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第9回:定年退職は人生の大きな節目!(その1)再雇用と条件に愕然とする!

高久和男と昌宅由美子の「輝き続けるゴールド人財への道!」

由美子:私は定年後の再雇用になって2年。和男さんは1年経ちました。和男さんが定年退職となった時はどんな感想でしたか?

和男:3回目のがん治療真っ最中の中で定年退職の日を迎えたので、ハッキリ言って病気と闘うのに精一杯で、定年退職に対する意識はすっ飛んでいました。病院のベッドの上、しかもコロナ禍真っ只中で60歳の誕生日を迎えたので、定年退職ってことに対して特段実感っていうものが湧かなかったです。由美子さんは普通に定年退職の日を迎えたわけですが、何か思ったことはありましたか?

由美子:私にとっては、やはり大きな節目でした。定年退職の日、42年間働いてきた会社を定年退職したんだと思うと感慨深かったです。よく頑張ったなぁという気持ちと、もう、会社の人間じゃないんだっていう寂しい気持ちがありました。
再雇用がない時代なら、60歳で定年退職の日に花束もらって「お疲れ様でした」という風景があったんだと思いますが、今は、再雇用で継続する人がほとんどです。寂しい気持ちは定年退職の日だけで、翌日からも前日と変わらない仕事をしていました。
でも、実は定年を迎える2か月前位に信じられないショックがあり、心の葛藤が続きました。

和男:・・・2か月前に何がありましたか?

由美子:定年の2か月前に再雇用の雇用条件と雇用契約書が送られてきました。再雇用している先輩から大体は聞いてはいましたが、記載されている雇用条件の内容を見ました。その中に提示された給与の金額を見てショックというよりも、愕然としました。自分の価値がこんなに低いなんて!と。今まで会社のためにと頑張ってきたのは何だったのか?会社に見捨てられたような思いが心の中を駆け巡りました。すぐに雇用契約書に、ハンコを押すことなんてできず、2週間位机の中にしまっていました。完璧な現実逃避です。

和男:私の場合は、由美子さんとは逆の気持ちかもしれません。入院中だったので自宅に「再雇用通知書兼承諾書」というものが送られてきました。 定年後は退職するのか働き続けるのか聞かれることもなかったので、どうすればいいのかなぁと思っていたんですが、継続して働きたいのであれば署名・捺印して送り返して、と言うものでした。”退院したら働く場所がありませんでした!“、なんてシャレにならないし、”3か月会社休んでいても再雇用してくれるんだったらお世話になろう”。ある意味感謝の気持ちで手続きをしました。
再雇用で働きたい多くの人は、「従業員が希望すれば、会社は全員65歳まで雇用してくれる」と勘違いしていると思うんです。実は会社は全員雇用する義務はないことを知らない。

由美子:えっ!そうなんですか?

和男:高年齢者雇用安定法をよく読んでみると、「希望者全員に65歳までの雇用の機会を与えなければならない」って書いてあるんです。

由美子:会社は「機会」を与えればいいんですね。

和男:そうなんです。希望者全員を雇用しなければならないとも書いてありませんし、給料についても何割以上下げてはいけないとも書いてありません。「書類に書かれている金額ならあなたを再雇用しますよ」ってことなんですよ。

由美子:「この金額じゃ、無理です」って言ったら・・・

和男:再雇用してくれないでしょうね。「お疲れ様でした。さようなら」と引き留められないと思います。会社は、やはり若い人は欲しいけど、シニア世代が増え会社の平均年齢を上げたくない本音があるし、さらにコロナ禍の厳しい経営状況では去る者は追わずの雰囲気になっています。
実際、定年後に退職して行く人の中には、納得できずに辞めていく人もいます。よっぽど貯金があって、働く必要がないならそれもできますけど、そんな余裕がある人はほとんどいません。では、転職活動をして、自分が納得する給料と仕事を見つけるのか? というか見つかるのか・・・。

由美子:そういう法律の主旨を理解しておくことも必要ですね。そして落ち込みっぱなしになったり、悲劇のヒーロー、ヒロインだと嘆き文句を言い続けたりするのもだめですね。雇用条件でショックを受けるのは当たり前ですが、まずはその事実としっかり向き合い、自分自身とも向き合うことから始めないといけない。

和男:その通りだと思います。再雇用の雇用契約書を見た時に、いままでの自分と会社の関係や働き方が蘇るし、これからどう働いていくか、いろいろなことが走馬灯のように頭を駆け巡る。これは、全員に起きることだと思います。大事なことは、その節目を超えてどう働くかということです。

由美子:雇用条件に不満はあっても、しかたがないとハンコを押して、惰性で働き続ける・・・と言う流れが、今の主流かもしれません。腰掛けシニア、ぶら下がりシニアと呼ばれてしまう人たちの姿です。そんな風になってはだめ!ということなのですが、次回は、再雇用で働き始めると何が起きるのか、2つ目のショックとその中で見えてくる働き方についてお話します。

★‥ 第9回「ダイバーシティ&インクルージョン・オンライン研究会」★
和男と由美子のゴールド人財コンビが2月17日(水)に
『シニアステージ(50代後半~)で輝き続けるゴールド人財への道 ~生涯現役でイキイキ働くための5つの質問~』https://www.que.co.jp/pdf/diwo_ol_210217.pdf
の事例発表を行います。この発表の中でも役職定年・定年後再雇用となった人達が、イキイキと働くための話しが出てきますので、どうぞ、興味のある方は是非お申し込みください。

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※これまでの連載
第1回:高久和男の波乱万丈人生プロローグ
https://note.com/que_takaku/n/nb06eab111a4c?magazine_key=mfa9ba1c7eb94
第2回:昌宅由美子の波乱万丈人生のプロローグ
https://note.com/que_masaya/n/nca2f2a96b89e?magazine_key=mfa9ba1c7eb94
第3回:会社以外のアイデンティティと人間関係を育む居場所を持つ!
https://note.com/que_takaku/n/n74424ea32885?magazine_key=mfa9ba1c7eb94
第4回:50代、避けて通れない介護(前編)「介護は突然やってくる、まずどこに行く?」
https://note.com/que_masaya/n/nd4d0c326b8a0?magazine_key=mfa9ba1c7eb94
第5回:50代、避けて通れない介護(後編)「介護を背負う人に吹く冷たい風」
https://note.com/que_masaya/n/nb6781927f8e3?magazine_key=mfa9ba1c7eb94
第6回:役職定年の節目(その1)右型上がりの会社人生が崩れる瞬間! 「役職定年」 その時私たちは…
https://note.com/que_takaku/n/n01fd249c69e9?magazine_key=mfa9ba1c7eb94
第7回:役職定年の節目(その2)会社にとって必要な人か、邪魔な人かの最初の踏み絵が役定!
https://note.com/que_masaya/n/n743defe419f6?magazine_key=mfa9ba1c7eb94
第8回:役職定年の節目(その3)役職定年を乗り越えることがゴールド人財への第一ステップ
https://note.com/que_masaya/n/ndaad69631bdb?magazine_key=mfa9ba1c7eb94


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