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この世界のバックヤードツアーとしての物理学

数学言語を使って、この世のバックヤードツアーにでかけるのが、物理学です。量子力学に支配されるこの世界の実像は、見たままの印象からはほど遠いのです。時間空間はなぜ存在するのか。我々は何者なのか。こんな世界の不思議不可思議に触れずに簡単に死んでたまるか。と思ってもらえたら有難いです。

不思議に聞こえるかもしれませんが、色は人間の脳が作ったイメージです。ニュートンが指摘していたように、光自体に色はありません。色のない光子を記述するには、波長という数字に基づいた数式を用いるしかありません。その数学を通じて、物理学はこの世界のバックヤードに人々を案内してくれるのです。

色を持たないこの世のバックヤードでは、大きさを持たない素粒子達が空間の中で押し合い引き合いしています。光の粒である光子は、他の素粒子との散乱によって、その進行方向や波長を変えながら、人間の脳にまで世界の情報を届け、色がついたイメージを人間に構築させているのです。


素粒子達がうろうろしている、そのスカスカの真空には、素粒子であるクォークと反クォークが対になって、空間にびっしりと詰まっていることが分かっています。真空という簡単であるべきものでさえ、実は大変複雑な構造を持っているということを物理学は突き止めました。この世界は驚きに満ちています。

自分が身を置いたこの世界の本当の不思議さに触れぬまま、この世界から自分の意志で去ってしまうのは、とてももったいないことです。自分が感じている「当たり前」の裏側にある深淵、驚異の事実に触れてからでも、去るのは遅くないだろうと、私は思います。

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