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お前はMubertでテキストアドベンチャーの主人公になれ

俺は以前、作業中に音楽を聞くようなことはしたくないと言った。音楽が流れていると意識がそちらに向いてしまい集中できない、だから流さない…と。しかしその考えを改める時がやってきたのかもしれない。それはMubertというストイックなヤツとの出会いによる。ヤツは今やすっかり俺の生活に溶け込んでしまった…。


Mubertとは何か?

MubertはA.I.が独自のアルゴリズムでシームレスに音楽を自動生成して延々と流し続けてくれるアプリだ。作っているのはロシア人のチームらしい。何はともあれまずインストールして起動してみろ。”MUBERT FOCUS MUSIC”という文言の後に”STUDY” "WORK" "CREATE"という単語と不思議な図形が、白と黒だけで構成されたクールな画面に表示されるはずだ。

あとは自分の状態に合わせて好きなやつを選べば、自動生成された音楽の再生が始まる。常に一定のリズムでメロディーが流れ、しばらくループした後ある程度の周期でこのメロディーが変わっていく。今のところ無料だがSpotifyのように途中で広告が挟まれることはないため気分を削がれずに済む。「自動生成?どうせ何パターンか用意されたフレーズを適当に繋いでるだけでしょ。そんなのよりYoutubeの作業用BGMプレイリストで好きな曲でも流したほうが…」そんなことを思ったやつもいるだろう。お前は今音楽を何の為に流そうとしている?作業の為だ。作業のための音楽というものは当然作業の邪魔になるものであってはならない。「この曲のこの部分やっぱいいなあ~。」などと呑気に浸っているうちに作業の手が止まり、休憩などと称してSNSの更新をチェックしているうちに1日が終わりやがて投げ出す…。そうならないためには適切な音楽を流すことが大事だ。自動生成のため気に入ったフレーズがあっても同じモノに再会できるかどうかはわからない。自分の脳内メモリだけが頼りだ。俺はこのことから「人でも音楽でも一期一会の出会いを大切にしろ。」という開発者からの強いメッセージを感じた。


主人公になるにはWORKだ

STUDY、WORK、CREATEの3種があるが俺はWORKを勧める。図形のイメージからなんとなく察しはつくだろうが、STUDYが一番おとなしく、CREATEが一番賑やかでWORKはその中間だ。WORKの曲はテキストアドベンチャーなどで登場人物達が真面目な話や作戦会議をしている場面で流れているBGMのようなものを感じさせる。WORKを流しながら作業をすると、俺は今このタスクを終えなければならない立場にある主人公だ…さっさと片付けよう、という気分になり結果として集中力が強化された。STUDYは作業をサポートしてくれるというよりはリラクゼーション的な雰囲気があり、むしろよく眠れそうだ。俺は寝てしまった。CREATEはもう少し白熱しているような雰囲気であり、例えるならWORKの曲で準備していた作戦を実行に移す場面で流れていそうなものだ。これだと少し盛り上がりすぎて俺の場合は作業が阻害される。だからWORKだ。WORKで主人公になったお前に恐れるものなど何もない。


俺が作業中の音楽が駄目だと言ったのは、音楽を聴くことが好きであるゆえだ。Mubertの自動生成音楽は確かに音楽であるが、自分にとって未知のものであり、人の手で作られた音楽のように盛り上がる箇所などは存在しない。だからこそ作業の邪魔にならない程度に気分を盛り上げることができるのだ。A.I.の進化は目覚ましく、いずれ人が作った音楽のようにメリハリのついた音楽もA.I.が作れるようになる時代が訪れるのかもしれない。だがいずれにせよ、こういった盛り上がりの無い平坦な音楽というものも、一つの音楽であり欠けてはならないものなのだ。



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