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古豪SCARZがシーンを救う 〜CoD Challengers 日本代表決定戦 Springを終えてのCoD eスポーツMWシーズン所感〜

お久しぶりのnote寄稿になってしまいました。
R1CHVRD/リチャードと申します。
先日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が主催する、PlayStation®4用ソフトウェア『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』(以下CoD:MW)の国内公式大会である「CoD Challengers 日本代表決定戦 Spring」の決勝大会が開催されました。
大会を視聴した感想、と言うよりは国内シーンについての所感などをいつも通り主観で色々と書いていきたいと思います。
お付き合いいただければ幸いです。
WW2シーズンから色々と書いていますので過去記事まだ読んだ事ない方はどうぞ。

CoD:MWシーズンの競技シーン

昨年12月にプレシーズンマッチが開催され、その後の本格的な国内公式大会となる「CoD Challengers 日本代表決定戦 Spring」のオンライン予選が1月、2月に開催された。
(オンライン最終予選に関しては私の寄稿したレポートが公式にて公開されていますので参照ください)


決勝はオフラインにて3月に開催される予定だったが、昨今の情勢により延期となっていた。
が、安全面を考慮しスタッフを含めた完全オンラインでの開催が発表され、4月中旬に試合は開催。
録画、編集されたものが5月10日に公開された。
我々ファンにとっては試合間のインターバルも無くスムーズに違和感なく視聴することができた。
まずはこの大変な情勢の中、外に出れずに鬱屈としている我々にこうしたエンターテインメントを届けてくれた関係者の皆さん、そして選手にリスペクトを送りたい。
ありがとうございました。


さて、肝心の試合結果はと言うとLibalent Vertex(以下LV)の優勝。
決勝が延期になり、彼らが目指す場所である海外の本場の大会CDLでも今シーズンのオフライン大会の目処は立たず、何を目標に頑張ればいいのかといった状況で、チーム練習を休止するチームなども出る中でも可能な限り交流戦を続けてきた最強王者の優勝に異論のある者はいないだろう。

そして準優勝はSCARZ。
CoD:WW2シーズン以後、国内CoD部門を休止していたSCARZだが今シーズンよりシーンに復帰。
惜しくも優勝とはならなかったが王者LV相手に最終マップまでもつれ込むなど白熱した素晴らしい戦いを披露。
最古参チームの存在感を再びシーンに示す結果となった。

実は大問題


これはちょっとした、いや全然ちょっとではない問題だと思うのだが、現在のシーンにおいてはLVが強すぎる問題というものがある(猛爆)
厳しい言い方をするといつまで経っても他のチームがLVに追いつけていないとも言える。
プレシーズンマッチではCoD:MWシーズン開始直後からしっかりロスターを固めて順調なスタートを切ったRush Gaming(以下Rush)が惜しくも優勝とはならなかったが善戦を見せてくれた。
が、決勝の延期発表後にチーム練習を休止していたRushが今大会でLVに勝てる程甘い相手ではない

そんな中、オンライン最終予選でRushを下し1位通過を果たした新生SCARZが予選から3ヶ月が経ちどんな戦いを見せるのかと思っていたが…

バッチバチに仕上がっていた(笑)
(笑うところではない)

この「どうせLV優勝するんでしょ問題」が脳裏をよぎりながら観戦している我々に「え?まさか?SCARZあるくね?ワンチャン????」と思わせてくれた、ドキドキしながら最後まで観戦させてくれたSCARZに本当に私はありがとうと言いたい。
もしWinners決勝をあっさりLVが3-0で勝っていたりなんかしたら、私は「LVおめでとう」と心の中でつぶやき二度寝していただろう(おい)
本当にそれほどまでにLVは強い。
でもそのLVがコテンパンにされる程に海外上位層との壁は厚く、日本のシーンは更なるレベルアップが求められている。
昨今の情勢でシーン全体が停滞してしまっては海外との差は開く一方で、「さて来シーズンからまた頑張るぞ!」となった頃にはまたゼロスタート、という事態にもなりかねない。
CoD:BO4シーズンではLVが圧倒的な結果を残しながらも、LVに追いつけ追い越せと各チーム切磋琢磨しながら国内シーンのレベルが一段上がった事は海外大会での各チームの戦績から見ても分かったが、今シーズンのシーンを見ていてその辺に関して私はちょっと懐疑的だったのだが、そんな中でこのSCARZの躍進はまさに希望と言えるものだった。

One Team SCARZ

SCARZの再始動が発表された際、昨シーズン優勝メンバーの元LVのAliceWonderland選手、元Unsold Stuff GamingのリーダーDuffle選手などを中心としてメンバーが発表されたが、正直に言って私が一番興奮したのはねこかん1st氏のコーチ就任(競技シーンへのカムバック)である。
氏はS&Dの国内トッププレイヤーとして、立ち上げ当初よりSCARZで活動したオリジナルメンバーの一人。当時マイナールールであったS&Dというルールの普及をテーマに動画投稿を続ける、国内のS&Dルール普及の最大の功績者とも言えるレジェンドプレイヤー。
(私も御多分に漏れず、かぶりつくように氏の動画を見ていた)
が、この段階では詳細な情報なども無く、コーチとは言っても「S&Dの作戦面でのコーチングが主なのかな?」と想像していた。
その後再始動し始めたばかりの頃の交流戦を見た印象は、正直まだまだこれからのチームだなと言う印象だった。(毎度毎度偉そうな事を言ってほんとすいません。)
そしてその後SYCLOPS athlete gaming(以下CAG)からNgt選手が加入。
個人的にこれは結構グッとくるポイントで、Ngt選手はプロになる以前からARプレイヤーとしてねこかん1st氏をフェイバリットに挙げている。
そしてねこかん1st氏も選手引退後に国内大会を振り返る配信などで、自身のプレイスタイルに最も近い現役選手としてNgt選手の名前を挙げている。
古参ニンマリのこっそり師弟エピソードはさておき、現編成になったSCARZは公式戦デビューとも言える「Call of Duty Challengers日本代表決定戦Spring」オンライン最終予選にてRushを下し1位通過。
密度の高い練習を重ね、短期間で成長を遂げたチームの高い仕上がりを見せつけた。

この時に非常に印象的だったツイートを一つ紹介したい。

先述のようなS&Dのイメージを持っていたねこかん1st氏から発せられたこのツイートは「SCARZを勝てるチームにする」という思いがひしひしと感じられる私の想像を超えた力強いものだった。
先述のオンライン最終予選レポート執筆の際にインタビューの機会があったので
「ねこかん1st氏のコーチ就任についてもファンは気になっている部分かと思いますが、選手たちにとってはどの様な存在なのでしょうか?」と質問してみたところ、
選手一同として「選手一人一人にしっかり寄り添い、チームが間違っている方向に進んでいるときは注意してくれる、とても頼れる存在であり、コーチのために勝ちたいとも思わせてくれる存在です」との回答があったことからも、選手も厚い信頼を寄せている様子がうかがえる。
(チームの状態、雰囲気の良さなどは下の動画で確認する事ができる)

新参チームが「強い選手集めました!」だけで対抗できる程LVは簡単な相手ではない。
考え方や戦術理解、当然個人のスキルなども含めてチーム一丸となり大会延期発表後もしっかり取り組んできた結果だろう。
運営としてもファンミーティングやファンクラブ運営などファンに対してのアピールもしっかり行い、ファンもそれについてきている印象も受ける。
かつては孤高の存在としてライバルすら存在しない程に国内無敵だった最古参チームが、その象徴とも言えるねこかん1st氏の息吹を吹き込まれ、現在の最強王座に食って掛かる。
その新生SCARZを率いるのは、誰よりもその壁の高さを知るであろうAliceWonderland選手、(ちなみにねこかん1st氏とLVのリーダー七面鳥選手は元チームメイト)などなど、語り出したらキリがないほどに何ともドラマチックな展開がこのLV対SCARZというマッチアップには詰まっていたし、そんな私の期待に応えるアツイ試合を披露してくれた。
(私が勝手にあれこれ想像しながら熱くなってるだけ説は十分あり得るが、「SCARZやるじゃん」だけで終わらせたくない埋もれてしまいそうなエピソードを形にして残して、一人でも多くの人がよりCoD eスポーツを楽しんでくれればと思い、書いています。)
SCARZの今後の活躍に期待しています。
(選手の事についてあんまり書けなくてごめんなさい。本当にいいチーム、素晴らしい戦いでした)


Rush、強さの価値は

今年こそはと王座奪還へ向けCoD:MWシーズンに挑んだRush Gamingであったが、Nicochan選手が大会映像の公開以前の4月末に脱退を発表。
今大会終了後にはGreedZz選手も引退を表明し、2名のロスターを失った。
Rush GamingのCoD eスポーツ部門は来シーズンでの再開を目標に活動していく事が発表されている。(5月10日現在)
(正直、Nicochan脱退が発表された時点で、「Rush負けたんやろな…」となってしまったのでこれはどうにかならんかったもんかと思ってしまう)
シーンを代表するチームの事実上の活動休止は結構インパクトがあるトピックにも関わらず、察しが付くというか、想定内というか、外から見ていても分かるぐらいには上手くいっていないというか、色々あったんだろうと察する。

本筋から逸れてしまうかもしれないが、こういう記事を書く場合に本来はRushが優勝から遠ざかっている事についてあれこれ書くべきなのかもしれないが、私はどうもそういう気にはなれない。

CAGのCoD部門が突然なくなってしまったように、eスポーツチームの運営はビジネス的に簡単なものではないのだろう。
そんな中でRushというチームは実にリアリティのある運営をしてきたと思うし、それを可能な限り我々にオープンにしてきてくれた。

賞金だけで、選手活動だけでチーム運営が回らないであろう日本のCoDeスポーツシーンでチーム運営をするにあたって、ストリーミング活動やアパレル展開などに注力していたRushは、日本のeスポーツチームの処世術として正しいと私は思う。
ストリーマーに関してもみんな順調に見える。
(私は、はんてぃのAPEXの配信やライト君のシャドバの配信なども好きでよく観ている)
それとは裏腹に選手の「勝ちたい」という勝利への渇望、運営としても、もう勝利なしでは言い訳できないフェーズに差し掛かっているのを分かっていながら、それでも勝てないジレンマ。
そんなものがあるように私は勝手に感じていた。

Nothing lasts forever

コミュニティ活性化のために動画投稿や配信を行い、CoDファンを増やす、CoDというタイトルを盛り上げる活動を行う事は本当に大切な事だと思う。
Rushは現在のシーン繁栄に最も寄与したチームだと私は思うし、シーンになくてはならない存在だ。
同じように競技シーン全体のレベルの引き上げのために貢献し、最先端を切り開くLVも素晴らしいチームだ。
どちらが正しいとか、どちらがコミュニティにとって有益かとか、そんな簡単な話ではないように思う。
ただ、どんなに強くても、チームが、部門が、無くなってしまったらそれで終わりだという事。
武井壮じゃないけど、どれだけ強くたって、そこに観てくれる人がいなければ、お金にならなければ、成り立たない。
Libalentがスプラトゥーン2の人気チーム「Calamari」との契約を解消したりCSGOの最強チーム「Absolute」が活動タイトルを移行したり、引き合いに出したい話題はあるのだが…気になる人は各々調べて欲しい)

シーン、コミュニティ、選手の将来、いろんな事を考えていると、Rushは結果が出ていないからダメなチームだ、なんて私には言えない。
(だから負け続けても許されるというわけではないし、全面的にRushを擁護したいわけでもないのだが…文字だけで思っている事を全て伝えるのは難しい…)

ただただ思うことは、今後大会にRushがいないというのは残念であり、また強くてカッコいいRushが見たいなと私は思う。
本当に自信があって、CoDが大好きだというプレイヤーはRushのトライアウトに是非応募してほしい。
未来のGreedZzはキミだ。(Rushさん、トライアウトのキャッチコピーにどうですか)

今回決勝進出とならなかったチーム、選手達も、次の大会では決勝まで上がってきて、アツイ試合を見せて欲しいと一人のファンとして願っている。
SCARZだけが強くなってもダメで、もっともっと強いチームがボコボコ出てきて、シーンを活性化させてほしいと願う。
LVが今のまま走り続けて、そんなLVが負ける日が来た時、日本のシーンがもう一つ階段を登る時だろう。

せっかくSCARZがゼロから始めて、Rushがイチから育ててきたシーンが、台無しになってしまうんじゃないか、来シーズンを待つ前にやれる事があるんじゃないか。
そんな気持ちが筆を走らせたのもまた事実です。
シーンの更なる発展を心から願っています。


何のまとまりもない駄文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次の公式大会は良い環境で開催できる事を願っております。


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