遊歩道
膝上まである丈の長いトレーナー。下着はつけていない。私の横にしゃがんだ猫目の女が見上げて尋ねた。
今日はここでおしっこするの?
人通りが少ないとは言え、整備された遊歩道。ちょうどいい。断らないと知りながら優しいふりをした。
ううん やじゃないよ
猫目の女は私に惚れているのか、哀れんでいるのかわからない。両方かもしれない。
キミの趣味に付き合ってたら
わたしも外でおしっこするの好きになっちゃった
私は女の小便にしか興味がなかった。尿道から放出される音、放物線、土に当たる音、泡立ち流れる小便。太陽の下で、人前で、その姿を晒す女。
あ あの人行っちゃった
黒のダウンジャケットの男が通り過ぎていた。猫目の女は私より冷静だった。
ねぇ 誰か来るまで待ってよ
猫目の女はトレーナーの裾を尻までめくった。
終わり
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