「息子が家に寄り付かない」と泣いた卒寿おばあさん
卒寿のおばあさんの息子さんはおそらく60代から70代だけれど、その息子さんがまだ高校生であるかのようにお話しされます。
息子さんが高校受験で失敗してしまった事を、昨日のことのように話されました。
それがとても大きな失敗で、通っていた学校にとっても恥ずかしい事だったと、おっしゃいました。
息子さんが家を出た後の事、たまに帰省すると、息子さんの同級生が国立大学を出たお話や、その後お医者様になったお話などをされたそうです。
「私がそんな話ばかりをしていたから、息子が全く家に来なくなったのだろう」と、目に涙が滲んでいました。
世界中、パンデミックのせいで、ご家族が頻繁に訪ねて来れなくなりました。独り住まいのご年配方にとって「なぜこんなにも長く家族が会いに来ないか」という事を、感染症予防のためとは思い切れない、それだけ長い時間お一人で過ごす時間が多いのだと思います。
その日は娘さんが高校生の頃に履いていたジャージのズボンを履いていらっしゃいました。50年前の色とデザインは、青色の鮮やかさと、センタープレスはハイブランドを思い起こします。
普段はなんて事ないのに、ふとすると寂しくなる事は誰にでもあると思います。何年経っても昨日のように思い出す事も沢山あります。
涙を流す事は、ストレス解消になるので、私はあの場にいて話を聞き、涙を流されているのを見ている事だけで、何か意味があったのだと思っています。
90年生きていても、常に新しい問題が出てきて、それを50年までさかのぼって後悔をする事があるのだと。
生きるのは辛い。90歳を卒寿と言ってお祝いするのは、「こんなに辛い事を90年も続けてきて凄かったね」という事で、めでたくて当然だと思いました。
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