「かかりつけ医」という名のファーストコールを目指す
以前書いたカラー分類の記事が想像以上の反響をいただいたときに印象的だったのが、女性を中心に「私はどこに入るんだろう?」というつぶやきが多かったこと。
友人を中心に「あなたはこれをベースにこのへんを行き来する人だと思う」と占い師のような活動に精をだしてみて思ったのが、みんなまず入り口で悩んでいるのだなということ。
そして、私たちが何かを買おうと思った時、もはや「検索」をしなくなり、代わりに「誰に聞けばいいか」を考えるようになっているということです。
最近メディアもPV偏重型から、いかに信頼を構築し、そのメディアのファンを作っていくかという方に向かっているのも、こうした流れを組んでいるように感じます。
「いかに検索でたどり着いてもらうか」
から
「いかに専門家として指名してもらうか」
がこれからのメディアの戦い方になる。
私はそう考えています。
そして今は、第三者としてコーディネートしてくれる「かかりつけ医」が求められる時代なのではないかと思います。
例えば、ファッションにおける「相談できる相手」はこれまで販売員さんがメインでした。
しかし販売員さんは各ブランドの「専門家」なので、例えるなら大学病院の名医に相談にいくようなもの。
そもそも自分はどこが悪くて不調なのかは、自分で診断して、自力で適切な科を選ばなければならなかったのです。
これまでは適切な科を選ぶためのカタログとして雑誌があり、「CanCam OL」「VERY妻」といったキャラクター分けが雑誌ごとになされていたため、そこに載っているものをそのまま買えばよかったのです。
しかし、カラー分類の記事でも書いた通り、今や各クラスタを行き来する時代です。
つまり自分らしさとはなにか、自分はどうありたいかを自分で考えなければならない状態になったのです。
とはいえ、ほとんどの人は忙しすぎて、丁寧にファッションを考える時間をとることはできません。
だからこそ、ファッションに限らず様々な分野で入門部分をサポートし、その人にあったものを紹介する「かかりつけ医」の存在がますます重要になっていくのだと思います。
例えば「なんとなくコスメを新しくしたいな」と思ったとき、私たちは「ググる」より先に、「誰に聞いたらいいかな?」と考えるようになってきています。
これから人がものを買う時、はじめに想起するのは雑誌でもブランドでもなくインスタグラマーやコスメに詳しい友人なのです。
こうした変化を念頭においてインスタグラマーを含むインフルエンサーと呼ばれる人たちと付き合っていくことが、今後のブランド展開で非常に重要になっていくのではないかと思います。
また、最近旅行に関しても似た現象が起きていくはずです。
その土地の案内人のような人、自分の好みにあわせて現地のコーディネートをしてくれる人。
ただの名所を巡るツアーではなく、私のためにオーダーメイドで組まれた旅程と、現地の人と一緒に行くからこそ入れる場所、得られる知識という付加価値が、今後ますます大きくなっていくはずです。
私は3年ほど前にタイに5日間ほど行ったことがあるのですが、もし今また行くならバンコクで編集者をしているみやじままいさんに現地で人気のスポットや今注目のお店などをぜひアテンドしていただきたいなと思っていますし、NY、シリコンバレー、ベルリン、イスラエルなど、知り合いを辿れば現地に詳しい日本人はたくさんいるはずなので、そういう人たちにきちんとお金をお支払いしてアテンドしていただきたいと考えています。
少し前までは自分で検索して組み立てるのが主流でしたが、専門家とすぐにつながれる時代だからこそ、自分でいちから勉強するよりも、その分野に詳しい人、特に自分のパーソナリティーも理解した上でコーディネートしてくれる人に聞くというのが主流になりつつあるように感じます。
では、自分は何の専門家であるべきか。
どんなファーストコールを受ける存在でありたいか。
それを突き詰めて考えることが、会社としても個人としても、ますます必要になるのではないかと思います。
「何によって憶えられたいかね」
は大きなテーマであり、一生かけて考えるべき問いですが、
「どんな相談を受けたいか」
であれば、もう少し身近な問いとして想像することができるはず。
「あなたは、どんな相談を受けたいですか?」
常にこの問いを頭に置きながら、自分の未来を作り上げていけたら。
最近はそんなことを考えています。
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(Photo by ikepon)
ラブグラフの応援も込めて、表紙写真にラブグラファーさんの写真を使用させていただくことになりました!写真使ってもいいよーという方はご連絡ください:)
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