サントリー美術館 徳川美術館展 尾張徳川家の至宝
サントリー美術館で開催中の徳川美術館展に行ってきました。
今回、国宝の源氏物語絵巻をはじめとした尾張徳川家のお宝が六本木の東京ミッドタウンに集結。絢爛豪華、ここに極まれり。
庶民にはなんて近寄りがたい。
企画展はお目当ての茶道具のほか、香道具に嫁入り道具、刀剣類などが展示されていました。
今回印象に残ったのは、茶道具をはじめとした数々の名物はもちろんですが、利休百首を深く読む作業が功を奏しているのか、茶道具の知識がだいぶ深まっていることを実感しました。
(noteの更新も近いうちに再開予定)
お茶道具で印象に残ったのが、まずは虫喰と銘打った飴色の茶杓。
16世紀に遡る、千利休の所持品です。
時間とともに移ろう竹の風合い、自然が生み出した節の穴、それを「虫喰」と銘打つ茶人の心意気に感動しました。
また、星建盞という油滴天目。
妖しい色合いと暗闇に輝く斑紋、そしてぼてっと垂れながら固まった釉薬の跡。偶然から生まれた奇跡の品が今に受け継がれたもの、としか説明できません。
そして香のもの。
お香は古来仏教とともに日本に伝わったもので、香りを楽しむ方法が江戸時代に流行したそうです。企画展でも茶道具に並び、葵紋入りの香にまつわる素晴らしいお道具がたくさん展示されていました。
ちなみに先日、たまたま「三友」という花を生け、香を聞く花月のお稽古をさせてもらいました。
火が入ったお炭の上に銀に縁取られた雲母板を敷き、その上に細い香木を置いたものみんなで聞き楽しみます。香炉を両手でとり、お茶碗と反対方向に回して正面をずらし、右手で香炉をふさいで鼻を近付け、ほのかに薫るお香を味わいます。
吸った息を自分の肩に向けて吐くのが特徴(覚えられた唯一のこと)。
これぞ聞き酒ならぬ、聞香です。
お香を楽しむためにも特別なお道具があって、香炉、香を入れる3段の香合、火箸、香や板を挟む銀葉挟、そして伽羅や白檀などの様々な種類の香木。企画展でも葵紋入りの煌びやかで見事なお道具が展示されていました。
こういったものはとても特別なものに感じますが、実はお仏壇の三具足に通じるものがあります。点と点がいつか線になり、面になるように、雲の上の美術品が日用品と結びついていることに気づいた時、ちょっとした快感を覚えます。
さて、今回偶然にもお香が絡んだ稽古を経て企画展に望むことができ、香という芸道への興味がぐっと増しました。しかし1回の講座でも結構なお値段がするようなので、欲がむくむく湧きあがる前にとそっと心に蓋をしました。
香も良いけれど、まずはお茶をしっかり。
ただ花月となるといつも、うっ面倒臭い、と、おそらく後になって後悔しそうな心持ちでしかお稽古に臨めない自分がうらめしや。
もうちょっと頑張り、もっと学ぼう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?