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刺繍 詩

風前の灯火。

それは、彼に相応しい言葉。
内を見るでもなく、まして、外をみるわけでもない。彼方から来たと思えば、また、他所からくる。

永遠の時を求め、顧みることなき、翼。

亡き父の後を追うように、彼も秘かに心征くまで・・・・。

例の事をよく思う人間はいなかった。
いなかったというより、噂されなかった。

いつぞやの猫、名は、隊長。
その名から似つかず、彼は、臆病だった。
いまはかとなき調べを、奏でいて。
今日この頃の秋晴れを、散文リズムで書き上げる。

時に彼は、音の葉の、細部まで愛おしい。

荒れ狂う、時を越え、いつまでも変わることのない荒野に、一滴の雫を落として・・・・。

言うまでもなく、奏でいた調を聴く人もなく。
荒れ狂う荒野に、消え行く。
それを知ってか知らずか、隊長は、座して待つ。
羽毛の座布団も、いまは、汚れる。

彼は待っている。
果てしのない永遠なる調を。

彼は聴いている。
禍の時、その手を止めぬ、あの音が止まるのを。

彼は観ている。
さもなければ、遠い、大空の向こうが、みえないから。

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