25歳と364日

最近まいりばかり見てた流れで、こんな本を買ってみた。

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「絶対一番なるんじゃ」。かつての野球少年達が選んだ芸人への道。焼け付くような焦りの中を頂点目指してもがき、ついに売れると確信した時、相方を劇症肝炎が襲う。人生を託した相方である友の再起を願い、周囲に隠し続ける苦悩の日々…。今なお、芸人に語り継がれる若手天才漫才師の突然の死と、短くも熱いむき出しの青春が心に刺さる感動作。
(「BOOK」データベースより)

2009年発行ということは、ちょうど芸人本ブームの頃だろうか。でもこの本は知らなかったな。

これは本当に関係のないどうでもいいことだが、文庫版だと思って買ったらハードカバーだった。なるほどこれは通販でしかやらないタイプのミスだなぁ現代的だなぁと時代の変化に想いを馳せた。別に言うほどミスでもないんだけれど。ちょっと読みたいだけだったし手に入れば別にどっちでもいい。

わたしはケツカッチンは知っててもベイブルースは全然知らない世代だ。氏の急逝が1994年らしいから、全く物心つく前だ。今で言うとどのくらいの勢いだろう、見取り図?祇園?それともコウテイとかからし蓮根くらいかな?と想像しながら読んでいた。

正直何か目新しい発見がある本かと言えばそうでもなく、まぁ若くして相方が亡くなったという話ならこういう本になるわなという感じではあるのだけれど、それでもなんか一気に読んでしまった。

相方である前に友達だったんだよなと改めて思うと、結構辛いものがある。大好きだった10年来の友人も漫才も、同時に失ったわけだものな。

相方が倒れてから、最初は「半年から1年も入院なんて!どうしよう!」って感じだったのに、容態が悪化するにつれ「また漫才できるなら1年くらい待つ」「3年でも5年でも待つ」「もう漫才はできなくてもいい」「起きなくてもいいからとにかく死なないでくれ」とどんどん希望のレベルが下がっていくのが印象的だった。どんどん下がっていったのに、結局全部叶わなかった。

あと単純に、健康な人間がこんなに急に死ぬことがあるのかというのも改めて衝撃だった。ちょっと熱を出して入院してからたったの数週間じゃ、周りは誰も心の準備なんかできていなかっただろうな。

相方の容態がそれこそ言葉どおり死ぬほど悪いことを、周囲に隠し続けた根性も凄い。そりゃあ相方の死後、糸が切れたように生活がグズグズになってしまう。誰も悪くないのに全部が最悪になることってあるんだと思うと同時に、めちゃくちゃ辛いことだろうなと思う。

ちゃんと死を飲み込んで、新しくコンビを結成して前を向いて終わったのは良かった。没後15年経ってからの刊行で良かったのかも知れない。相方の死を金にしようとしてる感もなく、純粋な本だった。



わたしは本当にこの頃の2丁目劇場を知らないから、もしベイブルースが続いていたらどうなっていただろうと想像することすら難しい。でもそんな未来もちょっと見てみたかったなと思った。

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