高校生への読書録①

「ウクライナ戦争は世界をどう変えたか」豊島晋作 KADOKAWA
ウクライナで戦線が開かれてから、1年以上経つ。当初は世界中でニュースになっていたが、日本の僕たちの周りでも、ウクライナのニュースは数ある日常のニュースの一つになっている。
 でも、ネットで切れ端の情報を得るだけでは、全体感はわからない。ただ、ウクライナのかわいそうな映像をみて、悲しい気分になり、虐殺のニュースを聞いて、腹立たしい気分になるだけでは、今後の何にも生かされない。
 この本は、
 ・ウクライナ戦争とは一体なんなのか?
 ・ロシアがウクライナを攻める論理は何のか?
 ・ロシアの周辺の国のリアクションの裏側にはどんなことがあるのか?
 ・国際政治は、この戦争が起こったことによってどんな影響を受けたのか?
 ・中国と台湾を巡る問題、それに対して日本の関わりはどのような影響を受けるのか? 
 を一通り教えてくれる。大変勉強になった。歴史を知ることによって、今の問題をより深く知ることができ、未来の行動や世界観に生かされてくる。
 ウクライナとヨーロッパ・第1次世界大戦・第二次政界大戦は、ナポレオン戦争からの一続きの流れであり、その後、ウクライナ戦争まで当然繋がっている。最近、ネットでもたくさん良い素材が流れているが、COTEN RADIOの「第一次世界大戦」全14回を最近聴き終わったばかりだった。これも、第一次世界大戦の知らなかった世界を教えてくれる非常に良い素材だった。聞き流しても良いので、一通り聞いてみることをお勧めする。
 本書に関しては、中国台湾と、日本を巡るシミュレーションも俊逸と思える。実は、台湾有事の際、速い段階で、石垣島宮古島与那国島といった島々は、制空圏と制海権を握られてしまえば、出入りできなくなる可能性があるというのは驚きだった。
追記:ヨーロッパの国々、いや全ての国々は自分たちが被害者であると思っている。ロシアも中国も、バルト三国も、スカンジナビアも。フランスも。ドイツも、日本も。被害者の場面が違う。この辺の分析も非常に勉強になった。


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