凡人のイベント戦略
ここ数年でイベントの開催ハードルが低くなり、誰でも簡単にイベントを開けるようになりました。
それ自体は素晴らしいことですが、一方で主催者や登壇者のメンツが固定化し、あまり入れ替わらないという問題もあります。
むしろ登壇者になるような人たちは、そもそもイベントで聞く側に回ったことがないこともザラ。
ということは、イベントで学ぶことは意味がないのでしょうか。
私の現時点での結論を先に言ってしまえば、「ゆくゆく登壇者になる戦略をもたなければ意味がない」と考えています。
登壇者が一番勉強になるのは事実。でも、突然登壇できるのは天才だけ
よく「参加者よりも登壇者になる方が勉強になる」と言いますが、これは登壇経験者が100人いたら100人が頷くことだと思います。
人前で話すことで自分の考えが体系化されるのはもちろん、控え室や打ち上げで、他の登壇者と表立っては言えない「楽屋トーク」を展開することができます。
イベントに参加するなら、登壇者側として参加すべき。これは疑う余地のない事実です。
しかし、何もない人に突然「登壇してください」とオファーがくることはありません。
一番王道なのはとにかく自分の本業に集中して第一人者となり、登壇オファーをもらうことですが、そのときを待っていては何年もかかってしまう可能性があります。
また、登壇の次に学べるのは「主催者」ですが、突然何のノウハウもない状態でイベントを主催しても、イベントが乱立している現代では埋もれて集客が難しいということは多々あります。毎回「集客が難しかった」という学びだけでは、何も学ぶことができません。
そこで、天才ではない凡人が「イベント」という場を有効活用するなら、登壇までの道を戦略的に考える必要があります。
そのためにはまず、定期的に開催しているイベントの運営メンバーとして入り込むことをおすすめします。
運営側としてある程度イベントの「型」を覚えたら、そのイベントのフォーマットの中で自分でテーマを持って来て主催し、ブッキングから集客、当日のモデレート、開催後のフォローまでを一通り経験します。
これを繰り返すことでノウハウの蓄積はもちろん、運営側ならではの登壇者とのつながりができていきます。
そしてイベントを主催しつつ自分の名前で情報発信を続けていれば、少しずつ登壇やインタビューの機会をもらえる可能性が高まるのです。
イベントに参加する「だけ」では、人生は変わらない
このように、段階を追って運営や登壇につなげるという道筋がなければ、ただイベントで話を聞いて自分の中だけで納得していても、その経験を成功に結びつけることは難しいように思います。
例えるなら、イベントへの参加はWebの記事を読むようなもの。
どんなに丁寧なトークだったとしても、その内容は本質的な話の1割にも満たない部分を切り取って話されていることがほとんどです。
それよりも、イベントをきっかけに時々個人的に飲みに行って深く話を聞く方が、書籍を読むように体系的に相手の考え方を学ぶことができます。
しかも、ときどき叱咤激励してもらえるというおまけ付き。
私がCMC HUBに入ったときは、こうした戦略を持たずに「なんか面白そう!」という動機だったので、自分でイベントを主催できるようになるまで4、5年かかりましたが、きちんと戦略をもってすれば2、3もあれば余裕でイベントを回せるようになり、登壇依頼がくるレベルまでいけるはずだと思います。
正直な話、これまでに参加しただけのイベントで「人生が変わった」と感じたことはありません。
でも、運営に入った瞬間に出会う人や入って来る情報が大きく変わり、それによって人生が大きく変わることは多々あります。
「イベントに参加しても人生は変わらない」を曲解して「だから行かない」と結論づけるのではなく、イベント参加を有益なものにするための戦略をもつことが重要なのです。
上記のような視点をもつと、参加するイベントの選び方も変わります。
まずは「どのイベントの運営なら入りたいか」という視点で、いろんなイベントに足を運んでみると、自分の世界が変わるきっかけをつかむことができるかもしれません。
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(Photo by tomoko morishige)
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