ハルカヒビク 第三十五話「きぼう」
なんということだろうか。私と遥は付き合っていなかった。私達は付き合ってもないのに、抱きしめ合って、何度も何度もキスをした。順番がおかしいと思う。付き合う前にそんなこと…。なんだか凄く自分がいやらしい人間に思えてきて顔が紅潮する。私は顔を手で覆う。
ドアが開く音がする。顔を覆った指の隙間から覗くと、谷さんが驚いたように私を見ていた。
「え。あんた何してんの?」
山中と噴水で別れた後、私は一人保健室に来ていた。保健室に入った時、谷さんの姿は見えなかったので勝手に座って考えを巡らせ