンタカーは今回のプランにはあまり適さないことになります。

 また、本州から北海道へ行く際のテーマの一つとして「北海道のどの地点からどうやって帰るか」も重要な要素となります。最も一般的な方法は新千歳空港から飛行機で帰る方法ですが、行程によっては函館や帯広から出る飛行機を使う手段も取れますし、北海道新幹線が一部開通したので鉄道で北海道脱出も可能となります。勿論、フェリーでの移動も考えられます。これについては、あらかじめ脱出ルートを決めておいてそこへ辿り着くように行程を組む方法と、とにかく制限時間いっぱいまで行程を組んでみて、その最後の方で近しい場所から北海道を出られるように行程のお尻の方だけ調整して組み直す方法の2通りが考えられますが、今回は後者の方法で検討します。

 初日の木曜日に関しては大阪から飛行機で函館へ飛び、空港でレンタカーを借りて仕事先まで移動します。そして函館市内まで戻る予定です。この時点で夕方になりますし、函館山からの夜景を見ることにしていますので当然ながら函館に宿をとります。問題は翌日からの移動ですが、まず釧網本線に乗りたいと考えました。そうなると函館から釧路に移動する必要があり、必然的にJRでの長距離移動を強いられます。また後の行程についても、広い北海道ですから目的以外の移動については特急で速やかに移動しないと限られた時間が削られてしまいます。それと単純にJR北海道は普通列車の運行本数が極端に少なく、特急前提のダイヤで組まれているため乗り継ぎの便が非常に悪い箇所が多いことも念頭に考慮する必要があります。3日間も北海道内をJRで移動しまくる、そして特急も多用するとなると必然的に「周遊券」とか「フリーきっぷ」的な存在が無いか確認し、頼ることになります。そんなことを考えながら検索していたら・・・

■イカれたフリーきっぷを紹介するぜ!!

 

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  ありました。「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」です。もうネーミングからしてヤバい雰囲気が伝わってきます。

 気になる効力の内容ですが、連続する6日間の間、JR北海道管内の在来線の普通・快速・特急自由席に乗り降りし放題、しかも一部のJRバスにも乗り放題というもので、北海道を縦横無尽に移動する場合に心強い味方になってくれるきっぷです。特急の自由席まで乗り放題な上に、指定席券を4回まで発行可能にもなっています。JRバスについては、都市間連絡の高速バスは利用不可ですが、札幌近郊の路線や深名線バスなどが利用可能となっています。

 JR北海道管内の在来線が6日間も乗り放題でJRバスにも一部乗れる、そして指定席も4回まで発行可能、でもそんな便利なきっぷ、お高いんでしょう・・・?とお思いになるかと思います。私も最初は思いました。ところがお値段を聞いてビックリ、12,000円です。テレビショッピングのサクラのおばちゃんでなくても「えーーーっ!?」って声を上げそうなこの価格。6日間フルに使えば1日あたり2,000円ですよ、青春18きっぷよりも安いです。3日間の使用だとしても1日あたり4,000円ですから割安です。参考までに函館から札幌まで普通に特急指定席で移動すると片道9,440円かかります。この時点で十分なお釣りが来ます。学生が週末の帰省で北海道内の移動に使ったり、ビジネスマンが道内の都市間を移動するのに使用してもかなり有用だと考えられます。今回の行程でも間違いなく役に立ちますので、このきっぷをメインに使用して移動することに決めました。ちなみに破格の12,000円という価格設定ですが、本来は24,000円の設定であるところを北海道が半額補助しており、12,000円となっているようです。正直24,000円でも利用価値は十分にあると思いますけどね。

 ただしこのきっぷ、気を付けなければいけない点が幾つかあります。まず「JR北海道の在来線限定」ですので五稜郭から木古内までの第3セクターである道南いさりび鉄道線や北海道新幹線である新函館北斗~新青森は利用できません。また利用開始日の前日までに購入することが条件となっています。言い換えれば購入日の時点で、利用開始日を翌日以降からしか設定できないということです。また販売はJR北海道管内の主要駅に限られます。そして北海道の半額補助を受けていることが関係しているかもしれませんが、発売枚数に限りがあります。発売開始は2021年11月5日で、発売終了は翌年の2022年の2月末となっています。JR北海道は以前にも同設定の切符を発売したことがありますが、発売終了を待たずに予定の補助額を使い切った関係で早めに終売している経緯があります。つまり大阪から北海道入りする人間がこのきっぷを利用したい場合は、上陸当日に購入して翌日から使用可能となるわけです。幸いにして木曜日はレンタカー移動が主となりますので、その日のうちに函館駅できっぷを購入しておけば翌日から利用可能となります。

 さて、上陸当日の木曜日にやるべきことは決まりました。ここから先はプランニングを話してしまうと文章が二度手間みたいになってしまいますので、日にちごとに章立てを分けて体験記風に記述をしていきたいと思います。

■第1日 11月18日(木)~初日からハード~

 

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 大阪空港から飛行機に乗ること約90分、正午ごろに北の大地北海道の南の玄関口、函館空港に着陸しました。着陸寸前には晩秋の装いを魅せる五稜郭を横目に、市街地から西の方にある滑走路へジワジワと高度を下げていきます。ちょうどゼンリンのTwitterアカウントが五稜郭の写真の彩度を極端に弄ってしまい、実際には肉眼で見るのとまるで違う写真でバズった挙句プチ炎上した直後でしたから、飛行機の小さい窓から実物を見たときは「まあ、そんなもんだよな」と思ったのでした。厳密にはデジカメ無加工の写真だって肉眼で見る色合いやピントとは異なります。真実を写すものと書いて写真ですが、写真の中の真実はどうにでも改変できるのが本当のところです。どこまでが誠実でどこからが不誠実なのか、その答えは時と場合に拠るので難しい問題ですね。

 函館空港の受付カウンターから送迎バスでレンタカーの営業所へ向かい借受手続きを済ませます。今日の仕事先は道南エリアの「せたな町」という場所にあります。函館からはだいたい130㎞の距離があり、順調にいくと2時間半~3時間で現地に到着します。つまり往復で約6時間300kmですね。もっと目的地近くに空港もしくは大きめの街はないのかというと、ありません。函館が最寄の都市です。早速広大な北の大地の洗礼を受けることになります。受付のお姉さんから「まだカーナビには反映されていないが、空港近くに函館新外環状道路のICが出来たのでそこから乗ると便利」という情報を貰います。今までは空港から一旦函館の市街地まで向かってから国道5号線で北上していましたが、無料区間の外環状が出来たので一気に市街地北部の5号線合流地点を目指すことが出来ます。

 一般的に北海道の幹線道路は道幅が広くとられています。これは除雪した雪を道路脇に一時的に置いておくためなのですが、雪が積もっていない場合の片側2車線道路などは本州からは考えられないほど広く感じます。広く感じる道路というのはどうしてもスピードが出がちなので、法定速度を超えないように慎重に運転します。しかし、おそらく現地民であろう車が信じられないような速度差でどんどん追い抜かしていきます。聞いた話によると降雪時の道路でも70、80が当たり前の地域もあるそうです。さておき、北海道の幹線道路は道幅が広く線形も良いため走りやすいといえます。

 外環状から5号線バイパス(大沼道路)へ抜け、大沼公園を過ぎて道央道に乗ります。そのまま八雲ICまで走り、下道へ降りて道道42号線で山越えを繰り返しながらせたな町へ向かいます。幅広の幹線道路とは打って変わって、山越えの道には除雪用のスペースこそあるものの本州と同じような峠道が続きます。また山岳地帯では野生動物との接触の危険もあり、運転には注意を要します。外環状のおかげで大幅な時間短縮ができ、14時半ごろに目的地へ到着して無事仕事をこなすことが出来ました。

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 せっかく車でしか来られないような場所まで来たので、街の中心部を少し探索してみることにします。せたな町の中心部にはかつて駅があり、長万部の少し先の国縫(くんぬい)駅から瀬棚線という盲腸線が分岐していて、その終点が瀬棚駅でした。申し遅れましたが私は鉄道マニアの中でもちょっと異質な「廃線好き」でして、廃墟巡りが好きな人の鉄道版だと思っていただければ大体その通りです。廃線跡や駅跡などの探索をメインに飛び回ることが良くあります。廃線跡は一部の例外を除くと大きく分けて3つあり、①廃止後放置されてそのまま草生したり自然に還りつつあるもの、②並行する道路の拡幅に使われたり、跡地がそのまま住宅地になったり、農地整理の時に吞み込まれて消えてしまったもの、③遊歩道やメモリアルスポットのように記憶を留めるものとして整備されたもの、があります。瀬棚線は場所によってこのいずれかに当てはまり、途中駅などは痕跡を示すものが殆ど無くなっているのに対して、瀬棚駅跡は町の福祉センターの敷地の一部となっており、此処が駅だったことを示すモニュメントが置かれています。当然ポータルになっていますのでハックしたのち丁寧にスキャンして現地を後にします。

 せたな町から函館へ戻るわけですが、せっかくなので来た時とは別ルートで戻ることにします。行きは八雲から瀬棚へ向けて道道42号線で斜めに向かってきましたが、帰りは国道230号線でほぼ真西へ走って国縫まで出てから5号線で下ることにしました。この国道230号が廃止になった瀬棚線とほぼ並行しておりいくつかの痕跡を発見できるのではないかと期待したからです。

 これは廃線探索時に感じる、ある種矛盾に似た感情なのですが、「並行道路からアクセスしやすい、探索しやすい廃線」というものはトレースがしやすいメリットがある一方、「じゃあ鉄道の輸送量が低くて赤字なら並行道路で代替できるではないか」ということになり、沿線が廃れたのなら廃線もやむなしという流れになったことが容易に想像できるわけですね。逆に並行道路が貧弱であるとか、もしくは道路が近隣にないような場所を通っている鉄道というのは基本的に集落間を結ぶ手段として重宝されますので、簡単に廃止にはなりにくい事情があります。しかし北海道に至っては少し特殊で、その沿線の集落自体が消滅してしまい路線そのものの存在意義が薄くなってしまったことによる廃線のケースがあり、これがまた廃線というジャンルの裾野の広さを感じさせるものであったり、北海道という広大な大地にかつて多数走っていた数々のローカル線に想いを馳せる動機になっていたりします。

 北海道の秋の夕暮れは早いもので、せたな町の中心部を後にして1時間も経たないうちに辺りはすっかり暗くなってしまいました。私は九州出身なので日本列島ではかなり西の方で暮らしておりました。秋口と言えどもせいぜい18時くらいまでは夕陽が赤く照らしてくれていて遅くまで遊んだものですが、そこは流石に北海道、16時を回ったあたりで薄暗くなり、17時には完全に「もう夜です、寝なさい」といった具合の暗さをぶつけてきます。国道230号線は国道と名前が付いているだけあって、走破した区間では少なくとも片側1車線は確保されていました。しかし途中にはいくつかの峠越えがあり、民家のすぐ近くまで降りてきているエゾシカの両の目が車のヘッドライトに反射して光ったことが何度かありました。途中で確認できた瀬棚線の痕跡といえば、綺麗に整備されている駅跡がいくつかあったのみでその他の痕跡は見つけられませんでした。廃止からの三十余年という歳月は、大自然が人の造った文明を覆い隠してしまうには十分すぎる時間であったということです。

 国道230号線は国縫に出ると、JR函館本線をオーバークロスして国道5号線にぶつかります。オーバークロスの手前に道央道の国縫IC入口がありますが、時間に少し余裕が見えたのでしばらく国道を走ってみることにしました。長万部から八雲を経由して森のあたりまでは、国道5号が一番海沿いを走り、その内陸側に函館本線、そして更に山側に道央道が通っています。雰囲気としては湖西線に近いかもしれません。違うのは駅間距離がかなり長いことと、駅前だからと言ってまとまった集落や平和堂があるわけではないということです。結局八雲ICからまた道央道に乗り、大沼公園から5号線に出てそのまま函館市街地に入り、函館駅前まで戻ってきました。

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 初日のお宿は「JRイン函館」にしました。名前が示す通りJR函館駅に隣接しており、ホテルのロビーと函館駅のホールが連絡通路でつながっておりとても便利です。車を提携駐車場に停めてチェックインを済ませ、部屋に荷物を置いて一息つくことにします。割り振られた部屋の運がいいと、高層階の窓から函館駅のホームを一望することが出来ます。ご丁寧に函館駅の発車時刻表まで部屋に備え付けてあります。頭端式ホームにときたま出入りする列車を眺めて楽しんでくれ、ということなのでしょう。新しめのホテルや気の利いたビジネスホテルですとベッドの枕元にコンセントやUSB充電口があり、こうなっているだけで私の中ではホテルの評価が1段階上がります。

 部屋で一息ついて少し端末を充電してから、函館山に向かうことにしました。函館山の山上へ向かうにはロープウェイを使用する方法と道路を車で登っていく方法がありますが、道路は冬季閉鎖中となっておりロープウェイでの移動が唯一の山上アクセス手段となります。当然ロープウェイの運行には最終時刻があり、下りの最終が21時ちょうどとなっています。山上での滞在時間を1時間程度は取りたいと考えると、20時ごろには上りのロープウェイに乗る必要があります。ホテルを出たのは夕方の19時過ぎでした。コロナ禍で観光客が減っているとはいえ、閉鎖ギリギリに行った方が人は少ないだろうと考えた私は、ロープウェイ乗り場に行くまでに街をうろうろすることにしました。

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 まず函館駅の券売機へ向かい、忘れないうちに明日から6日間有効の周遊パスを購入しました。みどりの窓口に並ばなくても、指定席特急券などが発券できる券売機でお得な切符の項目に進むとボタンがありますのでそこで購入することが出来ます。また発券された切符で4回まで可能な指定席券発行の場合にも、窓口でなく同様の券売機へ切符を挿入して任意の指定席券を発券することができます。一回指定席券を発券するたびに切符に赤い★印が印字されていき、4つ印字されるとそれ以上の指定席券は取れないという訳です。★印の印字は切符を挿入した向きによって変わりますので、綺麗に揃えたい場合は毎回同じ向きで挿入するのが良いでしょう。とりあえずは明日乗車する分の函館→南千歳の特急北斗、および南千歳→釧路の特急おおぞらの2列車分について指定席券を発券しました。4回しか取れない指定席ですから、長距離長時間を乗車する場合を優先して席を押さえる作戦に出たわけです。

 函館という街の中心部は函館山と砂州が構成する平地、およびそれを繋ぐ坂で出来ており、比較的コンパクトな街であるといえます。コンパクトな街とは言ったものの、北海道指折りの観光地ですからポータルは立派な密度で立派な数が存在します。ただがむしゃらに拾っていく方法もありますが、こういう時にはその街に存在する連作ミッションをやりながらユニークを回収していくと効率よく楽しく回ることが出来ます。今回ちょうど五稜郭の写真を使用した12連ミッションがあることを見つけていましたので、これをやりながら移動を始めることにしました。


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 五稜郭の12連ミッションは函館駅前を出て赤レンガ倉庫や運河近くを通り、坂の方と海側を行ったり来たりしながら函館ドックまで進み、そこから函館市電に乗車して五稜郭まで折り返し、五稜郭近辺のポータルをいくつか拾って完了するルートとなっています。函館山のロープウェイ乗り場は、函館駅前から市電に乗って函館ドック方面に進み、途中の十字街という電停が最寄になりますので、ミッションを進めながらロープウェイ乗り場に接近したところで一旦函館山に登り、降りてきた後でミッションを再開します。

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 ミッションを途中まで順調に進めていき、函館山ロープウェイの至近まで差し掛かったので一旦ミッションを中断し、乗り場へ向かいます。既に20時を少し回っていましたのでもう上りのラッシュは終わっており、乗客は私含め10人程度でした。山上駅に着いたところで展望台へ向かうと、一部修学旅行の学生と思しき団体が居た以外は人はまばらで、少し待てば撮影に適した場所に陣取れそうな雰囲気でした。函館の天気予報は曇り時々雨といった感じでしたが、山上到着時は幸い雨はやんでおり、また雲がかかっているため月の光の影響を受けにくく、夜景の撮影にはそこそこ良い状況でした。

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 前回新婚旅行時はiPadメインで撮影したため、夜景だとノイズが多すぎて大した写真が取れませんでしたが、今回はミラーレス一眼に折り畳み式の三脚を持参しています。山上は少し風が強かったのですが、しっかりと三脚を設置しシャッタースピードを8秒~15秒程度で変化させながらちょうどいい光量を探しつつ撮影を繰り返しました。その甲斐もあってか、かなり満足のいく夜景を撮影することができました。使っている機材でいい写真が撮れると、やっと自分の腕が機械に追いついたと思えるから嬉しくなります。その結果、今度は望遠が欲しいとか広角レンズが欲しいとか、一段上の機械を欲しくなり、またその機械を使いこなせるように腕を磨き・・・というのがカメラ沼レンズ沼ってやつなんですね。

 結局、山上展望台閉鎖の21時ギリギリまで滞在し、最終の下りロープウェイで麓へ降りました。最終便の乗客は係員含め10名に満たない程度で、入れ違いに上っていくロープウェイのゴンドラには明かりがついておらず真っ暗なのも最終便の醍醐味です。厳密にはロープウェイはもう1往復することになっており、旅客用最終便と入れ違いで上って行ったゴンドラが、山上で閉鎖作業をやり終えたスタッフを載せて麓まで降りてくることになります。

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 麓へ降りた私は早速ミッションの続きを再開しました。ミッションの対象ポータルは見えているポータル全部という訳ではありませんので、ところどころ自分の判断で寄り道や回り道をしながら多めにユニークを回収していきます。おりしもINGRESSは9周年をひかえており、全ての獲得APが2倍になる期間中でしたので白ポのキャプチャにも気合が入ります。ミッションを進めていき、時には三脚を開いて坂の途中の教会や明治開拓時代の建物がライトアップされている景色や海沿いの夜景を撮影しながら函館ドックへ向かいます。ちょうど終電ギリギリで市電の電停に到着することが出来ました。函館ドック最寄りの電停は開拓時代の表記に準じて「函館どつく」という表記になっています。

 このまま市電に乗って五稜郭まで向かっても良いのですが、五稜郭でミッションを終えた後市電で函館駅前まで戻ることは出来ません。歩くと軽く3㎞はありそうです。そこで市電に乗って函館駅前で降り、ホテルの提携駐車場に停めた車を持ち出し、五稜郭前のコインパーキングに停めてミッションを再開することにしました。幸いにして函館ドックの後ハックすべきポータルは五稜郭公園付近まで存在しません。また提携駐車場に停めている車は1泊600円で何度でも出し入れ可能となっており、これが決め手となりました。車でサクッと五稜郭公園付近まで移動し、コインパーキングに車を停めます。そして残りの対象ポータルを難なくハックして12連ミッションを無事完了しました。

 余談になりますが、路面電車というのはINGRESS的には非常に有効な手段です。
理由はいくつかありますが、主に市街地という一般的にポータルの多いエリアを走ることと、速度が軒並み低速であること、また運賃が比較的安価で長時間乗っていられることが大きいという点が挙げられます。あわよくばキネティックカプセルの距離も労せずして伸ばせる可能性もあります。この辺りについては以前の記事で検証していますので興味があれば参照してみて下さい。

 ここまで来て、空港到着時から今まで飲み物以外何も口にしていないことに気が付きます。INGRESSに夢中になっているとメシの摂取がついつい後回しになりがちで、最終的にコンビニで酒とつまみと少量のおかずを買ってからホテルの部屋でそれを食べる・・・なんて事態によく陥ります。しかしここは北海道、折角来たのですから名物に舌鼓を打って多少良い気分にならなければ甲斐が無いというものです。とはいえ時刻はもう23時になろうかという時分であり、また車で五稜郭付近まで来ているため酒を軸としたお店に行っても心から楽しむことは出来ません。定番のラッキーピエロはもう閉店しているでしょうし、ハセガワストアも近くに見当たりません。

 こういう場合は安牌がありまして、飲み屋街もしくは歓楽街に近いエリアにある深夜営業しているラーメン屋を狙ってリサーチを開始します。最近は便利になりましたのでGoogle先生に「函館 ラーメン 深夜営業」などと入れるとそれらしい店舗の候補をいくつか出してくれます。あとはコロナ禍のの影響で時短営業になっていないことを祈りながら現地突撃してみるしかありません。今年は随分と時短営業に苦しめられ、やっとの思いで辿り着いた店が休業中であったり18時で閉店していたりと惨めな結果になることが多かったのですが、周囲の飲み屋街がそこそこ元気を取り戻しているのを確認したので、おそらくラーメン屋も大丈夫であろうと踏んだのでした。

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 今回行った店はこちら「らーめん ひらき家」です。五稜郭に近い歓楽街の中にある塩ラーメン屋さんで、飾らない外観かつ気軽に入れそうな雰囲気が決め手となりました。塩ラーメンネギ増しを注文すると5分ほどで出てきました。外は少し霧のような雨が降り始めており、気温も夜が進むにつれて下がってきています。そんな中を長時間歩いてきた体に、シンプルで素朴なな味付けながら温かく深みのある塩ラーメンは沁みます。以前、青森で青函連絡船のメモリアル展示を見に行った時に吹雪いていて寒くて死にそうだったのですが、船の展示の前にバスで移動販売をしている函館の塩ラーメン屋が店を出しており、そこで食べた塩ラーメンの温かさと味を思い出しました。完食後、店員からの「温まりましたか?」という優しい問いかけに「美味しかったです、ご馳走様でした」と返して店を後にします。

 さて、遅めの晩御飯を済ませた私はコインパーキングに戻り、この後どうするかを少し考え始めました。レンタカーの営業所の営業時間が朝8時~夜19時であるため、翌日の行動開始は車を返却してからということになります。それに合わせるため、函館駅の出発は少し遅めの8:55にしています。早起きをする必要が無いのであれば、ラーメンで温まった体でもう少し散策をしても良いのではないか。ちょうど車もある、公共交通機関がなくても多少の移動の自由は効く。

 そしてふと、ある単語が私の頭の中をよぎりました。「戸井線」です。
戸井線(といせん)とは、国鉄の廃線のうちの一路線の名前です。ただ厳密には廃線ということではなく、「未成線」という分類となります。廃線というのは営業していた路線が廃止になったもののことですが、未成線は営業を目指して建設をしていたものの、何らかの理由で建設が中止されて結局完成することはなく、その路盤や構造物などだけが遺っているものです。廃線と見た目は同じですが、その成り立ちが違うという訳ですね。一度も列車が走ることはなかったという点において、廃線よりもエモいと感じる人も一部います。なおこの一部には当然私も含まれます。

 戸井線は函館の少し北にある五稜郭駅から東へ伸びて湯の川を通り、亀田半島の戸井までを結ぶ計画でした。戸井の辺りと青森県下北半島の北端である大間とはかなり近く、実は現在の青函トンネルが通っている場所の海峡よりも陸地同士の距離が短い地点があります。当時の軍部が有事に備えた津軽海峡封鎖を目的として、その軍事輸送路線として計画されたものでした。路盤の九割程度が完成しいくつかの構造物なども造られましたが、戦時中の物資不足のため工事が中断し、結局そのまま工事が再開されず建設中止となっています。函館市内の路盤跡はほぼ道路や遊歩道に改修されていますが、戸井に近付くと立派なアーチ橋や放棄された路盤跡を確認することが出来ます。

 まあつまり平たく言うと、その遺っているアーチ橋を見に行こう、ついでにそこがポータルになっているだろうから記念にキーを持ち帰ろう、ついでに軽くドライブして回ってから函館に戻ろう、といった心算で動き始めることにしました。移動狂という生物はこの「ついで」に含まれる範囲が際限なく広がることに恐ろしさの一端があります。函館から湯の川を超えて空港の脇を通り、国道278号線を海岸沿いにひた走ります。旧戸井線のコンクリートアーチ橋は汐首岬という灯台がある岬の近くにあり、近くには防衛用の砲台跡などもあるそうです。現地に到着はしたものの、すでに真夜中ということもあってほとんどアーチ橋の姿は見えません。辛うじて月明りや通り過ぎる車のライトでその形状が見て取れる程度でした。ポータルにはなっていたのでとりあえずハックしてキーは土産物として持ち帰ることにし、その場を後にしました。

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 せっかく戸井まで走ってきたのですから、このまま今来た道をそのまま戻るというのも面白くありません。人によっては「面白いとか面白くないで移動経路って決まるものなんだ」と驚かれる方も多いかと思いますが、これについてはINGRESSを始める前から生粋の移動マニアである私にとってかなり重要なことで、今回の場合も「まあ半島っていうくらいだし、ぐるっと回って戻れるのだろうから回っちゃえ」という軽い気持ちでそのまま半島の外周を回ることにしたのでした。国道278号線をそのまま進み、ところどころ休憩を取ったり道の駅のポータルを回収しながら南茅部という地域まで辿り着き、そこから道道83号線に入って半島内部を一気に南下、函館市街地へ戻ります。函館市内に戻ったのは確か午前3時前くらいでした。ホテルに戻ってシャワーを浴び、すっきりした後に端末をちゃんと充電開始してから床に就きます。こうして初日から随分とボリュームのある行動をこなし、いい感じの疲労があっという間に瞼を閉じさせ、行程の1日目は終わりとなりました。

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 ちなみに、なかばロガーとして使っているトリマというアプリがあるのですが、そのログを見てみると初日の移動経路はこんな感じでした。iPadにはヘルスケア機能がありませんので残念ながら歩数はカウントされません。

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 合わせて、初日に稼いだAP、Explorerなどの伸び具合は上図の通りでした。AP2倍期間にAPEX(30分間獲得APが2倍になるアイテム)を使用して白ポ群をキャプチャ→フルデプ→適当にキーを掘ってとにかくリンクを繋ぎ、たまにラッキーでCFが出来る、という行動を繰り返していると実績もAPもモリモリ稼げます。

■長いよ

すみません。1記事で終わらせるつもりでしたが思いのほか導入部と初日だけで長くなってしまったので分けたいと思います。続きは次記事にて随時公開しますので、面白いと思っていただけた方はご期待ください。
                        ー2日目につづくー











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