これからは「人」が売る時代
これから、モノを売るのは「人」の力が大きくなっていく。
これだけ聞くと「当たり前じゃないか、これまでも売るのは人の仕事だっただろう!」と言われると思います。
たしかに今でも買い物の90%以上がリアル店舗で、そこにはほとんど販売員という"人"がいます。
しかし実際には店舗へ足を向けさせるのは、場の力であることが多いのです。
特に百貨店や商業施設、商店街といった場所に出店している場合人がくるのはその"場の力"であって、ブランドをめがけて、ましてや特定の販売員めがけて来店するお客様はほんの一握りです。
そうした人通りの多い場所は現在も出店場所として人気が高いのですが、来店者数が担保されている分出店料も高くつくもの。
商業施設への出店料とはすなわち、商業施設のファンにリーチするための広告費だからです。
さらにポップアップショップ出店の際によく相談を受けるのがリソース不足の問題。
短期間とはいえ、リアル店舗をもつというのは多大な労力を要します。
やった方がいいとは思いつつも普段の業務と並行して片手間ではできない…と諦めるケースが多いのです。
そんな中でたまたま目にした海外のポップアップショップの記事。
有名なバスケットボールの選手と女優のカップルがNBAのオールスターイベントの期間中にポップアップショップを開催するというものなのですが、記事を読んでみるとどうやらFancyが協賛しているようなのです。
FancyはPinterestのEC機能強化版のようなサービスで、著名人がピックアップ(=Fancyする)した気になっているものや最近欲しいものをそのまま購入できる、というような仕組みになっています。
ピックアップした人に対しては販売額に応じたレベニューシェアもあり、商品そのもののブランド力よりも個人のおすすめによってものが売れる世界が構築されています。
Fancyが協賛というかたちでリアルの場にも進出してきたということで、今後人を軸にしたポップアップショップがより増えていくのではないかと思われます。
以前「個人の名前でショップを出す時代」という記事にも書いた通り、それぞれのブランドが委託販売というかたちでインフルエンサーに商品を送り、販売額に応じて手数料を支払うという仕組みの実現もそう遠くないかもしれません。
インフルエンサー主体のポップアップショップを支援することで、ブランド側は最小のリソースでユーザーに商品を体験してもらうことができ、インフルエンサーは委託販売だからこそ最小のリスクで個人商店を開くことができます。
Instagramを見ていると、ファッションであれ食であれ商品の見せ方がうまい人はたくさんいます。
そんなインフルエンサーの中にも自分で好きなものをセレクトしたお店をやってみたい、自分のファンと接する場がほしいと考えている人も少なからずいるはず。
これからはすべての場をブランド側の力だけで作ろうとするのではなく、そうしたインフルエンサーを巻き込み、一緒に作り上げていこうとする姿勢のあるブランドこそが伸びていく時代なのかもしれません。
ここ数年「共創」という言葉がもてはやされていますが、共に創るとは「会社」と「お客様」の垣根を取っ払って、「私たち」になっていくことなんじゃないだろうか。
人にお客様がつく時代だからこそ、売ってくれる「人」をこちら側に引き入れていく力が試されるのではないかと思います。
***
こちらもあわせてどうぞ。
(Photo by tomoko morishige)
私のnoteの表紙画像について書いた記事はこちら。
サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!