【Minto×カカオピッコマ対談】Twitterスペース機能を使った番組企画で感じた、新たなユーザー接点の可能性
今回ご紹介するのは、電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」を運営する株式会社カカオピッコマ様との「Twitterスペース」を活用した取り組みです。ピッコマが感じていたマーケティング課題と、取り組んだ施策や効果について、Minto取締役・高橋伸幸とコンテンツソリューション部・冨村祥太郎、そしてカカオピッコマでマーケティングチームに所属する八子淑恵さんによる対談を行いました。
まずは自己紹介
――皆さんの簡単な自己紹介や、事業内容のご紹介をお願いします。
八子淑恵さん(以下、八子さん):電子マンガ・ノベルサービス「ピッコマ」の運営をしている株式会社カカオピッコマの八子です。ピッコマでは電子マンガの配信をはじめ、フルカラー・縦スクロールで読める「SMARTOON」の配信やノベル配信といったエンターテイメントサービスを提供しています。
私はマーケティング室に所属していて、デジタルを軸にした広告プロモーションや広告パフォーマンス測定といった領域を担当しています。
高橋伸幸(以下、高橋):Minto取締役の高橋です。Mintoの事業は大きく分けてコンテンツソリューション、IPプロデュース事業、Web3(NFT/メタバース)事業の3つがあります。私はコンテンツソリューション事業とコーポレート部門の管掌役員をしております。ピッコマさんと一緒に取り組んでいるのはコンテンツソリューションの分野で、SNSクリエイターと契約を結んで企業様の広告やプロモーションに漫画などのコンテンツを活用した施策を行っています。
冨村祥太郎(以下、冨村):僕はMintoのコンテンツソリューション局で営業職をしていて、ピッコマさんを担当しています。今回お話しさせていただくTwitterでの企画をはじめ、広告の企画や運用を主に担当しています。
Twitterの「スペース」機能を使った番組企画「大声優祭」
――今回は、Twitterの「スペース」機能を活用した企画についてお話しいただけるとのことですが、ズバリどのような企画だったのでしょうか。
冨村:2022年4月4日から28日まで実施されていたピッコマの6周年記念イベント「大感謝祭」の企画のひとつで、Twitterスペースで声優さんを起用した「大声優祭」を企画しました。
Twitterの「スペース」機能は、ユーザーが自由に音声配信をできる機能で、誰でも利用できるものです。スペースには発言者とリスナーがいて、スペースに入室すれば聞くことができる、ラジオや生配信のようなものですね。
このスペース機能を使って、ピッコマのサービスや作品紹介ができるような企画を行いました。声優さんにピッコマで配信されている作品の紹介やフリートークなどをしてもらい、さらにピッコマに掲載されている作品に声をつけてもらう「アテレコ」企画も行いました。
Twitterのハッシュタグ機能を使って感想をツイートしてもらったり、それを声優さんに読んでもらったりと、ラジオ的な楽しみ方もありますが、より“ゆるさ”を意識して、カジュアルに楽しめる企画をめざしました。
――「大声優祭」の企画は、どのようにスタートしたのでしょうか。
八子さん:6周年という節目に、新しい切り口で作品をお届けできたらということをずっと考えていて。
スペース機能に注目したのは、バックグラウンド再生ができるというところが大きかったです。他の動画配信アプリやSNSなどでは、他のアプリを起動すると動画や音声が止まってしまうことが多いのですが、スペースでは音声を聴きながら別のアプリを起動できます。
そうすると、スペースを聴きながらピッコマの漫画を読むという体験が可能になるかもしれない。そこに大きな期待感がありましたし、Mintoさんは声優さんとのつながりもあるとのことで、企画にトライすることにしました。
広告よりもユーザーに刺さるプロモーションができる可能性を感じた
――Mintoが関わった点についても教えてください。
高橋:もともと八子さんとTwitter社さんの間でもお付き合いはあって、その中で「スペース上で何かできないか」というお話はあったんですよね。Mintoは「何かできないか」というお題から具体の企画案を練り、実行面でガッツリ関わらせていただいたイメージです。
冨村:Twitterスペースと広告運用の仕掛けを行うメディアプランニングに加え、声優キャスティング、台本作成、本番進行までの企画・実施まで一気通貫で対応させていただいております。
Twitterスペースを使ったプロモーションの企画というのは弊社でも前例がなかったので、うまくワークさせる仕組みづくりはかなり力をかけた部分でもあります。
スペース機能の細かな使い方については知見がない部分も多かったため、Twitter社さんとも連携しながら検証を重ねていきました。
――「大声優祭」の反響はいかがでしたか。
八子さん:ハッシュタグツイートを見ると、よい反応が多かった印象です。またスペース自体の視聴者数や視聴時間なども、他の類似した企画と比較するとよいパフォーマンスでした。
特に視聴時間はリスナーがどれだけこのスペースに関心をもってくれていたかの指標でもありますが、「大声優祭」は5分以上の視聴者数が類似企画と比較して3倍近くという結果に。長く聴いていただけた=私たちのコンテンツをしっかりお届けできたと思います。
冨村:声優さんによるピッコマ作品へのアテレコは、やはり目玉企画ということもあって特にユーザーの反応がよかったですね。声優さんの声を聴きながらその作品を読むという体験は、この企画ならではのよさだったと思います。僕自身、この“没入感”は初めて経験したものでした(笑)。
高橋:またプロモーション企画は否定的な意見をいただくこともあるのですが、この企画は否定的なユーザーの声がほとんどありませんでした。アテレコ企画が耳と目で作品を楽しめる体験だったという点や”今しか体験できない生放送感”も評価されている理由なのだと思います。ここは狙い通りだったなという印象です。
Mintoの良さはフットワークの軽さと、コミュニケーションのスムーズさ
――「大声優祭」の成功を受けて、今後の取り組みについても教えてください。
冨村:Twitterスペースを使った番組企画をレギュラー化し、「声優ヒミツ漫画会議」として6回行うことになりました。
八子さん:単発ではどうしても効果を測りきれない部分もあって。6回の実施を通じてユーザーのエンゲージメントを高めるための伝え方など、ブラッシュアップしていけたらと思っています。
――Mintoと協業していて、よかったと思う点はどのようなところでしたか。
八子さん:高橋さんも富村さんもWEB系の広告代理店の出身で、すごく媒体ロジックに詳しいし、マーケティングへの知見も深い点ですね。こちらから相談を持ちかければ、すぐにその意図を汲み取ってくださったので、コミュニケーション面でのストレスがありませんでした。
企画自体の効果もありました。やはり声優さんを起用して作品紹介をすると、ピッコマでの検索数が有意に伸びているんですよね。それから面白いなと思ったのが、作家さんがTwitterスペースを聴いてくださっていたことなんです。
Mintoさんとなぜ一緒にやりたいかというと、作家さんや作品への理解が深く、愛情も深いからなんです。私たちピッコマもプラットフォーマーとして作品と作家さんをとても大事に考えていますが、そのマインドがすごく似ていて。どうすればみんながWin-Winになるのかを絶えず考えてくださっているところが、私たちとしてもありがたいですね。
冨村:ありがとうございます。評価いただき非常に嬉しいです!
高橋:ありがとうございます!コメントいただいた通り、我々は他の会社と比べてクリエイターやコンテンツへのリスペクトが非常に高い組織だと思ってます。それは異常なくらいに。笑
八子さんにおっしゃていただいたWin-Winな状態は社内でも常に意識していることなので、それがしっかり伝わっているというのが営業冥利に尽きることですね。
スペース企画をブラッシュアップし、よりエンゲージメントを高める施策へつなげたい
――今後やってみたいことや、解決したい課題についてもお聞かせください。
八子さん:マーケティングの現場で起きているのは「ユーザーを追いにくい」という状況です。iOSのアップデートによってユーザーの行動が不透明になり、分析しにくくなったためにターゲティングの精度がどうしても落ち込んでいるんですね。このユーザーは新規なのか、既存なのか、利用頻度は?…といったデータが拾いにくくなっているのが現状です。
そうした中で、今回のTwitter施策では「ツイート」を通してユーザーの反応やエンゲージメントが見える場面もありましたし、声優さんが「声」で作品を届けるという体験を提供できたことで、新しいマーケティングツールになりうる可能性を感じました。
現在行っている「声優漫画ヒミツ会議」もですし、さらに発展させてpodcastなどでの反応も見ることができたら面白いですね。って、どうでしょう?(笑)
高橋:いいですね!八子さんからのこういったご相談が、僕らの「やってみよう」につながる部分も大きくて(笑)。まさに八子さんからの「どうでしょう?」をきっかけに新しいチャレンジができることも多いんですよ。
冨村:今はTwitterスペースでの施策ですが、プラットフォーム展開していくのもいいなと思っています。作家さんが聴いてくださっていることもわかりましたし、参加してくれる人の輪が広がっていけば、もっと唯一無二の企画にできるなと期待しちゃいますね。作家さんにもぜひ出演してもらえたらいいな、とか。自分の作品をその場でアテレコされるのって、けっこうスゴい体験なのかも?とか…。
高橋:声優さんの活躍チャンスが広がるというよさもあるのかなって。とても競争の激しい業界ですし、テキストが主体だったTwitterで「声」を使って発信ができるというのは、これからさらに活躍していきたい声優さんにとって大きなチャンスになるのかもと感じています。
八子さん:本当に楽しみですよね!他の事業者さんが見たときに「こんなやり方があったんだ!」って驚いたり、びっくりするような企画を作っていきたい思いがあって。そこをMintoさんと一緒に取り組んでいけたらと思っています。これからもよろしくお願いします!
――ありがとうございました!