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猛暑の今とパラレルな、もう一つの世界

猛暑の真っ只中で焦がれる日差しを全身に浴びる夏があれば、
ひんやりとエアコンの効いた空間で熱い珈琲、焼き菓子とともに読書する夏も捨てがたい。
いろんな夏の過ごし方がありますね。

心地よく冷えた珈琲店や我が家のワークルームで、この夏読了した中から
珠玉の1冊は、
万城目学作『悟浄出立』

ーーおまえを主人公にしてやろうか!
これこそ万城目学がずっと書きたかった物語ー―。
勇敢な悟空や向こう見ずの八戒の陰に隠れ、力なき傍観者となり果てた身を恥じる悟浄。
ともに妖魔に捕えられた日、悟浄は「何も行動せず、何も発言せず」の自分を打ち破るかのように、長らく抱いてきた疑問を八戒に投げかけた…(裏表紙より)

中国古典の世界を縦横無尽に跳び、これまで脇役に甘んじてきた人物にスポットライトを当てるこの短編集。
冒頭作「悟浄出立」で魂を掴まれた!

悟浄、そうです!
われらが主人公の沙悟浄、孫悟空、猪八戒ら3人が三蔵法師の弟子となり、唐からはるばる天竺まで貴重な経典を求めてあの有名な旅をする物語、西遊記からの一篇です。
昭和のテレビドラマで親しんだキャラクターそのままなところに笑い、
己の不甲斐なさに葛藤する身近でリアルな内面には同化して胸がつまる。
ずっと天竺への旅に同行したくなるほど入り込んでしまいました。
(続編の希望、殺到してるのではないでしょうか)

他4篇も中国古典において名前は聞くけれど、内面までは知りえない人物、趙雲子龍、虞美人らについて、運命の時が描かれます。
しみじみ泣けて、ほろ苦くも愛おしい人生の一瞬に酔い痴れました。

読み耽っているうちに、
路面に陽炎が立つ現代日本の夏の光景と、古代中国の広大な平原や山野の風景が交差する時が訪れます、あなたも体感してみませんか!
表題作がインド絡みゆえ、インディアンカレーと並べてみました。
そう、夏だから、やっぱり後味ピリリの辛さが欲しいのです。


今回夏の連続投稿のお題は、#猛暑の過ごし方 です。
こちらnoteページのテーマとしては、①執筆とその周辺となります。
今回もお読みいただきありがとうございました☆

#猛暑の過ごし方


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