STUDY TO BE QUIET
今年もシュレーゲルアオガエルが鳴き始めた。
気温は10度にも満たないのに、敏感に春を感じとる生き物たちに敬服する。
1月の少し暖かい日に、もしかしてと水辺に足を運んでみたが、水面を騒がせる木片(プラグ)に興味を示す魚はいなかった。
魚の気配は無かったが、浅い岸際にはたくさんのオタマジャクシがいた。しばらく眺めていたが、さながら日向ぼっこをしている黒い子猫のように、無邪気で愛らしい。穏やかなることを学ぶ、ひとときである。
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少し前に、アイザック・ウォルトンの『釣魚大全』を読み終えた。その存在は、ずいぶん前から知ってはいたのだが、旧訳的で読みづらい印象がぬぐえず、いままで手に取ることはなかった。
およそ350年程前に書かれた本なので、日本だと江戸時代の話である。対話形式で進む文章は、17世紀当時の流行りの文体であったらしいが、思っていたのとはイメージが違った。
第1章は、我慢の章(個人的主観です)で、途中で読むのを止めようかとも思ったが、第2章以降はすらすらと読み進められた。
基本的には旅をしながら、弟子に釣りの指南をするという物語であるが、ときおり、詩の朗読というか歌うたいがあり、キリスト教の訓示があったり、人生観や経済に対する示唆が盛り込まれている。
イギリスの釣りの本なので、フライフィッシングについて色々描かれていると勝手に想像していたのだが、そのほとんどが餌釣りであることも予想外であった(一部に毛鉤の記載はある)
当時はまだ、英国式毛鉤釣りのスタイルが確立する前であったようである。しかし、餌の付け方などは妙にリアルで残酷でもあった。
(釣魚大全2という、続編というか合本された著者の異なる二つの著書では主にフライフィッシングについて書かれているらしい)
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色々と書き出すとキリが無いが、個人的に文中で面白かったことを数点選んで終わりにしよう。
マスだかコイだったかは忘れたが、とある池での話。そこに棲むすべて魚の頭の上にはカエルが乗っていて、次第に魚は衰弱し、最後にはカエルがその魚を殺してしまう。やがてはカエルが、その池を支配するという話である。
別の池の猛者であるパイクには、オタマジャクシが数珠繋ぎのネックレスのように首の周りにまとわりついてパイクを締め殺してしまうという。また、カエルのほとんどには何かしらの毒があり、怖い生き物であると綴られていた。
何やら東方見聞録的で、摩訶不思議な記述が魅力的であった。(了)
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追記:
僕の読書スタイル(読書癖)は、就寝前のベッドで横になりながら読み進めるものなので、往々にして日々少しづつ読み、ときどき寝落ちし、時にはどこまで読んだか分からなくなったりすることもしばしばである。なので、多少の記憶違いがあってもご容赦のほどを・・
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