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香水を買ったことだけ、正解だった。

身の丈に合わない恋をしたことがある。

相手は3歳年下の男の子。
すらっと背が高く、端正な顔立ちだった。

何が身の丈に合わなかったか。
まとっている雰囲気である。
年下だけど自分より人生経験が豊富で、自分に自信があった。
とにかく明るかった。

対して私は、性格がダサかった。
「陰キャ」というやつだろうか。
シュッとしたスマートな男性には釣り合わなかった。


付き合うようになったきっかけは、会社の飲み会だった。
同じ部署だったが接点がなく、そこで初めて話した。
気がついたら休日にご飯に行く約束をしていた。

初めてご飯に行った帰り道、また会いたいと言われた。
その場で次の約束をした。
このままだと付き合う流れになると思った。


翌日、香水を買いに行った。
ティファニーの「ローズゴールド」という香水。
甘すぎない香りが大人っぽさを演出してくれると思った。


この恋は長くは続かないと思った。
だから香水を買った。

香水は、思い出を密閉保存してくれる。
ある期間、同じ香水を毎日つける。そして急にやめる。
そうすると、しばらくしてその香水を嗅いだ時
毎日つけていた時期の思い出が蘇る。
これを「密閉保存」と呼んでいる。

この恋は長くは続かないだろうから、密閉保存しておこうと思った。


3か月後、連絡がとれなくなった。
楽しかったな。



#忘れられない恋物語

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