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第7回:★役職定年の節目(その2) 会社にとって必要な人か、邪魔な人かの最初の踏み絵が役定!

高久和男と昌宅由美子の「シルバーではなく、輝き続けるゴールド人財への道」

和男:役職定年になった後、周りからは鬱陶しがられているのに、本人はまったく気づいていない人っていますよね。
由美子:実は、私自身、役職定年になったばかりの頃、恥ずかしい体験があります。
役職定年なので、当然ライン長じゃないので部下はいません。でも、一緒に仕事をするメンバーはいます。
そのメンバーの仕事の仕方が、何しろ気に入らなくて、いちいち指摘をしていたんですね。私としては今まで同様に管理職、上司のような気持ちで指導をしていました。
しかし、その指摘が、かなりしつこかったんでしょう。私に仕事を教えてくれた先輩が心配して「それは言い過ぎじゃないの?」なんて、言ってきました。でも、その時の私は、自分が正しいと思い込んでいるので、先輩の指摘を素直に聞けず、自分を変えることはしませんでした。そして、その後の上司との面談で、『昌宅さんからいろいろ注意されるのが怖くて話ができません』とその人が言っているとズバリ指摘されました。そして、続けて上司から、「お姉さんになろうよ」と言われました。そこで、はっと気づきました。私、何をしていたんだろう。管理職ではなくメンターとして、後輩をサポートする立場の自分が、精神的な負担をかけていたという事実にショックを受けました。私は大反省しました。

まさに、ダメダメ役職定年者だったんです。肩書きが外れた自分を受け入れることが出来ず、自分の心の葛藤を、メンバーにぶつけていたんですね。最悪です。そんな私に対して、周囲の人も遠慮してなかなか注意をすることも出来ず、最後は上司が登場して意を決して伝えてくれた。
役職定年者は、職場にとって、周りの人は気を使う微妙な存在です。そこを分かって謙虚に、真摯に行動していないと、職場には居てほしくない存在になります。役職は降りた、違う立場になったのだという自分のことを自分が一番わかっていなかった、私のような人は多いと思います。

和男:肩書きが外れた自分を受け入れてなかった・・・・っていうことですか?

由美子:そうですね。肩書がはずれて、ひとりの担当者になった自分を受け入れてなかったんだと思います。
上司が指摘をしてくれなかったら、そのまま、周囲に不快な思いと迷惑をかけ、問題児になっていたはずです。

和男:僕の場合は、逆かもしれません。年明け早々になると来期の計画立案が始まり、売上見込みだ、収益はもっと増やせないのか、要員計画はどうするんだ、部下の研修予算を考えろ、などの作業がライン職に指示が来るのですが、「それはリーダーの仕事だから俺はもう関係ないな」と、年下の新任リーダーに任せっきりでした。ある意味、今まで背負ってきた重い責任から解放されたと丸投げしてしまったんです。
ところが上司から「あいつからまだ計画が出てこないから、見てやってよ」と言われて話しを聞きに行くと、「忙しくて全然手が回っていないんです。」という答えです。「俺も自分の仕事を抱えながらそういう仕事やってきたんだけどなぁ・・・」とは思いつつ、もうちょっと早く気に留めてやれば良かったなと反省しました。責任をぱっと手放すことはできたけれど、後進を応援することを全く忘れていました。
50代の役割は貢献。後進のために経験や知識を与え応援するメンターです。あまりおせっかいすぎても、放置しすぎてもダメってことですね。

由美子:和男さんの場合は、役割を終えて、次のリーダーに丸投げ放任だったんですね。
確かに、自分がやってきたんだからあなたもできるでしょという気持ちはありますが、本当にできるか見守って、自分の経験値でフォローすることが必要ですね。でも、つい余計に口出ししたくなる時もあるし、鍛えるために突き放したくもなる。さじ加減が難しいですよね。相手は部下ではなく、一緒に働く仲間・メンバー、後輩だという意識で接することを忘れてはいけない。

和男:どんなメンバーも一律に同じ対応をすればいいってもんじゃないですしね。口出しされるのを嫌う人もいれば、もう少し構ってよと思う人に居るし。日頃からちゃんとメンバーひとりひとりの性格や仕事の進め方なんかを観察しておいて、その人なりの対応をしてあげないといけないんでしょうね。

役職定年問題児さんの特徴5つ
<由美子タイプ>
① 過去の肩書きにこだわっている
② 自分の経験値による仕事のやり方が絶対だと思い込んでいる
③ 自分がいないと仕事が回らないと思っている
④ 後任者のあら捜しをして、指導することで自分の存在の意味を感じている
⑤ 自分の葛藤を人にぶつけている

<和男タイプ>
① 責任ある仕事を依頼しても、「自分には無理」と言う
② 周りが忙しくしていても気にしない、自分からは手伝わない
③ 自分が任された仕事以外に興味をもたない
④ 会議で意見を求められても何も言わない
⑤ 空いている時間はネットサーフィンで過ごす

由美子:由美子タイプ、和男タイプどちらにしても、周囲にとっては、困った存在です。
役職定年後をどう働いていくかは人それぞれです。ひとりの担当者として働くだけではなく、多くの経験を積んだ先輩として、後輩たちのために貢献する。そんな視点を持って働くことが大事です。
次回は、私たちが役職定年後の自分の役割を発見するまでの道のりをご紹介します。


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