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”世界”はいうほど近づいてはいない気がする

『手のひらから世界』という表現をしばしば見かける。
確かに、インターネットの普及やモバイル端末の進歩によって、簡単に世界中の人と通信できるようになった。

一方で、(こちらもしばしば見分するが)個人間のコミュニケーションの質は疎になっている。
その結果、『近い”世界(≒価値観)”』を持つ人とだけ密になり、それ以外の人とは距離ができているように思います。


口書が長くなりました。
みなさまこんにちは、QUESTのトムです。

私はコンサルとして、クライアントである経営者が考えていることの実現を仕事としております。
具体的にはプロジェクトマネジメントが主な業務で、当然プロパーの方の協力が必要になります。しかしながら、その方々は基本的に私の指揮下にはなく、加えて自分よりも専門性は高いです。

ただ、高い専門性を有した人が集まれば事業がうまく行くのかと言えば、そういうものでもありません
個人個人の見ている世界に乖離(ギャップ)があり、うまく意思の疎通ができず力を十分に発揮できなかったりします。

本記事では、指揮命令系統の外にあり、自身より専門性の高いメンバーをどのようにしてまとめ、協働するかについて触れていきたいと思います。



影響力の源泉

ビジネス系のチームビルディング論ではしばしば一体感のあるチームを構築するにはビジョンやバリューを共有することを重要視します。

確かにそれができればいいのですが、ベンチャーやスタートアップのような一部の企業を除き取りづらい手法かと思います。ご多分に漏れず、私のいる環境でもこのような方法は効果効率の観点から取られておりません。

そこで今回は、リーダーシップ論などで取り扱われることのある「影響力の源泉」についてお話させていただきます。影響力の源泉は①ソーシャルパワーと②信頼に分けることができます。以下で詳しく説明いたします。


1.ソーシャルパワー

まずはソーシャルパワーについて列挙いたします。

  1. 報酬パワー
    対象の報酬を左右できることから生じる影響力

  2. 強制パワー
    対象に罰を与えることができることから生じる影響力

  3. 参照パワー
    被影響者が影響者を同一視することで生じる影響力

  4. 専門パワー
    影響者が被影響者よりも高度な専門性を有していることで生じる影響力

  5. 正統パワー
    被影響者が影響者の正統性を認めることで生じる影響力
    合法的支配、伝統的支配、カリスマ的支配に分類できる

  6. 情報パワー
    影響者が被影響者よりも多くの情報を有していることから生じる影響力

  7. 公正パワー
    影響者が倫理的に公正であることから生じる影響力

冒頭の前提にあるように、私には扱えるソーシャルパワーはほとんどありませんね(笑)


2.信頼

信頼とは(小難しく言えば)「特定の個人(またはシステム)が『期待に沿う行動をする』とを信じる別の個人の主観的確率」のことです。
つまり、「過去の行動を未来に援用し割出した確率」の度合なので、過去に期待に沿う行動をしていれば信頼は蓄積され、逆に閾値を超え期待に沿えない行動を行っていると信頼は失われていきます。
また、「信頼」には確認などのコストを軽減させるという効果もあります

「影響力の源泉」にはソーシャルパワーや信頼の他にも、返報性や魅了性などありますが、全てに触れるときりがないのでこの辺で区切りとさせていただきます。

ここで意識する必要があるのは、影響力というのは個人の主観や認知によるところが大きいため、ちょっとしたことで勘違いしうるものだということです。


影響力の獲得

以下では私個人がどのようにして影響力を獲得したか、経験を元に触れさせていただきます。

一番大事なのは「とにかく会って対話すること」だと思っております。この目的は①「単純接触効果」により好意的な印象を持ってもらうこと②情報収集です。

直前でもふれたように、主観によるところが大きいので好印象を持ってもらうに越したことはありません。「単純接触効果」は読んで字のとおりですが、繰り返し接触することで親近感が生じるというものです。
なので、用事を見つけては会うようにします。用事がなければ手伝いなどをしに会いに行きます。

このような方法を取ることで、相手に好印象を持っていただくとともに、相手の考え方の癖や業務に対する理解、大事にしていることなどを把握していくことができます。
(上記の要素に当てはめると、獲得するのは信頼と情報パワー程度ですね)


他者をまとめる

さて、では具体的にどのようにしてまとめるかですが、表面的な言葉を中継したりまとめる役になってしまってはいつまでたってもまとめることができません。
言葉の端々から各々が思っていることを察知し、それにそうように話を持っていく必要があります。
この時、先述したような方法で相手への理解を深めたり好印象を持たれていると非常にやりやすくなります。

そしてこれを主要なプロジェクトメンバーに対してやるわけです。八方美人とも言います

成熟した企業では、理念の共有による一体化などは難しく、また既存の人間関係もあるため心理的安全性が担保されたコミュニケーションが難しい場合もままあります。
そのような時、潤滑油的な働きをすることで、メンバー間で相乗効果を発揮し、組織の力を大きくすることができると考えております。

世の中が便利になった反面、距離が生まれてしまった方々をつなぐ、それが私の仕事です。



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