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今週読んだ海外記事と雑感(2020.2.8)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。
文末の有料パートは海外記事の解説です。

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Apple Watchをジムでのリワードプログラムで活用可能に

Appleが次々にフィットネス事業者と提携し、Apple Watchユーザー向けにリワードプログラムを開発できる仕組みを整えているとのこと。これによってフィットネス事業者はApple Watchを使った独自のサービスを開発し、通常の利用金額と別に会員費をとることができます。たとえばそのジム内にある機器を使った際にどのくらいのカロリーを消費したのか、次におすすめの運動は何か…といった情報をジムそれぞれが提供できるようになる、といった仕組み。さらに決済はApple Payでできるため、Apple Payの利用を促進したいAppleとの親和性も高いよう。
今後はさらにジムそれぞれがパーソナライズした情報を提供するようになり、オンラインパーソナルアシスタントのようなかたちになっていくのだろうなあと思います。

ユーザーフィードバックを集めるためのD2C創業者のアプローチ

ブランド当初から創業者の電話番号を公開し、顧客の声を直接商品に活かすことで成長してきたLaws of Motionの話。こうしたやりとりから顧客が本来欲していたサイズを把握し、体型にあわせた商品をつくることで返品率を3%まで下げたのだとか。(業界平均は20%)
創業者が顧客と直接連絡を取り続けるのはスケールの観点でみると厳しいものがありますが、初期フェーズとしては重要であるとともに、そうした初期の哲学がその後のカスタマーズサクセスにもつながっていくように思います。

Pinterestがコスメの「バーチャル試着」サービスを開始

https://www.voguebusiness.com/technology/pinterest-ar-lipstick-try-on

PinterestがARを活用したメイクアップ商品の「バーチャル試着」を提供開始。3年前にリリースした「Lens tool」を活用し、ユーザーが商品を選んでセルフィーを撮るだけでお試しができる仕組み。特に彼らがこだわっているのは、美しく見せるためのフィルターを使わないこと。商品そのままの色味や質感を体験してもらうためにも、セルフィーカメラのようなフィルターはかけないと明言しているのが面白い。
ブランドは広告配信していなくても無料で使えるため、FacebookやInstagramよりも先にブランドの活用が促進される可能性も?
直近ではジュエリーも同様の機能を実装予定とのことです。

韓国から世界の小売業者が学べること

韓国のEC市場、すでに世界トップ5に入っている上に成長率もトップ10に入るほどEC先進国だったとは…!一方で中国や日本のように圧倒的なプラットフォーマーが不在で、群雄割拠状態だからこそ競争が激化してユニークな体験を提供するブランドやプラットフォームが増えているという話は面白い。
韓国のECの成り立ちとして、もともと東大門市場を中心とした卸売が活発で、仕入れが簡単だったことが成長の背景にあるという話もなるほど。ちなみに今では韓国の卸売もオンラインに移行していて、東大門市場のビルもよく閉まっているようです。
また韓国のECは競争が激しいため、ただモノを売るだけではなくランキングやコーディネートの提案、商品のレコメンドといったコンテンツを絡めることがトレンドになりつつあるよう。これは日本もそうなっていくんだろうなと思います。
一昨年韓国視察に行った際もとてもネットサビーな国で、中国とはまた違うダイナミックさを感じたのでまた近いうちに視察に行きたい…!

入会審査ありのクローゼットシェアサービス「Tulerie」

P2Pのシェアクローゼットサービス・Tulerieがサービス利用前に全員と10分のオンライン面談を導入しているという話が面白い。自分の洋服を預け、他人に貸し出す仕組みなのでコミュニティへの信用こそが重要である、というのが前提にあるもよう。今のところは人力なのでコストも手間もかかりますが、ゆくゆくはオンラインでの行動が自動的に評価されてサービスの利用ができるかどうかが決まったりするのかな…!と思ったり。
このへん、仕組みだけなら中国ですでにできるのでは?とも思います。
またこうした自分の洋服を預けて、貸し出した分だけお金を稼ぐという仕組みも今後広がっていく気がしていて、そうなると洋服を買うということが「投資」に近くなるのかも、と思います。

インフルエンサーブランドを立ち上げるには?

日本でも続々とインフルエンサーブランドが増えてきていますが、アメリカではすでにクローズするブランドも増え、明暗が分かれてきているもよう。インフルエンサーブランドというと新しいものに聞こえますが、本質的にはこれまで芸能人が立ち上げたブランドや飲食店と似た構造であり、その中で残ってきたブランドがどれだけあるかを考えればいかに厳しい市場であるかを実感します。
記事内でいくつかTIPSが書かれていますが、個人的には「自分が支持されているポイントを履き違えない」がかなり大事だと思っていて、美容系インフルエンサーだからオリジナルコスメをつくりました、だけではファン以外には広がらず、数年で終わってしまう傾向が強いように思います。
同じコスメ開発にしても、自分が支持されているポイントはどこで、何を作れば多くの人のペインポイントを解消できるのかを考える必要があり、表面上の見た目や細かいこだわりは二の次なのかなあと。
むしろ高単価でパーソナルショッピングサービスをやる方が安定してビジネスになりそうな気も。
インフルエンサーブランドはD2Cの流れを汲むブームだと思いますが、これまで無形のものだけを扱ってきた人が有形資産を効率的にキャッシュに変えていくには別の才能が必要なので、あまり安易にモノを作るとインフルエンサーとしてのレピュテーションリスクも大きいのではないかと思います。

Pelotnの第三四半期売上は強気の予想を下回る見込み

Pelotonの第3期売上が投資家の予想を下回ったことで今後の成長について懸念する声も上がりはじめているもよう。とはいえ、あくまでバイクというモノをベースにしたサービスである以上は、その購入者がサブスクのキャップになってしまう部分も否めないため、どこかで頭打ちになるのは予想の範囲内かと思います。むしろサブスクのチャーンレートがかなり低いため急激に業績が悪化することはないという点はもっと評価されるべきで、今後はバイクエクササイズの成功をもとにスマホだけでもワークアウトとそれにともなうコミュニティづくりができるようになることを目指すのかなという気も。
D2Cとしてもてはやされてきたブランドに逆風が吹き始めている昨今ですが、サービス化が進んでいるブランドの躍進は今後も続いていきそうです。

ファッションレンタルサービス5つの体験比較

BOFのエディターが話題のレンタルサービス5種類を実際に試した感想記事。日本ではどれも試せないものばかりなので、それぞれの長所と短所がまとめられているのはとてもありがたい。比較サービスは下記の5つ。
・Rent the Runway
・Le tote
・Urban Outfitters
・Banana Republic
・Verdict
はじめの二つはプラットフォーム、UOは完全自社開発、残りのふたつはCaasleというサービスを使ったレンタル、と満遍なく選出されています。
実際に使った感想としてポイントにあげられているのは、レンタル商品を選べるかどうかと届くまでの時間の長さ。細かくいうと課金発生条件や返品ルールについても比較がありましたが、やはり借りる商品が選べてすぐに届くRTRはかなり優秀である、という結論が導けそう。ただ、好みの商品を選ぶのにかなり時間がかかること、もともとパーティーオケージョンからはじまったサービスなのでオフィスカジュアルが少ないという点はリアルな声だなと感じました。
また最終的に筆者は「結局普通に買い物に行く方が便利」と結論づけており、今のところのレンタルサービスへの評価はこれにつきるのだろうなと思います。
店舗で販売商品とレンタル商品を並べるなど、オフラインでの体験が今後は肝になっていくのかなあという気もしています。

Glossirのアイコン「プチプチポーチ」は誰のもの?

デジタルネイティブブランドたちがぶつかる新たな権利問題が意外と根深い…!最近生まれたブランドはあえてロゴを入れずシンプルなデザインのプロダクトが多いこと、またECが主戦場のため各社配送の梱包自体を工夫していることから、Glossierのようにピンクのプチプチポーチがアイコンと化しているブランドが続々生まれています。その形態に権利を主張できるのか?という点はまだ前例がなく、意見がわかれているもよう…。
「何をもってアイコンとするか」は判断が難しいテーマではありますが、ブランドビジネスにおいてIPは重要な資産であり、その解釈はGlossierのみならずあらゆるデジタルネイティブブランドに影響を及ぼしそうです。

GAPグループの横串施策

GAPがグループ内ブランド(GAP、Banana Republic、OLD NAVY、Athleta)のCMO同士のコミュニケーションを活性化させ、「CMOクラブ」を作りブランド全体で施策を共有しはじめているという話。むしろこれまでこうした活動がなかったことが意外。
記事では「ポートフォリオブランド」と表現されていますが、こうした複数ブランドを傘下にもつ企業の強みは、CMOのみならずあらゆる役職で情報交換がしやすいことであるともいえそう。
今後おそらくD2CブランドのM&AによるEXITが増えていくと思いますが(IPOに対して市場が及び腰になりはじめているため)、こうしたCXOクラスの知見を社内に引き込むという点も大きな決断材料になりそう。とはいえまだまだM&Aでの成功事例もあまりないのですが。。。
またひとつの企業がイニシアチブをとるのではなく、似た思想を持ちつつも商材が異なるデジタルネイティブブランド同士が集まってライフスタイルショップ化し、ギルド的な集団を形成する可能性もあるのかもなあ、と思ったりします。

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今週各記事を読んで思ったのは、D2Cブランドのみならず小売関連の企業の施策がどんどん泥臭くなっているな〜ということ。

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