【あらすじ】
マッチングアプリで異性を漁ったり、虚しいと分かるのに風俗で性欲を満たしたり、人生とは所詮、そんなくだらない事の連続だった。初恋をしたことのない「私」の元に現れた、…
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#小説
不埒な果実は春を見ない|ep.Satoru
序章・エリの視点はこちらから↓
バンドメンバーの一人が「俺、もう抜けるわ」と唐突に言い出して、俺らは演奏を止めた。さっきまでは心地良い音の中にいたのに、それを急に遮られたことに少し不快感を覚えて、俺は顔を歪めずにはいられなかった。
『え、今なんて?』
「だから、抜けるんだよ、バンドを」
この宣言に、俺は正直なんて返していいのか分からなかった。こういうところで茶化そうとしてしまうのは俺の悪