今週読んだ海外記事と雑感(2019.10.26)

今週もNewsPicksでピックしたニュースとコメントを転記してまとめておきます。

有料部分では、その週に読んだ記事を総合して考えたことや個人的な雑感などを書いていきます。

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IKEAが郊外ショッピングセンターの獲得を推進

IKEAがロンドン郊外のショッピングセンターの保有権獲得を目指して動いているもよう。郊外型SCは世界的に苦境に立たされており空きが目立つ状況ですが、その分広い土地を安く使えるのでアミューズメント体験を意識した店舗づくりの場所としてこれから新たな出店が増えるのでは?と個人的には思っています。
郊外にブランド発信のためのリテールテイメント店舗を作り、都市部に商品受け取りや相談ができるタッチポイントとしての店舗を作るという住み分けがこれからのスタンダードになっていく。今回のIKEAの動きはその先駆けになっていきそうな気がします。

NPS活用の落とし穴

顧客満足度の調査指標として市民権を得ているNPSですが、肝である「商品/サービスを友人や家族に勧めたいですか?」という質問への回答と、「実際に勧めたことがありますか?」の質問への回答の間には大きな乖離があり、NPSのスコアが高いだけでは実態を計測するのは難しい、というHBRの調査レポート。
またおすすめしたいと答えた人でも、相手によって勧めたり勧めなかったりと態度は異なり、さらに本人は使いたくないと思っていても商品ベースでみるとおすすめのものを売っているから勧めた、など人間のレコメンドはかなり複雑なので、指標だけではなく顧客の声を聞くしかない、という結論は当たり前といえば当たり前ですが、実際にNPSのスコアだけ見て施策を考えてしまっている企業も少なくないのでは、と思います。
これも当たり前ではありますが、顧客満足度はひとつの定量的な指標のみで測れるものではなく、複合的・定性的に顧客の声を拾うことでしか実態は見えてこないのだなと改めて。

Stich Fix元COOが目指すショッピングレコメンデーションの未来

Stich Fixの元COOがAIを活用したショッピングアプリ「The Yes」を来年ローンチ予定のニュース。詳細はまだ明かされていませんが、ショッピングにおけるレコメンデーションはまだまだ人間の感性にフィットするレベルのものがないので、感性と機械の絶妙なバランスによって急成長したStich Fixでの経験をどのように生かしているのかが気になるところ。すでにファッション業界の有名VCも次々と投資しているようです。
個人的には、モノフォーカスではなくスタイルフォーカスのレコメンデーションからモノにブレイクダウンしていく設計なのではないかと予想していますが、はたしてどうなることやら。来年のローンチが楽しみです。

D2Cブランドが『トランクショー』に回帰するわけ

デジタルネイティブブランドの初期戦略として伝統的な「トランクショー」が大きな効果をあげているという話。特にPart and Parcelがアラスカ在住のインフルエンサーを中心にしたトランクショーを行い、アラスカがもっとも注文数の多いエリアになったという話が印象的。
トランクショーは本来上顧客やバイヤーのために行われるものですが、デジタル時代のトランクショーはインフルエンサーを軸に形成されたコミュニティへと直接売り込みにいくことでファン層を広げていくという位置付けのように感じました。すでに潜在顧客コミュニティが出来上がっている点が単なるポップアップとは異なるポイントなのかなと。
デジタル時代にはいかに効率的に売るかという点が重視されがちですが、こうした泥臭く非効率な取り組みなしにブランドが急成長することは難しいのだなと改めて思います。

SSENSEが作る「ハイパーパーソナライズ」の未来

モントリオールのファッションプラットフォーム「SSENSE」がパーソナライズに特化した自社アプリをローンチ。昨日の「The Yes」といい、パーソナライズレコメンデーションはファッションテックの最大の難関でありながら悲願なのだなと思います。
「The Yes」はInstagramのように自動的に好みのスタイルが提案される形式ですが、「SSENSE」はどちらかというとカタログっぽい雰囲気のもよう?レコメンドの「規格」の正解はどこに軍配が上がるのか気になるところです。

Instagramが整形級の修正フィルターの利用を禁止へ

Instagramが「整形級フィルター」の利用を禁止に。私も以前「美顏修正系のフィルターは整形のシミュレーション的な役割を担っているのではないか?」というツイートをしたことがあるのですが、実際に修正フィルターの一般化と整形件数の増加の関連性が調査されているようです。また、フィルターを過度に使うことによって鏡をみたときの落差からダメージを受けるなど思春期の青少年に与える精神的ダメージについても議論されており、そのうちAppleやGoogleもこうしたアプリに対して何らかの対応が求められていくのかもしれません。
個人的には、こうしたフィルター技術をコスメのレコメンドに紐づけたら普通に使うのにな〜と思ったりもします。

「Sweetgreen 3.0」は店舗体験をどう変えるか?

急成長しているサラダ専門店として注目されるSweetgreenが「Sweetgreen 3.0」と銘打っていた新店舗のオープンに先駆けて、内覧会の様子をレポートした記事。この店舗のポイントは
①待ち時間に楽しめるKIOSKや試食コーナーを設置
②モバイルオーダーで待ち時間を削減
の2つのようです。
さらに①に関しても、KIOSKでの買い物を完全セルフにするための投資も今後行なっていくようで、効率的な買い物体験+新しい味や商品と出会うエンターテイメント性を両立した店舗を目指していくもよう。
ただ、記事中では「ランチのピークタイムにどこまで効率よく捌けるのかが問題」と言及されていた通り、ランチタイムのユーザーは「楽しむ」より「効率」を求めているはずなので、エンターテイメント性の訴求がどこまで意味があるかは気になるところです。

査定ツール「Clair」の価値とリセール市場の未来

バッグのリセールプラットフォームRebagが商品査定に特化したツール「Clair」をローンチ。査定が簡単なのはもちろん、買う前に中古で下取りに出したらいくらになるのかを簡単にチェックできるので、新しいバッグの買い替え需要の創出にもつながりそう。日本だとまさにメルカリがこの役割を担っていて、商品購入前にメルカリで調べてその価格差をみてから買い物をする人も増えてきており、それの高級版といったところでしょうか。
またRebagからすると売る気はなくても査定済みの商品データが溜まっていけば人気に応じて「これを今売ればこんなに高く買い取れますよ!」のプッシュも送れますし、地域や年齢にあわせたバッグの所持傾向も分析できそう。かなり可能性のあるツールだと思います。

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今週個人的に面白かったのは、パーソナライズ系のサービスのニュースが立て続けに2件あったこと。

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