いろいろな言語でチャンドラ

令和6年9月17日は中秋の名月、すなわち十五夜です。

チャンドラはインド諸言語で“”を意味し、インドの月面探査機・チャンドラヤーンにも含まれています。
チャンドラは“黄金”も意味しています。
日本語の漢語訳では〈月天〉と表記されます。

デーヴァナーガリー使用言語で母音記号チャンドラは母音字の発音変化を表すために用いられます。チャンドラEऍ・ॲ》及びマラーティー語チャンドラA》は英語の短音A[æ ア]由来の発音、チャンドラO》は英語の短音O[ɔ~ɒ オ/ɑː アー]由来の発音を示します。

今回はいろいろな言語でチャンドラを取り上げます。


いろいろな言語でチャンドラ

インド系文字使用言語における正式なチャンドラの綴りは、先頭に満月記号《🌕》を付加しています。
チャンドラの派生語で、正式な綴りのものは先頭に三日月記号《🌙》を付加しています。

Candra】ほとんどのラテン文字使用言語 - サンスクリット語本来の翻字。
Canhdozloz / Canƅdoƨloƨ / 旃陀罗】チワン
Ceandra】ルーマニア、モルドバ
Cendera / ꤹꥍꥐꤴꥎꤽ】マレー
Chandra】英、インド英、スペイン、フィジー・ヒンディー、ウズベク
Chandra , Candra / ·𐑗𐑳𐑯𐑛𐑮𐑩】イギリス英
Chandra , Candra / 𐐕𐐲𐑌𐐼𐑉𐐲】アメリカ英
Chiên-đà-la / 旃陀羅】ベトナム
Ciandra】イタリア
Csandra】ハンガリー
Czandra】ポーランド
Ćandra】ポーランド、セルビア・クロアチア、ボスニア
Ćândrâ , Ćandra / Чъндръ , Чандра / चन्द्र , चान्द्रा】ロマーニー - ラテン文字表記の《Â・â》及びキリル文字表記の《Ъ・ъ》はデーヴァナ^ガリー表記で母音記号が付かないア段を示す。
Ĉandro , Ĉandra-】エスペラント
Čandra】チェコ、スロバキア、セルビア・クロアチア、スロベニア
【♀〈Čandra〉―♂〈Čandras〉】リトアニア
【♀〈Čandra〉―♂〈Čandras , Čandrs〉】ラトビア
Ċandra】マルタ
Çandra】トルコ、アゼルバイジャン、トルクメン、クリミア・タタール、クルド
Çandra / 𐔃𐔀𐔅𐔖𐔙𐔀 , 𐔃𐔀𐔓𐔄𐔖𐔙𐔀 / 𐕴𐖗𐖬𐖜𐖱𐖗】アルバニア
Jandra / 𐒃𐒖𐒒𐒆𐒇𐒖】ソマリ
Sandra】ラテン - チャンドラグプタは〈Sandrocottus〉。
Tchandra】フランス - 現行正書法では英語と同一の綴りの〈Chandra〉に置き換えられる場合がある。
Tjandra】インドネシア - 旧正書法による表記。固有名詞に用いる。
Tschandra】ドイツ
Tsjandra】アフリカーンス、ノルウェー:ニーノシュク - ノルウェー語ブークモールでは英語と同一の綴りとなる。
Tšandra】エストニア
Txandra】バスク、カタロニア
Xandra】カタロニア
Σάνδρα , Ϲάνδρα】古典ギリシャ - チャンドラグプタは〈Σανδρόκυπτος〉[サンドロキュプトス]。ギリシャ文字ルネイトシグマϹ・ϲ》すなわち“三日月状のシグマ”は古代ギリシャ語諸方言表記または別言語翻字表記に用いるシグマΣ・σ・ς》の異体字。
Τσάντρα】ギリシャ - チャンドラヤーンは〈Τσαντραγιάν〉とアクセントの位置が変わる。
ⲧⳝⲁⲛⲇⲣⲁ / ⲦⳜⲀⲚⲆⲢⲀ】ヌビア
ϭⲁⲛⲧⲇⲁ / ϬⲀⲚⲦⲢⲀ】コプト
𐍄𐍃𐌾𐌰𐌽𐌳𐍂𐌰】ゴート
Чандра】ほとんどのキリル文字使用言語
Җандоло】東干
Ћандра】セルビア、ボスニア
Չանդրա】アルメニア
Չանտրա】西アルメニア
ჩანდრა / ᲩᲐᲜᲓᲠᲐ / Ⴙⴀⴌⴃⴐⴀ】ジョージア、メグレル、ラズ
ᏣᎾᏜ / Tsanadla】チェロキー
גֿאנדרה , גֿאנדרא־】ラディノ
טשאַנדראַ】イディッシュ
צ׳אנדרה , צ׳אנדר־】ヘブライ - チャンドラヤーンは〈צ׳אנדריאן〉。
تشاندرا】アラビア、エジプト・アラビア、モロッコ・アラビア、チュニジア - チャンドラヤーンは〈تشاندريان〉。
ڃاندرا】ボスニア
چاندرا】ペルシア、ダリー、ソラニー、南アゼルバイジャン、ウイグル、カザフ、ボスニア
چندر】パシュトー、ウルドゥー、サラーエキー
چندر ⬅ 🌙چنڊ】シンド
چندر ، چندرا】ジャウィ - マレーシア・ブルネイでは〈Cendera〉[チュンドゥラ], インドネシアでは〈Candra〉[チャンドラ]。
چندرا】バローチー
چندره】タジク
چَندر】西パンジャブ
چَنٛدر】カシミール
شاندرا】エジプト・アラビア、レバノン・アラビア、アルジェ・アラビア、モロッコ・アラビア、チュニジア - フランス語が公用語の国におけるアーンミーヤ表記。
ޗަންދްރަ ، 🌕ޗަންދްރާ ⬅ 🌙ހަނދު】ディベヒ
ܟ̰ܢܕܪܐ】アッシリア現代アラム
ܬܫܢܕܪܐ】シリア
चन्द्र】ヒンディー、ネパール、ボド、ガルワーリー、ドテリ
चन्द्र , चन्द्रः / 𑌚𑌨𑍍𑌦𑍍𑌰 , 𑌚𑌨𑍍𑌦𑍍𑌰𑌃】サンスクリット
चन्द्र / 𑆖𑆤𑇀𑆢𑇀𑆫】カシミール
🌕चन्द्र , चंद्र / 🌕𑂒𑂢𑂹𑂠𑂹𑂩 , 𑂒𑂁𑂠𑂹𑂩 / 🌕𑒔𑒢𑓂𑒠𑓂𑒩 , 𑒔𑓀𑒠𑓂𑒩】マガヒー
चंद्र】アワディー
चंद्र ➡ 🌙चंडु / 𑋀𑋟𑋏𑋪𑋙 ➡ 🌙𑋀𑋟𑋈𑋣 / 𑈎𑈴𑈛𑈵𑈦 ➡ 🌙𑈎𑈴𑈖𑈯】シンド
चंद्र / ಚನ್ದ್ರ / Chandr】コンカニ - カンナダ文字表記はヴィラーマ無しで末子音のみを示す。
🌕चंद्र , चन्द्र / 🌕𑘓𑘽𑘟𑘿𑘨 , 𑘓𑘡𑘿𑘟𑘿𑘨】マラーティー
চন্দ্র ➡ 🌙চাঁদ】ベンガル、ビシュヌプリヤ
চন্দ্ৰ】アッサム
🌕ਚੰਦਰ , ਚੰਦ੍ਰ】パンジャブ
𑖓𑖡𑖿𑖟𑖿𑖨】仏教梵
ཅན་དྲ་,ཅན་དྲ།】ゾンカ
ཅནྡྲ་ , ཅནྡྲ།】チベット
𑐔𑐣𑑂𑐡𑑂𑐬 / चन्द्र】ネワール
ꠌꠘ꠆ꠖꠞ ➡ 🌙ꠌꠣꠘ꠆ꠖꠞ】シレット
ꯆꯟꯗ꯭ꯔ / চন্দ্রা】マニプーリ - ベンガル文字表記では語末に母音記号AAが付加される。
🌕ચંદ્ર , ચન્દ્ર】グジャラート
ચન્દ્ર / 𑋀𑋑𑋪𑋏𑋪𑋙】カッチ
🌕𑂒𑂁𑂠𑂹𑂩 , 𑂒𑂢𑂹𑂠𑂹𑂩 / 🌕चंद्र , चन्द्र】ビハール/ボージュプリー、アンギカ
𑒔𑒢𑓂𑒠𑓂𑒩 / चन्द्र】マイティリー
𑅙𑅧𑅥𑅭 / चन्द्र】マールワーリー
𑊊𑊚𑊘𑊢】サラーエキー
𑠏𑠷𑠛𑠹𑠤 , 𑠏𑠝𑠹𑠛𑠹𑠤 / चंद्र , चन्द्र】ドーグリー
𑚏𑚝𑚶𑚛𑚶𑚤 / चन्द्र】カーングリー
ଚନ୍ଦ୍ର】オリヤー
ᱪᱚᱸᱫᱽᱨᱚ , ᱪᱚᱱᱫᱽᱨᱚ ➡ 🌙ᱪᱟᱸᱫᱚ】サンタル
சந்திர】タミル - タミル文字によるサンスクリット翻字では〈சந்த்₃ர , சந்த்³ர〉という風に下付き3》あるいは上付き3³》で有声無気音を示す。
చంద్ర】テルグ
ಚಂದ್ರ】カンナダ、トゥールー
ചന്ദ്ര➡ 🌙ചന്ദ്രൻ】マラヤラム
🌕චන්ද්‍ර , චන්‍ද්‍ර ➡ 🌙චන්ද්‍රයා】シンハラ
ချန္ဒရာ】ビルマ - 英語経由による借用。
ချန်ဒရာ】アラカン - 英語経由による借用。
စန္ဒြ】モン
စန္ဒာ ➡ စန်း】ビルマ
ၸၼ်ႇတႃႇ】シャン
𑄌𑄧𑄚𑄴𑄘𑄳𑄡𑄧】チャクマ
ចន្ទ្រ ➡ 🌙ច័ន្ទ】クメール
จันทร , จันทระ , จันทร์】タイ
ຈັນທຣະ ➡ 🌙ຈັນ】ラオ
ꦕꦤ꧀ꦢꦿ / Candra , Tjandra】ジャワ
ᬘᬦ᭄ᬤ᭄ᬭ / Candra】バリ
ᮎᮔ᮪ᮓᮢ】スンダ
ᨌᨊᨉᨑ】ブギス
ꤹꥐꤴ꥓ꤽ , ꤹꥄ꥓ꤽ】ルジャン
ᜆ᜔ᜐᜈ᜔ᜇ᜔ᜇ / Chandra】タガログ/フィリピノ
ᜆ᜔ᜐᜈ᜔ᜇ᜔ᜍ / Chandra】ビコル
ᜆ᜔ᜐᜈ᜔ᜇ᜔ᜎ / Chandra】イロカノ
ᜆ᜔ᜐᜈ᜔ᜇ᜔ᜟ】サンバレス
ᜦ᜴ᜰᜨ᜴ᜧ᜴ᜭ】ハヌノオ
錢德拉 / 钱德拉 / Qiándélā】中国
旃陀羅 / ㄓㄢㄊㄨㄛˊㄌㄨㄛˊ】台湾華 - 簡体字及びピンイン表記は〈旃陀罗 / Zhāntuóluó〉。
旃陀羅 / Zin¹to⁴lo⁴】広東
旃陀羅 / Zin¹to⁴lo⁴】広東
旃陀羅 / Chiân-tô-lô】台湾
旃陀罗 / Zòedhulu】上海
짠드라】チアチア
찬드라】韓国
ቻንድራ】アムハラ、ティグリニャ
ⵜⵛⴰⵏⴷⵔⴰ】アマジグ
ꕦꖆꕟ】ヴァイ
ߗߊ߲ߘߑߙߊ߫】マニンカ
【】

チャンドラがチャンドルと発音される場合の表記

ヒンディー語など北インド系文字を使用する言語で〈चन्द्र / 𑀘𑀦𑁆𑀤𑁆𑀭〉がチャンドラではなくチャンドルと読まれる場合、サンスクリット語やネパールの一部の言語では〈चन्द्र्〉, オリヤー語では〈ଚନ୍ଦ୍ର୍〉とヴィラーマが付加され、南インド系文字を使用する言語では原則的に語末にヴィラーマを付加して区別されます。

சந்திர்】タミル
చంద్ర్】テルグ
ಚಂದ್ರ್】カンナダ、トゥールー
ചന്ദ്ര്】マラヤラム
චන්ද්‍ර්】シンハラ