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【二次創作タカバタケ】(完)『#20』を勝手にBGMで掘り下げます その3 -オリジナル曲-

3回シリーズの最終回。できたら「その1」「その2」を見てからご覧ください。

肝心のお話『#20』はこちらからご覧ください。

全部本編読みたいって方はこちらから。


今回は「その1」「その2」の前後、マリーの回想、及びマリーンとのやり取りのシーンからです。
曲のタイトルは、そのままですが『マリーと、マリーン』としました。
こちらからどうぞ。

想定される物語のシーンを引用します。

βチルドレンにいたとき。友達はいなかったが1人だけ、妹のような存在がいた。
 かわいいマリー。初めて会ったのは俺が10歳。マリーが2歳のころだったかな?
 マリーも両親のデータがなかった。人見知りで、でも俺だけに何故か懐いていた。

 マリーは「ヤマバ、ヤマバ」と俺の後をついてまわった。俺もマリーを抱っこして、頭をなでて、一緒に本を読んで一緒に絵を描いた。

「ヤマバ、明日は一緒にお散歩して。約束ね」
「ヤマバ、あとで絵本を読んで。約束ね」

 マリーの口癖は「約束ね」だった。金色の瞳をキラキラ輝かせながら「約束ね」と、にっこり笑った。

 マリーはマリーゴールドを好んだ。先生に教えてもらったらしい。

「あのね、これマリーの花なの。金色のマリー、わたしのことなんだって。暖かい時はいつも咲いてる花なんだって。いつだって見ることができるんだって」
 マリーは肩までの金色の髪をさらさらと風に揺らし、嬉しそうにそう言った。
 マリーは黄色のマリーゴールドを特に好んでいるようだった。
あの庭で2人で過ごした時間は、本当に特別な時間だった。

 ある日マリーがこう言った。
「ねえ、あそこに太陽があるでしょ」

「そうだな」

「太陽がおっきくなって、マリーたちを殺しちゃうの?」

「どうした急に?」

「昨日授業で習ったの、太陽がおっきくなっちゃったら、みんな死んでしまうって」

「そうか」

「でも、誰か頭のいい人が、なんかして、助けてくれるかもしれないんだって」

「うん」

「ヤマバ、頭がいいからマリーを助けてくれるよね」

「そうだなぁ」

「もう、ちゃんと聞いてよ。マリーとみんなを助けてね。約束ね」

「わかったわかった」

 俺がそう言うと、マリーはタンポポの綿毛みたいな、フワフワな笑みを俺に向けた。

【#20】Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民【創作大賞2024参加作品】より

その後、俺は世界トップの機械総合メーカー『リコウ』に入り、宇宙開発部門を志望して、世界中のブレーンとのパイプを作った。

「ヤマバ、ヤマバ!」

「……マリー?」

「到着しました」
マリーンだ。マリーンの優しい声がする。そうか、自動運転中だったな。

「マリーを思い出していたのですね」

「ああ」

「マリーはいつもあなたのことばかり話していました。あの日も『ヤマバが太陽からわたしを助けてくれるの……』って、弱々しくそれでも嬉しそうに言っていました」

「ああ、その時がついに近づいているんだと思うよ」

「ヤマバ、あなたも救われるのですね」

「世界を救うことができたら、自分の中で決着をつけることができると思うんだ。あの何もできずに、ただ受け入れるしかなかった弱かった自分に」

「マリーは言っていました、『太陽から逃げて、あなたとずっといっしょにいるの』って」

「ああ」

「マリーも連れて行ってあげたかったですね」

「代わりに君を連れていくよ」

「そうね、マリーの形見ですからね」

「明日からいそがしくなるなあ」

「そうです。体は大切にしてください。マリーからヤマバのことおねがいって言われているのですから」

「え?」

「言ってなかったですか。マリーはその最後のころ。『あなたのことおねがい』って私に告げて、医者に私をヤマバに渡すように伝えました。『わたしがいないとヤマバ泣いちゃうし、話し相手もいなくなっちゃうし』と」

「……知らなかったな……」

「ちょっと、泣かないでください」

 酔いのせいだ。
 俺は、しばらくマリーンの中で泣いた。
 思い出の中のマリーは優しく微笑んでいた。

【#20】Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民【創作大賞2024参加作品】より


というわけで、以上3曲ですね。
前半のシーンはオルゴールアレンジでもいいかもしれない。

元々、最初の2曲は昨年作っていてお蔵入りにしてたもの。そして最後の1曲は20年以上に作ったものの焼き直しです。
全然違う曲調のものを3つ、1つのお話の中に入れ込んでみました。

ということは、この物語自体も、登場人物のいろいろな感情が埋め込まれている、ということになりますね。中盤以降、物語が「俄然面白く」なってきたと思えるのは、やはり描かれる人物像が深くなり、感情移入しやすくなってきたからなのかもしれません。

それぞれの曲にライナーノーツを書こうと思えば書けるのですが、あくまで今回は「物語に添えるBGM」として公開したので、やめておきます。

物語がどういう結末を迎えるのか?
いち読者として、楽しみに見守りたいと思います^^


この勝手な企画は物語を読んだ私が、私の作った曲で、勝手に盛り上がるものです。オフィシャルな設定の楽曲ではございません。

「カタバタケ」の二次創作については、こちらをご参照ください^^



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