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極寒に、春を感じさせてくれるもの

年末年始もあっという間で、1月もはや6日が過ぎようとしています。
そして今日は本当に寒い一日でした。
来る日も来る日もこんなに寒い日が続くと、暖かい日がやってくるのが待ち遠しくなります。

ところで、1月6日の今日はキリスト教では公現祭という祭日で、たとえばフランスでは「ガレット・デ・ロワ(王様のお菓子の意味)」という人形型の小さな陶器が入ったパイ菓子を切り分けて食べる習慣があるそうです。

フランスでは、季節のお菓子または年中行事に特定のお菓子を食べる習慣はあまりないそうです。
地域によって違いはあるものの、代表的なものはこの「ガレット・デ・ロワ」と、2月2日(シャンドレール・キリスト教の祭日)の「クレープ」、そして12月25日(クリスマス)の「ブッシュ・ド・ノエル」程度のようです。

これに対し、日本ではどうでしょうか。
年中行事にちなんだものといえば、3月のひなあられ(ひなまつり)、4月の桜もちに花見団子(お花見)、5月の柏もち(こどもの日)、8月の落雁(お盆)、9月の月見団子(お月見)…などが挙げられます。

そしてこの時季に和菓子屋に行くと、「花びら餅」もしくは「菱花びら餅」という名前のお菓子が並んでいるのを見かけることがあると思います。

花びら餅

これはお餅(ぎゅうひ)に味噌あんと甘く煮たごぼうを包んだお菓子で、このお菓子の歴史は平安時代にさかのぼるそうです。

裏千家の流派では今でも、新年のお茶会である初釜でこのお菓子がふるまわれます。

フランスのお菓子、先ほどご紹介したガレット・デ・ロワもそうですが、フィナンシェやマドレーヌ、クレープなどは、基本的に小麦粉、牛乳、バター、卵、砂糖を基本としたこむぎ色のものが多いと思います。

その一方、日本のお菓子は、季節の素材が使われていて、また色彩も豊かです。
こうして他国と日本を比べてみると、私たちは身近ないたるところで季節に寄り添って生きてきたのだろう、と改めて思いました。

「花びら餅」というと、花の季節、つまり暖かい春を連想します。
また、白にほんのりピンク色の見た目も、つぼみが膨らんでいるような、待ち遠しい春を感じさせてくれます。
昔の人はこの時期、熱いお茶とこのお菓子を食べ、やがてやってくる季節を思い、寒い時期を耐えていたのかもしれません。
極寒の今朝、暖房がなかなか効かない部屋で濃いめの緑茶と写真の花びら餅をいただきながら、そんなことを思いました。

それにしてもこの花びら餅、見た目によらず「みそ」と「ごぼう」の組み合わせが絶妙なので、お近くの和菓子屋さんで、ぜひ。

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