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聖地巡礼「相良油田」

 所謂、アニメの聖地巡礼というやつを最近までしたことがなかった。そこまでしたいと思う作品もないし、そもそも出不精だし。
 静岡で舞台になっている有名作品というと『シン・エヴァンゲリオン』とか『ラブライブ!サンシャイン!!』とか『ゆるキャン』とかがあるがあんまりよく知らない。いまだに『ラブライブ』はどれが何ちゃんなのかわからない。『どうする家康』(と言うか大河ドラマ全般)も観ていない。ついでに鉄オタの間では憧れ的な大井川鐵道も近場なのに子供の頃一回乗ったような記憶があるがよく憶えていない。なんか色々もったいない。

 去年、はじめて聖地巡礼をした。『Dr.STONE』相良油田だ。

 近年のジャンプ漫画では『僕のヒーローアカデミア』と個人的2トップで連載開始から読んでいた。稲垣理一郎先生が『アイシールド21』終了後、版権の仕事以外はゲームばっかりしていたと聞くが、それも作品に活かされている気がする。『Minecraft』のようなゲームのクラフト要素を実際に本気でやろうとしたらどうすればいいか、如何に大変か、如何に人類の文明や科学は凄いのか、リアルとSFのバランスの塩梅を取りながら描いている。自分の中では流行りの異世界転生ものとかのジンテーゼにも思える。

(稲垣理一郎/Boichi,『Dr.STONE 3巻』,2017,集英社)
(稲垣理一郎/Boichi,『Dr.STONE 5巻』,2018,集英社)

 ちなみに『ヒロアカ』も設定上は雄英高校や主要キャラの自宅は静岡にあるらしいが、あくまで設定なだけで登場する場所も地名も架空なので聖地とかはない(はず)。

 「相良油田の里公園」。牧之原市に所在。カブを走らせて到着直前で気付いたが数年前に仕事でよく行き来していた場所からかなり近い。でもそれまでそんな場所があるなんて知らなかった。『Dr.STONE』読んでいなかったら一生スルーしていた可能性が高い。他のファンもそうだろう。聖地巡礼とは興味の枠を拡げてそういうことを気付かせてくれるのでいいもんだ。というか連載当時すぐ行けばよかったのだ。

 場所を借りればBBQもできるらしい。広場ではグラウンドゴルフしていた。

(稲垣理一郎/Boichi,『Dr.STONE 11巻』,2019,集英社)

 復元された手掘小屋。扉絵で描かれた通り。

 中も見れる手掘井戸。たたらで地下に空気を送り込んでいたという。

 油田資料館。油の科学や採掘の歴史。

 再現模型等。

 一日二時間労働で高給取りになりたいスね。

 メッセージコーナー。個人的にこういうのは結構書くのを躊躇ってしまう。下描きなしの絵の一発描きとかもできないし。


 油田石油坑(油井)。石油は僅かだがまだ残っているので、隔年のイベントでは汲み上げた石油をその場で濾過して原付を動かしたりしているらしい。それを一番見てみたいが、毎年日程的にどうしても私用と被るので足が遠かった理由である。

 何分、地方で車やバイクでないとアクセスが難しいが歴史的にも意義がある場所だと確認できた。聖地巡礼終了。

 …しかし後から↑の新聞記事にあるような地面から油が湧いて出る場所は見ていないことに気付く。調べてみると石油発見の地で深谷の油田と言って6kmほど離れた場所にあるらしい。

 なので最近また行ってきた。一旦公園の方を訪ねる。資料館に運営費のための募金箱があるので100円入れたら管理人の女性に「以前もいらっしゃったでしょ?」と顔を覚えられていた。基本黒系統の服ばかり着て不審者感がある格好なのと伸ばした髪が股下まで到達しているので、人から一方的に顔を覚えられやすいパッシブスキルが発動している。
 そして深谷の油田に向かう。

 一回道を間違えたが右の山道を進む。左の道には藤が咲いていた

 カブで走っていくが山道の途中、アスファルトの舗装が剥がれて崩壊していてオフロード車じゃないとキツい状態だった。危険と判断したので途中カブを置いて1kmほど歩く。

(稲垣理一郎/Boichi,『Dr.STONE 11巻』,2019,集英社)

 改めて文明は偉大だなあと思いながら開けた茶畑に出る。

 途中、農作業を終えて軽トラの荷台で昼寝をしていた地元の女性に挨拶をしながら到着。

 THE・獣道である。こういう所に入るのは抵抗はないが普通にスニーカーでも険しい。聖地に行くのも楽じゃない。

 数十mほど下るとあった。

 新聞記事と同じ場所。発見の経緯はイノシシが泥浴びしている場所として見つかったらしいが、パッと見は泥溜まりである。しかしよく見ると液体が青みがかって油膜が張っている。そして僅かに油臭い。

 火気厳禁。地面に突き刺さった管からコポコポと石油が湧き出ている。

「唆るぜ これは!」

 満足したので帰還する。来た獣道を若干外れて入口と違う場所から出たり、カブに乗り込んで位置エネルギーだけで下り坂を進んだらエクストリームスポーツ感になってしまったが無事。

 帰りに相良サンビーチに寄ってまったりする。観ていないが映画『花束みたいな恋をした』の撮影が行われたのでここも聖地。

 滅茶苦茶貝殻が落ちていた。文明が崩壊したらここで貝殻集めてぶち砕いて石灰にして石鹸や肥料を作る。

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