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自販機

 会社から閑散期の内に有給を消化しろと言われ、とある離島に赴いていた。自販機の写真を取るためである。自宅PCのハードディスクのほとんどは、中学の時から撮り溜めたその写真である。
  自販機の前には、両手を頭の後ろで組み、腋を露わにした少女が暇そうに座っていた。

ねぇ あたし買ってよ

 飲み物を買おうとしたと思ったのであろう。だとしたら気の利いたシャレである。だがそのシャレは童貞にはキツすぎた。声が震えないよう気をつけ、大人ぶってたしなめるフリをした。

最初はみんなそう言うんだよね

 慣れている。そうでなければ、ああは言わない。そんな事を考えていたら、間を埋めるように少女は続けた。

大丈夫 この辺じゃこういうの普通だから

 大丈夫?普通?少女が自分を売ることが?それを買うことが?我が国では犯罪だったはず。売春島?
 童貞を捨てる準備はできていなかった。するという発想も。童貞を受け入れていたつもりだったが、いきなりの出来事に童貞が主張し、脳が高速回転と思考停止を繰り返した。

もしかしてオマンコ初めてなの?

 見透かされた。
 少女の口からオマンコという言葉が出たことで一層鼓動が早くなった。
 それを落ち着かせるような少女の声。

すごく気持ちいいよ
 初めてならタダマンしてあげる

 母性を感じた。
 状況に身を任せることにした。

終わり

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