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Note 82: 間違いだらけのPCパーツ選び(5)CPUクーラー編

素人のパソコンのパーツ選びのシリーズ。
ニワカでいろいろ勉強したのでせっかくだから披露している。
今日はCPUクーラーだ。

選んだのはCooler Master MA410M

CPUクーラー: Cooler Master MA410M 8690円

前のブログではこう書いた。

CPUクーラーの定番は「虎徹 Mark II」であって、それなら3千円で買える。
だが、ぼくはこのMA410Mにした。
これは、いわゆる「光り物」であって、今回透けるケースを使っているのだが、光る部品は現状これだけだ。
別にピカピカしたい願望があるわけじゃないんだけど、こいつはCPUの温度が上がると色が変わるというギミックがあって、それが妙に気になってこれにした。
その結果、ケースも透けるやつにした。
我ながらヘンなこだわりだなー。

CPUクーラーとは何か

CPUクーラーは、自作パソコンを作る人が最もこだわるパーツの1つである。
どっちかというと、CPU、マザボ、グラボ、ストレージという複雑な部品にこだわりそうな気がするが、なぜかクーラーにこだわる人が多い。
Cooler Masterなど、CPUクーラーを作ることを社是に付けられた社名とおぼしい。
(Thermaltake(熱を取る)というのもそうだろう)
もう1つ、妙なこだわりと言えば、CPUグリス、つまり、CPUとCPUクーラーの間に塗るネバネバした液体にもこだわりが多い。

CPUに限らず、コンピューターの部品は大体そうだが、電流と信号が流れると、熱を発する。
CPUなんかは1秒間に何十億回も計算しているので、すごく熱が出る。
いぜん動画で見たが、目玉焼きが焼けるほどの高音になる。

放っておくと火事になるし、その前に故障する。
だが、ちゃんと保護回路がついていて、高音になったら性能を急速に落として熱を下げるようになっている。
また、電気回路が熱を持つとそもそも性能が悪くなる。
ということで、最も熱を持つ部品であるCPUに、クーラーという部品を付けて熱を冷やす必要が生じる。

構造にはいくつか種類があるが、ぼくが買ったMA410Mの場合は下図のようになっている。

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まず一番下からヒートパイプと言って熱が上に伝わる管が伸びている。
で、中間部の四角いのがヒートシンク(sink)と言って、熱が貯まる。
ヒートシンクはなるべく表面積が多くなるように、金属の板がたくさんわずかの隙間を開けて積み重ねられている。
自動車のラジエーターなんかと同じ構造だ。
で、ファンで溜まった熱を吹き飛ばす。
MA410Mの場合はヒートシンクの前後にファンがあって、一方が吸い込み、一方が吹き出しになっている。
PCケースの中にはエアフローと言って風の通り道が決められていて、前面から吸い込んで後面に吹き出すとか、そういう風になっている。
これが空冷式CPUファンだ。

空冷というからには水冷もある。
上のリンクは同じCooler MasterのML420Pという「簡易水冷」型のCPUクーラーだ。
CPUに触れる部分が手前に写っている丸っこい部品で、水枕(みずまくら)という。
ここからプラスチックのパイプが後ろの四角いラジエーターに入る。
ラジエーターは空冷クーラーとほぼ同じで、ヒートシンクにファンが張り付いている。
簡易水冷の場合は冷却水(クーラント)が売っているときから封入されていて、ユーザーが注入したり交換したりする必要がない。

「簡易水冷」の他に「本格水冷」もある。

これは、PCを組み立てるユーザーが水冷のパイプを熱で曲げたりして自分で配管するもので、クーラントもユーザーが自分で入れる。
CPU以外にGPUも冷やせる。
(グラボは分解して水枕を付ける)
なかなかの大工事だ。
本格水冷PCは、いぜん吉田製作所さんが作っていたし、せろりんねさんがいまYouTubeで挑戦している。
ぼくはたぶん一生やらない。
Core i9だと空冷じゃなくて水冷にしてくださいとインテルが言っているようだ。

さいしょ水冷の方が空冷より静かなのかなと思っていたが、別に川のほとりにPC小屋を建てるわけじゃないから、循環する冷却水をけっきょくファンで冷やすのだ。
なんなら水を循環させるポンプの分だけ空冷よりうるさい可能性がある。
それでも、熱源からラジエーターを離せる、ケースの外側にラジエーターを付けられるなどの性能上の利点がある。
本格水冷だと、うまく作ればインテリア的にカッコイイ。
CPUから出る熱の量は空冷も水冷も変わらない。
ただ空気より水の方が比熱、熱容量が大きいので、CPUが加熱しても装置の温度上昇が緩やかになる。

ぼくはCore i7 3GHzというそこそこのハイエンドCPUを使っているが、それでも空冷で十分なようだ。

なお、静けさにこだわるならファンレスという選択もある。

これは、空冷式からファンを取り除いた構造で、ヒートシンクから自然に放熱される作用だけで冷やす。
CPUの放熱性能をTDPという指標で表すが、TDP=150Wまで対応しているそうだ。
Core i7のTDPが95Wだから、十分冷える計算になるが、それはケースのエアフローを確保した場合ということだ。
ファンがないのは魅力だが、難しいので忌避した。

リテールクーラーと社外品クーラー

実はCPUを買ってくるとオマケでクーラーが付いてくる。
インテルのオマケファンは評判が悪い。
Ryzenのはそこそこ評判がいいが、音がうるさいそうだ。
これらのオマケを含む、純正品のクーラーをリテールクーラーと言う。
一方、Cooler MasterやThermaltakeなど、他の会社の製品を社外品と言う。

インテル、Ryzenとも、リテールクーラーは空冷の中でもトップフロー型と言って天辺から空気を吸ってCPUに吹き付ける形だ。
社外品でもトップフロー型がある。

いっぽう、上で紹介したMA410Mのように横に風を吹かせるのはサイドフロー型と言う。
トップフローの方が構造上優れていると思う。
上から吹き付けた風がマザーボードに伝わり、CPUの周りのチップを冷やしてくれるのが期待できる。
でも、現状で社外品クーラーはサイドフローが主流だ。

特に評判がいいのはサイズの虎徹Mark IIというやつ。

4千円で、めっちゃ冷えるらしい。

なお、冷える性能の他に、CPUクーラーのこだわりとしては静音性もある。
一般に、小さいファンをブン回すやつはうるさい。
大きなファンはゆっくり回しても風量がかせげ、冷却性能のわりに静かである。

昔はパソコンなんて工業製品だから、うるさいやつはうるさかった。
掃除機を回しているような音がしたり、ビデオテープを巻き戻しているような音がしたりした。
パソコンを買ってきても、そのままではうるさくて使えず、改造ポイントの第2はCPUクーラーを変えることだったりした。
(第1は電源)

RGB対応LED

ぼくが買ったMA410Mは「RGB対応LED搭載」だ。
RGBというのはレッド、グリーン、ブルーのことで、普通は液晶ディスプレイのことである。
CPUクーラーがRGB対応って?
他に、ケースファン、メモリ、SSDなどがRGB対応をうたっている。
だからケースファンがRGB対応って何??

これは、各部品に七色のLED(発光ダイオード)がくっついていて、ピカピカ光るというものだ。
しょうもねー!!!

CPUクーラー、それはCPUが熱を出して困るから、冷やすためにつけるのである。
CPUクーラーにLEDを付けると何か起こるか。
まず、LEDだからかすかとはいえ、光が出る以上、熱もでる。
余計な配線が必要になる。
部品代が掛かるから価格も高くなる。

部品をいかに光らせても、ケースで遮蔽してしまうと、見えない。
だから、スケスケのケースにする必要がある。
剛性も下がるし、遮音性も犠牲になる。
そこまで犠牲を払って、CPUが光って何がどううれしいか?

別にうれしくない!!
だいたいぼくはパソコンを机の下に押し込むので、側面から部品が光るのが見えてもうれしくないのである。
しかし、時代の趨勢はスケスケであり、ピカピカである。
ASUSとか、Cooler Masterとか、大真面目な大メーカーが「RGBに対応!」とうたっているのをみるとビックリビックリだ。
ということで、いまどき中が見えない、発光パーツの1つもつけないパソコンなんか作るのは偏屈爺じいなのかな?
そう思えてきた。

選んだのはMA410A

ということで、ぼくの選んだのはこいつだ。

単純に光っているだけでなく、グラデーション状に複雑な光り方をしている。
これはイメージではなく、こういう風に光る。
全体が1色ではなく、LEDの1球1球が違う色で光る。
これをアドレサブルRGBと言う。
Cooler Masterの箱にも「Addressable RGB!!」と書かれている。

ところで、RGB対応LEDを駆動するためには、ファンの電源の他にLED用の配線をつけないといけない。
アドレサブルRGBをASUSのマザーにつなぐ場合は、3ピン(○○●○のように途中の1個が埋まった穴になっている)に対応する||␣|型のジャックが必要になる。
買ったマザーには、なかった><
つないでも、アドレサブルにならず、赤、青、黄の単色に順繰りに光るだけである。
3ピンジャックがなくてもできる、という情報がアマゾンのレビューにあったのが、ぼくのMA410Mが不良品だったのか、このレビューが間違いであったか。
もう1つ、このクーラーにはコントローラーがついていて、それにUSBジャックがついているので、マザーボードの9ピンコネクターをUSBに変換して挿せばアドレサブルになるという説もある。
いちおう9ピン=>USBの変換コネクターを注文したのだが、まだ届いていない。
どうなんだろうね。

でも、ぼくとしてはアドレサブルはあんまり関係なくて、MA410Mの面白いギミックに惚れてしまったのだ。
これは、CPUの温度センサーに連動し、光る色が変わる、というものだ。
ふだんは青い。
CPUの負荷が増し、部屋の気温もあいまって、性能が下がってくる温度に達したときは、黄色、赤になると言う。
面白い!
(まあ、星やガスの炎のように、実際には赤いほうが低音、青の方が高音なんだけど)

そして、マザーボードに制御端子がなくても、付属するリモコンの機能で色を変えられるという。

ぼくはWindowsも使うけどLinuxも使う。

パソコン自作系の動画を見ていると「マザボの制御は専用アプリから……」とか言っているけど、たいていWindows前提なのだ。
しかし、MA410Mは、専用リモコンで設定、制御できるのが良さそうだ。
まあ、リモコンと言ってもケースの中に転がして置くことになりそうだが。

取り付けの謎

レビューを見てると、とにかく取り付けづらい、と書いている。
取説通りに、付属の専用工具を使うと、ぜんぜんくっつかないという。
取説には、ファンを取り外さずにそのままCPUに載せ、横から専用工具で回すように書いている。
ネジにはバネがついていて、これだとぜったいくっつかないと思う。
実は、取説を無視して、ファンを外し、上から長いドライバーでくっつけるといい。
付属の工具は無視する。
この動画がためになった。

取説がアテにできないなんてビックリだ。

ベンチマークで性能テスト

性能的には、特に不満はない。
動画の書き出しとか、そこそこ行っているが、ファンの轟音で悩まされたことはない。
だいたい冷蔵庫の音とか、エアコンの音がしているので、それに比べて「無音」だ。
色は、机の下だから見ていない。
だめじゃん!
たまに気になって見るけど、だいたい真っ青だ。

もしかしてちゃんと動作していなくて、高音でも青かったらどうしようと思って、動画を撮影しながらベンチマークを回してみた。
定番のCINEBENCHだ。

平熱時は38℃、ファン回転数は950RPMぐらい。
CINEBENCH起動直後にちょっとだけ高速回転して1790RPMぐらいになったが、高速回転は5秒間ぐらいで、その後は56℃、1050RPM近傍で落ち着く。
色は赤くなっている。
ベンチが完走するまで、ずっと温度も回転数も変わらなかった。
完走後、1分ぐらいで平熱に戻った。
面白い!
まあ、机の下に置いてるから、ふだんは見ないんだけどね。

総評

CPUクーラーをいま買うなら、Core i7ぐらいなら普通は虎徹Mark IIでいいかなって気がする。
でも、ぼくはMA410Mでも満足だ。
いずれにせよ、4千円〜6千円ぐらいの、空冷タイプで十分だと思う。

(この項終わり)

会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA