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#21 どのメディアも報じない大谷翔平

 アクセスしていただき、ありがとうございます。
 本来、ここではクイズ番組などを通してクイズを論じているチャンネルですが、諸事情により制作が滞っているのが現状です。楽しみにされているごく一部の皆さん、スミマセン。鋭意取材中ですので、もうしばらくお待ちください。

 そこで今回は気分を変えて、私が最近、面白くて一気読みした本の話をいたします。タイトルは『大谷翔平の社会学』(扶桑社新書)です。

(AmazonのHPより引用)

 今やその名前を見ない日はないと言っても過言ではない、野球界の世界的スーパースター、大谷翔平。試合中のプレーはもちろんのこと、グラウンド外での振る舞いや私生活に至るまで、すべてがニュースになるこの男は、いかにしてその確固たる地位を築き上げたのか。その真相に迫る。

 これだけの紹介であれば、一見、アメリカで無双的な活躍を誇る稀代の二刀流選手を礼讃する一冊と思われがちですが、少し勝手が違います。彼を通して明らかになってくるもの。それはロサンゼルス・ドジャースと10年約1015億円という超大型契約実現の背景に潜むグローバル資本主義。“SNSで「映える」男”からあぶり出される、ネット社会との相性の良さ。かつての日本人メジャーリーガーも少なからず受けたことがあり、近年ではBLM(ブラック・ライブズ・マター)に代表されるレイシズム。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)などに見られる各国のナショナリズム。リベラル化が進むアメリカでの政治的正当性(ポリティカル・コレクトネス)。1人の日本人選手をめぐり、日米を軸に国際社会の現状が浮かび上がってきます。

 タイトルに社会学とありますが、著者の内野宗治氏は社会学者ではありません。『MLB.JP』(メジャーリーグ公式サイト日本語版)などの各種媒体に、MLBの取材記事を寄稿するフリーライターとして“メジャーデビュー”した彼が、日本人メジャーリーガーを取材するため、チームのクラブハウスに行った際に感じた、日本人記者たちによる“村社会”的しきたりや、日本人選手、あるいは大谷翔平の“追っかけ”と化した、日本メディアの現地での振る舞いは、好ましい表現ではありませんが、思わず“マスゴミ”と形容せざるを得ません。

 なかなか厳しい表現が続きましたので、ここでお口直し。
 本書のなかで個人的に気に入っている箇所は、日本時間5月20日のアトランタ・ブレーブス戦に先発出場し、日米通算200勝を達成したダルビッシュ有が、多くの野球解説者から現役最強の先発投手と称される理由、そして日本の後輩たちにどれほどの影響を与えたかが分かる、唯一無二の野球観が記されている部分です。彼がベースボールの母国で挑もうとしているのは、自身のプレースタイルやSNSでの情報発信によって、それまで海外から持たれていた日本人選手のイメージや、古き慣習でがんじがらめとなった日本の野球界をアップグレードしようとしていること。彼の影響を受けた1人である大谷もまた、ダルビッシュ同様、アメリカの選手たちに負けない、屈強な身体から放たれるパワーを武器に、キング・オブ・ベースボールの座に君臨しています。
 共に北海道日本ハムファイターズで11番を背負ったエースは、日本人の評価を、確実かつ劇的に変えようとしているのではないでしょうか。

日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(MLBJapanの公式Xより)

「日本人メジャーリーガーのパイオニア」と言われる野茂英雄が、捨て身の覚悟でドジャースと契約を交わし、“トルネード投法”で全米に一大センセーションを巻き起こしてから、来年で30年。国際情勢が大きく変化している今、彼らを通じて、国際社会における日本人とは何か、を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

 改めて、皆さんに質問です。
 あなたがそこまで大谷翔平を応援する理由は何ですか。

 最後までご覧いただき、ありがとうございました。よろしければ“スキ”登録お願いいたします。

 ジャン、ケン、ポン!


 Incredible! Ezra Shaw/Getty Images

 見出しの画像の引用元 Game face on! Ezra Shaw/Getty Images
 本記事作成にあたり、MLB.com、日刊SPA!の記事を参考にしました。

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