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★ライフワークとしてのワーク・エンゲージメントを見出そう!★3回の癌の闘病で深まったワーク・エンゲージメント④~

由美子:前回、「他の人とは違う体験をしているからこそ、ワーク・エンゲージメントを見つめ続けて生きてきたのかもしれない」と話していましたが、どんな体験だったのか教えてもらえますか?

 和男:ゆみちゃんも知っているけど、僕は悪性リンパ腫という血液のガンに3回も罹っている。ガンのような大きな病気になると、人生観って変わるんだよね。そういうことがあったから今60歳を過ぎてシニア社員になっているけど、仕事に対してものすごく充実感を感じているのかもしれないと思うんだ。

 由美子:大きな病気を患ったことが、ワーク・エンゲージメントにつながっているって言うことですか・・・。

 和男:うん。入院している時って病院の先生や看護師さんはもちろんなんだけど、家族にも支えられたし、僕の担当していた仕事を代わりにやってくれた会社の人にも支えられた。だから自分が働けるようになったら、より一層恩返ししたいと思うようになったんだよね。これって3回も大病を経験しているからこそ、ワーク・エンゲージメントの『軸』が築けてきた気がする。

 由美子:具体的にはどんな場面が思い出せますか?

 和男:初めて入院した時が42歳のとき。今は2人に1人はガンに罹る時代って言われているけど、まさか自分がそのうちの一人になるとは思ってもみなかった。勝手に1か月くらいで退院するつもりで入院したんだけど、結局退院までに丸3か月掛ったんだよね。最初のうちは「俺のやってた仕事はちゃんと回っているのか?」なんて仕事のことばかり考えていたけど、段々入院期間が長くなると「ちゃんと家族を養っていけるかな?」とか「子どもには病気のことをなんて言えばいいんだろう・・・」なんて家族のことを思うようになった。「お父さん、頑張ってね」って言ってくれる家族の言葉って、ものすごく励みになるよね。病気になる前は「やべぇ。そろそろ帰らないと、家に着いたら明日になっちゃう」なんて働き方をしていたけど、ガンの原因はストレスもその一因らしいから、以前のような働き方はしないようにしようと思ったね。

 由美子:家族の力って大事ですよね!

 和男:そして、退院後はプロジェクトマネージャーとして色々なプロジェクトを担当してきた。メンバーの中には反りが合わない者同士もいるわけよ。何とか角を立てずになだめて、一緒に仕事してもらうことも多かったんだけど、ここでそんな力を発揮できたのは、先生・看護師さん・薬剤師さん・放射線技師さんたちのチーム力で僕を治療してくれたその関係性を見て、メンバー全員が治療という目標に向かって力を注ぐ、そんな人間関係が大事なんだって感じたことだと思うんだ。人間関係を調整する力が僕の『強み』だし、それを発揮することでチームの関係が円滑に進んでいると感じられると、すごい喜びを感じるね。

 由美子:私もカズさんの強みは、メンバー達をうまくまとめることができることだと思います。研修のときや研究会事務局のとき、そして植田道場のときもカズさんの笑顔でみんなも安心します。

 和男:そして55歳になるまで、10年以上再発するなんてことは全然考えずに仕事していた。だから再発で入院治療が必要だと言われた時は「何? 再発? 今更?」って感じだった。ちょうど担当していたプロジェクトが2か月後にカットオーバーするところだったので、先生に頼んで入院を待ってもらっていたんだけど、ある日の血液検査の結果が正常値の3倍になってドクターストップが掛かってしまい、後1か月というところで即入院することになっちゃったんだよね。でも急遽別の案件からプロジェクトリーダーを回してくれたおかげで、無事カットオーバーできた。会社ってチームで仕事をしているんだよね。周りからの『支え』があったからこそ、プロジェクトが成功したって実感したね。ただ、翌年の業績評価でプロジェクトを最後まで完遂出来なかったっていうのが理由で、給与テーブルが1ランク下がったんだ。能力不足で評価が下がるならまだしも、病気が理由でも下がるんだって思ったら、仕事ばっかりじゃなくもっと自分自身の人生を大切にしながら働くことが大事なんだって痛感したよ。自分を犠牲にすることなく、活き活きと働き続けたいと強く思ったのを覚えている。

 由美子:そんな後日談があったんですね。そして3回目。さすがに私だったらそこで心が折れそうになってしまうけど。

 和男:ちょうど定年退職ちょっと前の59歳のとき。前回は10年以上経過してからの再発だったから、再発するにしてももっと先のことだと思っていたのに4年で再発だからね、ホント“想定外”だったよ。でも、再発までの期間が短かったけど、動揺は2回目ほどじゃなかった。ちゃんと治療すれば治る病気だから、「ちょっと辛い治療だけど頑張ってくるか!」っいう気持ちだったかな。そして仕事の面でもある程度自分の裁量で働ける人事部に異動した後だったのが、今思えば本当に良かったのかなと思っている。そして、入院中のベットの上で60歳を迎えたんだけど、ちょうどコロナが蔓延した頃で家族も面会禁止だった。すごくさみしい中で還暦を迎えたんだよね。そんなときに僕と誕生日が2日違いのお姉さんである、Queの代表から「カズさんは50代にメッセージを送れる素敵な講師慣れるから、Queで研修講師をやってみない?」ってメールが届いたんだ。はっきり言ってすごく驚いた?「なんで僕が講師に?」ってね。この突然の誘いにかなり戸惑いながらも、新しい扉をたたいてみることにしたんだ。

 由美子:新しい扉をたたいてみようと思った原動力って何だったんでしょう・・・。

 和男:僕が講師をやったことが無いのを知っている代表に「講師なんてやったことがないので無理です」っていう答えは、答えにならないんだよね。じゃあ断る理由って何かって自問したら、新しいことに挑戦する怖さなのかなぁって思って。じゃあ「取り敢えず入ってみて、ダメだったら止めちゃおう」っいう気持ちで扉をたたいたっていう感じかな。そして、ゆみちゃんとゴールド人財コンビを組むことになったんだよね。まさに強力な信頼関係というより、運命共同体の「同志」とともに仕事をするようになった。それでQueチームでの仕事に対するワーク・エンゲージメントが、加速したんだよね。

 由美子:私もカズさんが相棒になり、一緒に仕事をすることになって充実感が全く変わりました。 倍増以上かも。

 和男:副業といっても研修講師って定期的に仕事があるわけじゃない。だけど、研修に向けて土日はパワーポイントを作ったりメッセージを考えたりと、プライベート時間が削られていることは確かだよね。コラムの執筆やメルマガの編集長も締切り近くになるとホント大変。でも、ダブルキャリアになって今まで以上に充実感を感じている。そして、スライドを作るのが強みの僕と、メッセージを考えるのが強みのゆみちゃんが、各々支え合ってその強みを発揮すると、絶対受講生の心に伝わる研修ができると思うな。この副業でのワーク・エンゲージメントの高まりが、本業での人事部の仕事に対するワーク・エンゲージメントも高めていくんだよね。全社員に対する面談もしかり、異業種交流のファシリテーターもしかり、会社の仕事も今まで以上に燃えてやっている。62歳の僕が感じられるってことは、このコラムを読んでいる皆さんも絶対に感じることができるはずです。年明けからは、50代60代の人達をさらに応援するコラムを二人で書いていくので、楽しみにしていてください。

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