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「湖は、眺めるものだと思ってた」北欧で見た“peaceful”な空間を、日本で再現するには?

2020年11月21、22日、長野県茅野市の白樺湖で開催した「湖畔の時間2020」。quod,LLCの飯塚洋史は「白樺湖レイクリゾートプロジェクト」の一員として、その立ち上げから携わってきた。

祖父母が長野県出身。実は高校生の頃から白樺湖にかよっていたという飯塚。池の平ホテル&リゾーツの矢島社長は、東京大学ラクロス部の一つ上の先輩だという運命的な縁で、導かれるように白樺湖へ。

そんな飯塚がイベントを通して考えた、白樺湖の「これから」を聞いた。

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── 「白樺湖レイクリゾートプロジェクト」の立ち上げ、イベントの企画...そこまでに、どのような道のりがあったのでしょうか?

飯塚 始まりは、池の平ホテル&リゾーツの矢島社長と一緒に、スイスの山岳リゾート「ツェルマット(Zermatt)」を訪れたことでした。矢島さんが社長になったタイミングだったのですが、各々自分の事業に生かす目的で視察に行ったんです。
そこで、「日本にもこういう場所、作りたいよね」と話したのがスタートだったと思います。

日本では、リゾート=レジャー施設、というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。私自身もそうだったのですが、ツェルマットを訪れて、考えが大きく変わりました。

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リゾートの概念は、それぞれの時間を楽しめる場所、ということ。
そうした空間を作るために、自然の力を借りる。非日常ではなくて、“異日常”を体験できる場所を作る。それが、リゾートを作るということだと感じたんです。

ツェルマットでは、ただ余暇を楽しみに訪れる人だけでなく、地元の人が一番楽しんでるんですよね。それを、白樺湖で実現させるためにはどうしたら良いんだろう?と、2年ほどかけて国内外、様々な場所へ視察に行きました。

世界には、どんな湖があるのか? そうした場所と比べて、白樺湖の特徴は?

そんな問いを繰り返しながらたくさんの場所を見て、なんとなく方向性が見えたのが2019年の秋頃でした。それが、「しらかば村」構想です。

ツェルマットは、そこに暮らしている人と、別荘を持っている人、ホテルへ楽しみに来る人の割合が、1:1:1なんです。住んでよし、訪れてよし。そんな場所を白樺湖に作りたいな、というのが、「しらかば村」構想なんです。

この実現にはプロジェクトトータルで10年くらい、あと7〜8年かかるかな、と思っているのですが、「湖畔の時間」のイベントを通して、その兆しが見えてきました。

── こうしたプロジェクト、イベントを通して、「湖」へのイメージも変わったのでしょうか?

飯塚
 私にとっての「湖」って、これまでは眺めるだけのものだったんです。でも、「湖畔の時間」も楽しめるし、その楽しみ方も人それぞれ、いろんな過ごし方があるのだということを、イベントの2日間で実感しました。
私は都市計画を専門としてきて、quod,ではエリアビジネスを担当しています。この「湖」の可能性を、次は地元の産業とつなげていくことが役目だと思っています。

「白樺湖」に限って話すと、標高の高い湖である、という特徴があります。爽やかな空気感があって、どことなく北欧の湖に似ているんです。以前、フィンランドの湖水地方を訪れた時にインスピレーションを得たのですが、その穏やかな様を、地元の人が「peaceful」と表現していて。その言葉が、「湖畔の時間」のキーワードにもなっています。

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そして、農業用に作られた人工湖である、という点も特徴ですね。白樺湖は、地元の人、特に、農業に携わっている方々のモノでもある。だからこそ、「湖って、こんな使い方もできますよ」というビジョンをお見せして、地元のみなさんに「それ良いね」と思ってもらうことがとても重要だと思っています。

さらに、東京、名古屋、大阪といった首都圏からのアクセスが良好であることが強み。シーズン中は各地から観光客が訪れる土地柄なので、地元のみなさんも、外からいらっしゃる人や、新しいものに対する抵抗感が少ないな、という印象があります。

だからこそ、最先端のアクティビティも集まって来るんだと思います。そうした、白樺湖の強みを詰め込んだイベントにできたかなと思っています。

後日、地元のある地主さんから「なんで俺らも混ぜてくれなかったの?」と言ってもらえて。すごくうれしかったですね。

── 今後は、どのような計画がありますか?
飯塚 白樺湖では、シーズンごとのイベント、企画を続けていきたいと思っています。「湖畔の時間」ほどの大きな規模でなくても、地域を巡るツアーであったり、季節を感じられるイベントなど。地元の行政のみなさんとも話を進めています。
レイクリゾート、「しらかば村」構想を、ここだけでなく、日本の他の湖と連携して実現できたらもっと面白いですよね。

quod,でいうと、こうしたエリア拠点開発を、日本各地で展開していきたいです。私は富山、中川は糸島...。まさに今、各地に種まきをしている状況。ぜひ楽しみにしていていただきたいです。

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この先も続く、「白樺湖レイクリゾートプロジェクト」。白樺湖の湖畔に、そして街に生まれる新たな空間は、一体どんなものになるのだろう?

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