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クリエイターインタビュー第1回-会社員として働く?フリーランスで働く?-

こんにちは、クオン(※)のnote編集部です。今回は1回目のクリエイターインタビューです。記念すべき1回目はクオンの執行役員の宮永さんに「クリエイターにとって正社員とフリーランスの違いは?」をインタビューします。
これから社会にデビューする人、会社員の人、フリーランスの人、いろいろな方の参考になればと思います。

(※)株式会社クオンは2022年1月に経営統合し、株式会社Mintoとなりました。Mintoはアニメ・漫画などのエンタメビジネスをアップデートするスタートアップです。世界4カ国に拠点を持ち、コンテンツ×広告、越境IPプロデュース、Webtoon、Web3・メタバースの事業を展開しています。

編集部:では、張り切って、よろしくお願いします!

宮永:ちょっと、どきどきじゃないですか?(笑)

宮永 佳祐さんの経歴
株式会社エニックス、株式会社タイトーなどで、デザイナー、ディレクターとして有名ゲーム開発に多数関わる。その後、独立。フリーランスを経て、デザイン事務所を設立。ゲーム、アニメ、誌面などの2D/3Dを幅広く手がけた後、ゲーム開発会社、IT企業でのアプリ開発に携わり、クオンには創業年に最初の社員として入社。

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クリエイターにとって、正社員とフリーランスの違いとは?

編集部:宮永さんは、現在はクオンの正社員で制作の責任者(執行役員)ですが、大手のゲーム会社でイラストレーターとしての正社員経験もあり、フリーランスとしてのイラストレーター経験もあり、自身でイラスト会社の経営経験もありますよね?様々な働き方のパターンを経験する中で、それぞれの違いとか、善し悪しみたいなことを感じてきたと思うのですが、改めて、違いを教えてもらっても良いでしょうか?

宮永:そうですね。では、まず会社員として会社に所属するイラストレーター、クリエイターの場合ですが、良い点は、もう何と言っても安定して収入が得られる点です(笑)。かつ、”実は”ものを作ることにほぼ集中できる点ですね。営業しなくていい!明日のお金のことを気にしなくていい!こんな恵まれたことは会社員ならではです。フリーランスを経験しないと絶対わからないと思うのですけどね。そして、もう1つ大きなメリット、これも何と言うのでしょうね、本当に勝手なことを言いやがるになっちゃうのですけど(笑)、機材や道具、資料を自費で買わなくていいということですね。

編集部:確かに、いずれも、当たり前のような、当たり前じゃない話かもしれませんね(笑)。逆に会社員の悪い点はありますか?

宮永:悪い点は、時間が会社の規定にしばられるというところです。これを悪いと言ったらどうやって働くんだって話ですけど(笑)、ものを作る人ってやっぱり自分の好きなペースでやりたいという、気ままなところが多くてですね。例えば制作している時間に雑務などを差し込まれると、今までやってきたものが全部振り出しに戻ってしまうところもあったりして、やり始めたら区切りのいいところまで止めたくないんですよね。定時終わりました、帰ってくださいって言われても、区切りが悪ければずっとやりたいし、何なら、そのまま朝までやり続けたいみたいな(笑)。

でも実際は、朝までやり続けて寝ると当然、朝起きられないじゃないですか?フリーランスの場合は、だから、午後になって起きてきて、昨日の続きをやるのですが、これが、すごく心地いい(笑)。健康面からは全く良いことではないのですが。ただ、会社にいるときは、この時間に縛られている感はデメリット、悪い点にやはり感じてしまうのですよね。

あと、もう1つ。オフィスに通わなければいけない、これも本当にデメリットではないですが、やはり1人の、自分だけの環境でやるのが楽だなと感じる人のほうが圧倒的に多い。描いている姿を人に見られたくないのですよね、本来的には。なので、オフィスに行く事をすごく義務的に感じる。いや義務なんですけど(笑)、そこを負担に感じてしまうケースが多いです。ざっくり言うと会社員のメリット、デメリットはこんなところでしょうかね?

*編集部 注:クオンはコロナが流行した2020年3月から制作チームは完全在宅勤務に以降。以降2021年1月現在も完全在宅勤務体制です。1年近くリアルに会っていないスタッフもいて寂しい(泣)。と思いつつ、毎月のZoom懇親会で会うので、全く会えていない感もないのですが(笑)。

フリーランスのメリット・デメリットとは?

編集部:ありがとうございました。次はフリーランスのメリット・デメリットを聞かせてもらってもいいでしょうか?

宮永:わかりました。フリーランスのメリット、これもう会社員と真逆になりますが、時間が完全に自由なところです。自分の好きなタイミングで制作に携わって、好きなタイミングでそこから離れられる、かつ取材とか、気分転換とか、そういうのも好きなタイミングで、好きなようにできるので、制作物に関わるテンションの調整、ストレスのコントロールがめちゃしやすい。手を抜いたりする人でなければ、どんどん質はあがっていくし、ものもたくさん作れるということがおきますね。

メリットをもう1つ。オフィスの件。これも会社員と真逆ですけど、好きな場所で仕事ができるってところですね。自宅でもできますし、例えば、軽く道具を持ってカフェに行ったり、公園に行ったり、あるいはワーケーションなんて言葉は昔なかったのですけど、今日はちょっと江ノ島の海岸でやろうかなみたいなこととかも、自由自在に誰にも報告、連絡せずに可能です。あと極端な話、連絡をある程度絶ってしまっても自分それでいいと思えば、良しとできてしまう。今日は、もう1日スマホの電源を入れないとかね。もちろん事前連絡は必要ですよ、その旨の(笑)。

フリーランスクリエイターが直面する営業活動の壁

編集部: 連絡は取れるようにしてほしいですね(笑)。逆に、フリーランスのデメリットはどうですか?

宮永:フリーランスのデメリットはですね、全てのことを自分でやらなければいけないということです。これは経験しないとわからないことなのですが、想像以上の負担で、創作活動以外のことが、ものすごく多いです。

編集部:具体的にはどのような事がありますか?

宮永:まず直面するのは、営業活動ですね。営業活動しないと自分の存在なんか誰も知らないので、どんなに質のいいものを作る人であっても、存在が知られていないから、仕事なんてくるわけもないじゃないですか?なので、まずフリーランスを開始した直後は、営業(笑)。今だとSNSでの発信も営業になると思いますが、いずれにしてもいきなり仕事が来るわけでもない。

編集部:クリエイターが営業に時間を費やすとは意外ですね。

宮永:そうなんです。僕は、人脈がある程度あってから会社を立ち上げたので、多少は楽だったはずですけど、それでも、最初の3ヶ月間はほぼ営業の毎日でした。暮らしていける、食べていけるだけの仕事が得られないので、ちょっとした仕事をやりながら営業に駆け回ることに終始しなければいけないという点が非常に大変でした。軌道に乗ってからはそんなじゃないだろうと思うかもですけど、それもそうじゃなくてですね。例えば週休2日とした場合に、週5日間働くその5日間のうち、なんだかんだ言って最低でもまる1日は営業(人と会ったり、次の仕事の為に会議したり)に費やされると思ったほうが。いや、うーん、実際はもっとかもしれません。

かつ、何が大変って、仕事ってつながらないじゃないですか、こちらの都合のいいように。やっぱり皆さんものが欲しい時期というのは大体似通っていて、逆に欲しくない時期も似通っている。繁忙期と閑散期がみんな一緒なので、ものが欲しい時期には、仕事が順調であればあるほど負荷があがって仕事がどんどんたまってしまいますし、そうじゃない時期はどんなに営業しても仕事がこない、暇なのは楽なんだけど、お金がなみたいな。

なので、どうやって仕事をつないで俺生き抜いていこうかみたいな事を心配しなきゃいけない、これ毎日なので、めちゃくちゃ負担です。僕、何度もこれ潰瘍になりました(笑)。僕の場合、生き物として結構雑なようで、ほっといたら治ってましたけど(笑)。「営業をしなければいけない」ということをちゃんと受け入れられる人間であれば、営業自体は苦痛ではなくなりますが、時間は絶対に奪われます。会社員の比じゃないです。

編集部:健康にはぜひ気をつけてください(泣)… 他にデメリットはありますか?

あとは、機材や資料等は、全部自費で買わなきゃいけない、これデメリットって言っちゃいけないですけど、お金がものすごくかかるなというのをフリーランスになると実感します。パソコン1台買うにしても、今でこそだいぶ価格が下がりましたが、それでもしっかりしたスペックで揃えたら数十万円しますよね。

編集部:そうですね。動画編集までするのだったらもっと高いですよね。

宮永:本当に。フリーランスのメリット、デメリットは、ざっくり言っちゃうとそんなところですかね。

コロナ禍でクリエイターの働き方も大きく変わる

編集部:改めて聞いて思いましたが、会社員とフリーランスのメリット、デメリットって本当に表裏一体ですよね。

宮永:はい。直接、制作に関係することじゃないじゃんみたいな話でちょっと恐縮ですけど、一言で言っちゃうと、ものを作るということ自体は会社員だろうが、フリーランスだろうが変わらずできるんですよ。違うのは、取り巻く環境。それに尽きると思います。
また、コロナの影響で、クオン社も完全在宅勤務になりましたが、制作効率やクオリティは下がっていないので、今は、会社員でありながら、フリーランスのメリットも一部享受しています。この数年で更に働き方も大きく変わって行くと思いますし、どのような働き方がクリエイターにとって良いかを皆で話し合いながら考えていきたいですね。

編集部:そうですね、とても参考になりました。今回は、ありがとうございました!

続きはこちから


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