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手放せないから辛くなる~タントラマンへの道(第111話)

蘭:もちろん、全ては『空』の方よ!
あ、でも、あんなに気持ちのいいことまで『空』だなんて、
やっぱり信じられないわ。
ねぇ、あれも『空』だとしたら、どうしたらいいの?

TM:そりゃあ信じられないだろうねぇ!
なんてったって、蘭ちゃんはこっちが怖くなる程激しく悶えるもんなぁ!
いったい、どんだけ気持ち良くなってるのかって、一度で良いから変わって欲しいと心底願ってしまうくらいだもん(笑)。
だから、それだけ気持ちいいことが『空』、実体が無いことだなんて信じられないのは無理もないよ。

蘭:だってぇ、ホントに気持ち良すぎるんだもん。ホントに感じてるのよ。
あの感覚はホントにあるとしか思えないわ。

TM:そうだよねぇ。僕自身も実際に気持ち良さも感じるし、蘭ちゃんが悶えながら身をくねらせたり反らしたり、絶叫したり、潮を吹いたり、痙攣したり・・・しているのが実体がないだなんて、絶対に思えないよ。

蘭:もう! 言わないで~!(笑)

TM:なので、実体があるとか無いとかなんてことは別にどうでも良いんじゃあないのかなぁ。
あ、どうでも良いってこともないかな。もっと正確に言うと、「これは本当は実体がないことなんだ」って知っておくことは大切かな。
その上で、快感は思いっきり味わえば良いんだ。
前にも話したことあったかと思うけど、僕達は、肉体を纏っていないと経験できないことを体験して経験値を蓄積しながら成長することで、大きな命の進化に貢献するために地球にやってきているんだからね。
特に、僕や蘭ちゃんは、性エネルギーを最大限に活用した場合の効果効能のデータを収集する役割を担っているんだから、性を思いっきり探求しなきゃね!

蘭:なぁ~~んだ。それなら良かった! じゃあ、どうして「実体が無い」って知っておくことが大切なの?

TM:その答えは、蘭ちゃんは既に知ってたんじゃあなかったっけ?
さっき、般若心経の一節を口ずさんでただろう?
「照見五蘊皆空 度一切苦厄」って。
 
蘭:あっ! そうか! この世に存在していると思っている何もかもは、本当は実体が無い『空』だっていうことをはっきりと分かった途端に、この世のあらゆる苦しみから解放されるんだったわね。
要するに、あらゆる苦しみの原因は、この世の存在は全て『空』だってことを知らないからだっていうことなのね。
そして、『空』だってことを知らないってことは、実体があるって信じてることになるわけか。
ということは、「実体があると信じていることが苦しみの原因」ってわけなのね?
でも、実体があると信じるとどうして苦しみが生まれるのかなぁ?

TM:そうだなぁ。じゃあ、「実体がある」と「実体が無い」とは何が違うんだろう?
それか、ちょうど良い具体例はないかなぁ?

蘭:そもそも実体って何? 実際にあると思われているものと考えて良いのかしら?
だとすると、目が覚めているときに見たり触れたり出来るものは実体だと思って良いのよね?
あ、そうだとすると、逆に、目が覚めていないとき、例えば夢を見ている時に夢の中に出てくるものは、実体ではないと考えられるのかしら?
だって、夢の中に出てくるものには実際には触れないもん。

TM:まぁ、そんな感じかな。実は僕もその程度にしか分かってないんだけどね(笑)。
じゃあさぁ、リアルにセックスするのと、夢の中でセックスのとではどっちが良い?

蘭:それはもう、リアルに決まってるじゃん!

TM:じゃあ、もし、リアルにセックスすることを禁じられてしまうのと、夢でセックスすることを禁じられてしまうのとでは、リアルの方を禁じられる方が耐えがたいってことになるのかな?

蘭:もちろん、そうなると思う。

TM:なぜ?

蘭:だって、夢はしょせん夢だから、いつかは覚めちゃうし、覚めたら消えちゃうでしょう? だから、そんなのはいくら禁止されても平気なのよ。
でも、リアルは本当にあるんだから、禁止されるなんて嫌だわ。

TM:そうなんだね? でもさ、この世のものは全て「リアルでは無い」んじゃなかったっけ?

蘭:あれれ? あ~、そうか。 本当はリアルじゃないものをリアルだと思い込んでしまっていることが耐えがたい苦痛の原因ってことなのね!
そういう状態って何て言うんだっけ? 拘り? 

TM:お釈迦様は、「執着」って言ってたかなぁ。

蘭:そうそう! 「執着」、「執着」!
確かに、執着することがあらゆる苦しみ、悩みの原因になってるわ!
健康だったり、美貌だったり、若さだったり、お金だったり、地位だったり、人間関係も、何もかも!

でも、そんなリアルだと思っているものごとも、実はリアルじゃないんだから、夢のなかの出来事と同じように失ってしまってもショックなことにはならないはずなのよね。本来は。
なので、「実体があると信じるとどうして苦しみが生まれるのかなぁ?」
っていう疑問に対する答えは、「実体があると思うと執着してしまうから」ってことで良いのかしら?

TM:ま、そんなところかな。

蘭:でもさぁ、執着しないと面白くないんじゃない? 何事も!
スポーツの記録でも、科学の技術でも、それにとことん執着して突き詰めた人がいたから進歩や発展があったんじゃないのかなぁ?
執着しなかったら、改善とかもあまりないんじゃない?

TM:そうだね。執着が無い世界、執着しない生き方ってどうなるんだろう?
執着のある世界からは全然想像も出来ないような感じなんだろうなってのはわかるけど、実感としては分からないっていうのが正直なところだな。

けど、執着が無いと楽になるってのは分かるなぁ。
例えば、好きな女の子がいたとして、中学高校時代の僕みたいに、「この子しかいない!」って執着していたら、ありとあらゆる苦悩に見舞われるのは避けられないよね(笑)
でも、すっごくモテモテで、女の子なんかいくらでもとっかえひっかえ出来るんだったら、一人の女の子に執着する必要もあまり感じなくなるだろうし、全然モテないけど強心臓で無尽蔵のバイタリティの持ち主もまた、一人の女の子に執着することなく、バンバン積極的にアプローチできるだろうしね。
っていうか、そもそも美人だとか好みのタイプだとか言っても永遠なものであるはずも無いんだから、それもまた実体ではないと言えそうだしね。
ま、あまり適切なたとえではなかったかもしれないけど、執着が苦痛の元だったことは確かなように思える。

そして、執着は感動の元にもなりえるのかもしれないけど、執着を手放した先には別世界が開けていて、それはそれで別次元の感動が待っているような気もするんだよね。知らんけど!

蘭:ねぇ! 「苦しみを感じても良いから執着したい」っていうのはあり?

TM:もちろん、ありなんじゃない?

蘭:じゃあ、わたしはこれからもいろんなことに執着して行こうかな!
だって、その方が面白そうだし、生きてるって実感も感じられそうなんだもん。

TM:それならそれで良いと思う! とことんやってみないとわからないことも多いからね。
それに、どうしても辛すぎるってなったときには、「実体なんてものは無い」、空、空、くう、くうって思い出せばなんとかなるんじゃないかな!

蘭:はぁ~~い♪






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