難波さんの『こちら、発達障害の世界より』を思い起こす
難波寿和さんの著書『こちら、発達障害の世界より――生きやすく生きることを求めて』(本の種出版)の刊行から、4年が経ちました。
公式の発売日は2019年12月16日ですが、若干フライング気味で発売されたお店もあって、気がつけば店頭に本が積まれていたという、そんな4年前の暮れを思い出します。
まだコロナ禍が訪れる前の、冬の話です。
編集を担当した人間として、久しぶりに何か短い文章でも記しておきたいなと思いつつ、当時の編集後記を読み返したら、結構ちゃんとしたことを書き残してありました。
編集後記にも書いてあるのですが、この本の中身に関しては、基本的に難波さんから届いた原稿そのままの構成になっています。
難波さんの中から溢れ出してきた言葉を、難波さんが見て、感じて、生きている「発達障害特有の世界」を、その生き様や伝えようとしているメッセージを、過度な装飾を加えることなく本の中に収めておく。
それが同時代の人にとっても、何年・何十年と時が流れたあとにこの本を手に取る後世の人にとっても意味のあることだと感じたのは、今でもはっきりと憶えています。
一方で、あの頃の自分には読み物の単著をゼロから企画・編集したことがなく、じっくりじっくりと原稿がメールで届いてくるなかでも、どんなパッケージの本に仕上げていくべきかのイメージは固まっていませんでした。
だからこそ、編集後記に記したとおり、道のりのさなかでTokinさんという描き手に出会えたことと、すべての原稿が揃ったあとには小川純さんという卓越したデザイナー(でありディレクター)に導いてもらえたことが、『こちら、発達障害の世界より』を形づくるうえで不可欠だったと思います。
1冊の本をつくるうえで、その誰かが欠けても出来上がった今の形にはなっておらず、1人ひとりのつくり手の力が合わさって仕上げられるものだと、本書の編集を通じて教えられました。
さて、4年前に記したとおり、本は出来上がったところが終わりではありません。
企画・編集した者として、どのような立場に変わっていっても、自分が手掛けてきた本を少しでも多くの人の手に届けていかなければと考えています。
それを責務と感じつつ、ただ堅苦しく考えすぎずに、読み継がれ、残していくべき意義のある本だからこそ、改めてそのことを記しておきたいと思うのです。
『こちら、発達障害の世界より』1~23ページの試し読み(PDF)
https://honnotane.com/kanri/wp-content/uploads/2019/11/samplekodhira.pdf
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