Note 53: インターネットがたまに嫌になる

特に役に立たないよしなしごとを綴るよ。
忙しい人は読まないでください。

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インターネットは世紀の発明で、俺なんか朝起きてから夜寝るまで、すべてインターネットのおかげで生きている。
しかしながらと言うべきか、であるだけにと言うべきか、たまにインターネットがたまらなくイヤになる。
人づきあいが苦手だから引きこもってパソコンに向かっているのに、匿名の人が馴れ馴れしく寄ってきて変なことを言う。
気分は台無しだ。
安からぬ家賃を払って、アパートの一室で雨風を凌いで暮らしていても、インターネットをつけっぱなしでいる以上は、新宿の路上に座っているのと一緒だ。

発信欲の恐怖

いや、ある意味状況はもっと悪い。
新宿の路上で座っていても、それほど知らない人に話しかけられない。
しかし、インターネットをつないでいると、いろんな人に話しかけられる。
たいていは広告を見せたい人だ。
中には情報商材というウソの儲け話をする人がいる。
それ以外に「自分が思っているいいと思うこと」を聞いて欲しい人がたくさんいる。
まあこんなnoteなんかやってる俺もその1人だけど、どうしようもなく、ときどき疲れる。
そして、これはまったく理解できないのだが、ただ不特定多数の人に嫌な気持ちになってほしいので変な情報を流している、精神的通り魔みたいな人がいるのだ。

インターネットというと、有益な情報がどこでも得られて便利、というイメージがある。
しかし多くの人は、専門家の情報や確度の高いニュース、識者の見解や妥当な集合知には興味がない。
ただただ発信したいのである。

誰でも発信したいことを発信するのはいいことだし、発信できることは素晴らしいことだ。
繰り返しになるがぼくもこんなnoteなんかやってるんだから、その自由を謳歌している。

しかしながら、特に発信したいこともないのに、ただただ発信したいと思って、手段が目的になっている。
今日のお昼ごはんとか、服装とか、それはまあ罪がないし、俺も発信するけど、そこまであなたの一挙手一投足に興味ないですって人もいる。
そしてひどいのになると、電車の中で見かけた変なオジサンの写真とか送ってきて、炎上して、いなくなる。
さいきん地味に苦手なのが、若い女の人が自分の顔をCGアプリで膨らませたり引き伸ばしたり、奇怪な顔に加工してSNSに貼るやつだ。
びっくりするし、不快な気持ちになる。
まあ、悪意のないジョークであって、こっちのメンタルが弱いのが悪いんだろうけど……。

「いかがでしたかブログ」の終末感

今やネットと言えばSNSであって、ブログというのはもう何の役にも立たない。
ていうかWeb全体がダメなんじゃないか。
いわゆる「いかがでしたかブログ」が猖獗を極めているからだ。

先日、やよい軒でキャッシュレス決済が出来るか調べたいと思って、iPhoneで検索してみた。
すると、Googleの検索順位一位に以下の表示が出た。

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にゃるほど、やよい軒で電子マネーは導入されていないと分かる。
ブログを開かないでも分かるのだ。
あははざまあみろ>「いかがブログ」!
必要な情報だけをGoogle様が抜いてくれるので、あの冗漫な文章を読まなくてもいいのである。
こういうところがGoogleは偉い。

ということで、数秒で知りたいことが分かったので、もう用なしだが、それにしても多いね、「いかがブログ」……。
何千個もある。
こういうの、1字1円でかわいそうなフリーターの人が書いているのかと思っていたが、一部は明らかにプログラムが書いている。
「やよい軒でQRコードが使えるかは<<???>>ということです!」などと、バグって表示されているサイトがあった。

機械が書いた文章なんだから、機械に読ませるのが筋だ。
じっさい、Googleが代わりに読んで、要点を表示してくれる時代になったので、「いかがブログ」なんか設置しても、もう無駄だ!
消えろ!(⌒▽⌒)

しかしながら、日本のオトナ企業には、無駄で無意味なものを廃止せずに営々と運営し続け、企業同士でお金を回し合って売り上げを立て、見た目上仕事していることにする文化があるので、これからも、無駄なブログが、誰からも見られずにひっそりと運営されていくのだろう。

芸能人のゴシップに、生活に役立つ豆知識に、「いかがブログ」は氾濫している。
絶対に茶化してはいけないはずの「健康と病気についての情報」が特にひどい。
昔、親父が膵臓がんになったときに、藁をもすがる思いで「膵臓がん」で検索すると「それは前世の因縁です!」というサイトが検索第1位で出てきた。
これはダメージを受けた。
悪意のある人が作った、しょうもないサイトほど上位に出てくる。
それは「SEO対策」というテクノロジーが行き届いているからだ。
何百個もブログを運営してお互いにリンクして、見た目上の情報の信頼度を上げるらしい。
それに何の意味があるの……。
上の事例は2010年のことだから、Googleが頑張ってこういうサイトは駆逐したと思う。
しかし、イタチごっこで、制限をすり抜けて変な情報を撒く人が出てくる。

そして広告がゲスい。
ゲスい広告のことなんか書きたくないけど、SNSでウソをつく昔の友達がどうのというレディース・コミックとか、鼻の毛穴に脂が詰まってるとか……。
こんな変な広告、スポーツ紙にも男性週刊誌にも載ってないよ。
インターネットなんて技術の粋をこらした、フューチャーな響きがあるけど、実情はまったく違う。
こんな未来なら来なくて良かったんじゃないかとさえ思う。

素人のブログが怖すぎる

まあ、悪徳商人は金のためにやってるんだからある意味しょうがない。
問題は素人の、どーってことないブログである。
いぜんBluetoothイヤホンがつながらないのでネットで検索すると「Bluetoothイヤホンのトラブル」という検索上位のサイトがあった。
開いてみると「Bluetoothのイヤホンがつながらん! 腹立つ!」と大きな文字で書かれていて、交通事故の画像が貼ってあった。
どひー……。

こういうのは、もう、腹も立たない。
いろいろな面でかわいそうな人のブログだと思う。
かわいそうな人はどうしようもなく一定数存在する。
がんばって幸せになってほしい。

しかし、そういう人がコンピューターとか携帯を駆使して、変な画像なんか世界に発信する力を持つ必要ありますか。
そういう人に限ってSEO技術を知り尽くしていて、検索上位をキープしているのだ。
その才能を善に使って欲しい。

コンピューターも、ネットも、弱い人間の力を強くするものだ。
これまで発言力がなく、埋もれていた人が、匿名で発言できるのは、間違いなくいいことだ。
だからジャスミン革命が可能になった。
原則、世の中は良くなっているんだけど、そのぶん自分にとって必要のない情報で、神経をすり減らされることが増えた。
そういう状態だ。
そこまでは把握できているのだが、なにぶんにも力不足で、解決策は思いつきません。
まあ、世の中を良くしたいとか思っても無駄なんで、メンタルをハックするのが早いのかなって気がする。

(この項おわり)


会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA