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私の家族のこと

 弟が結婚してから、家族は変わったように思う。なんとなく、そのつながりを意識するようになったし、何より家族との連絡を密にするようになった。実際には年も以前よりは取っているし、兄弟の環境も変わって行ったり、当本人は引っ越しして家族とも少し距離を置くようになったし、この2、3年は変化の連続だったように思うけれど、それにも増して、弟の結婚は私たち家族にとっては衝撃だったんだろうと振り返ってみる。

 何が一体そんなに変わったかというと、弟が嫁の物になったという感覚だと思う。私の兄弟は全員男なのだけれど、それってつまり私の親の元に帰ってくるような息子は、親が初老になり、ある程度の時を経ないと帰ることが難しくなるという感覚、嫁さんを悲しませるのはよくないし、なるべく寄り添ってあげてほしいという思いで、弟には連絡をあまりよこさなくなったんだろうと思う。我々男性というものは結局結婚すれば、ある程度嫁に寄り添って、あるいはあっちの家族との関わりの方が大きくなっていくのだろうか。いや、それが定石ではないとは思う。弟の嫁の家計がこちらより裕福であるために、優先順位がはっきりしてしまうだけなんだろう。私たち家族にとって初めての出来事であったけれども、かなり例外的な事例に当たってしまっているだけなのだろうと邪推したくなる気持ちがある。その弟本人は特に両親と連絡をとって、尚且つ親孝行ものだったので、その皺寄せが他兄弟に影響しているのだろうとは若干思う。

 とは言っても、うちの家族ならぬ、母方のいとこもまた、今年結婚式をあげる予定で、なんともお祝いムードであることは間違いない。おじいいちゃんおばあちゃんも、それを楽しみに退屈な毎日を送っているはずだ。いとこの嫁もまた令嬢のような人たちで大変その育ちがよく、いとこも含めて相手方への優先順位が上がっているように見える。


 なんというかこう、普段でも簡単に連絡を取れると思っていた人たちに連絡がとりづくなったという気持ちというか、残されてしまっているなという感覚というか。そういう哀愁を感じている。そんな中で、つい最近お盆で、親の集まりをBBQにするという企画を他のいとこと参画して、綺麗に母方の集まりを開催した。まだそういう人を侍らせるというような精神状態ではない私は、そういうパートナーと共にいるというようなタイミングが遅れてしまっているというような気持ちに今週は苛まれるにいたる。しかし、焦るような時期でもないことは分かっているのだが、今目の前に広がる空気感から感じ取る哀愁なるものにやられてしまっているのも事実ではあった。人はこういう時人肌恋しいとでもいうのだろうと思う。なかなか自分の口から言い切るのは恥ずかしいので、斜に構えた表現にとどめておく。

 きっといつかは、そういうような家庭を考える時期が来るのだろうと胸を期待で踊らせながら来る日をまつしかできない。きっとよく分からないタイミングでそういうのに巻き込まれていくのだろうなーとか考えることしかできない。そんな人は隣にはいない。きっとそういう日がくると思いながら自分の未来を肯定的に描いていくことしかできない。


 私の家族は色々あったけれども、これがうまくいっているように見えて、連絡をとる程度には仲がいいと言える。人によっては連絡すら取らないということもあるようだから、連絡するという細い糸がまだ肉眼で見れるという事はありがたいことだと受け取っておこうと思う。

これから起こりうるであろう、両親の老後という問題点をどうしても見過ごせない私もいる。それはおじいちゃんと現在暮らしているからということもあるのだけれど、いつ肉体的限界が彼らに訪れるかは、未だ誰にも分からない。うちのおじいちゃんも、我が両親も病院に行かないし、精神が比較的若いと感じている。というのも、想定されるリスクヘッジのビジョンが詰めが甘いというか、考えていないようにかんじている。ここから先は、私の両親に対する心配事になるのだけれど、どこで怪我するか分からないのが正直心配。ここから先はどれだけ、大きい怪我をしないかが、彼らの人生に大きく関わってくるかだし、その転機が私たち兄弟の転機につながってくるから。しっかり見張りというか、こまめな連絡が必要だろうなと思う。何事もなく、老衰して死にたいとたまに口を漏らす彼らではあるけれど、老い先まだ長い私たちがこまめにその彼らの状態を伝えてあげることが、彼らの理想を叶えるヒントだと思うので、多分しっかり連絡をとっていくのだろうなとぼんやり少し先の未来について考えることが増えてきた。私の好きな監督の小嶋監督がゲームのコンセプトで、『人は距離を置くことで、優しくなれる』と言っていて、おんなじことが自分のみにも起こっているんだろうなーとかぼんやりしていた。

 一応長男なので、私が躁鬱としていたタイミングで色々な世話をしてくれていた分、ちょっとだけ引き継いで、多少の気掛かりをしていこうかなと最近思うようになった。

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