QCサークルとは(1) 近年、ビジネス界に止まらず、いろいろなところで「自走する組織」が注目されています。 教育から医療、福祉の現場、各種のNPO団体、更には、これまで日本の社会の中で最も縦割りで、何事にも上からの指示待ち、慣例·前ほ例主義で変化を嫌ってきた行政サービスの分野でさえもが、「自走する組織」…つまり、「自分で考え、自分で動く組織」への転換を進めていますが、この「自走する組織」の典型例(先駆け)と言っても良いのが、60年前に始まった“QCサークル”でし
現場主導の品質管理 ファイゲンバウム博士が提唱したTQC(Total Quality Control)と、我が国の高度経済成長と高品質を支えた“日本型TQC”の違いを一言で表現するならば、前者が「トップダウン型」であるのに対して、後者は「ボトムアップ型」であると言えることでしょう。 では、「トップダウン型」と「ボトムアップ型」は、何がどう違うのでしょうか? おおよそ人が意図的に行う行為には、大なり小なり、何らかのかたちで"管理のサイクル"に従っています。 まず
もうひとつのTQC 日本に科学的品質管理を伝えたのは、戦後の占領統治に当たったGHQ(General Headquarters of the Supreme Commander for the Allied Powers連合国軍最高司令官総司令部)でした。 効果的な占領統治のために「民主化に向けたアメリカのメッセージ」を日本全域に速やかに広めることを重視したGHQは、電気通信事業の再構を最優先事項としましたが、自らが行った終戦直後の財閥解体と相次ぐ工場閉鎖に加えて、物
TQCのはじまり 突然「日本型TQCとTQMは異なるものだ!」などと言われても、そもそも、「TQCって何?」と言う方も決して少なくないのが現状だと思います。 なぜなら、ISO 9001規格の2000年改定で"TQM(Total Quality Management)"と言う用語が国際標準として公認されたことで、我が国でも、「TQCをTQMに置き換える」活動が積極的に進められたことで、今や、"TQC"は過去の用語となりつつあるからです。 しかし、"TQC"が、日本の戦後
TQCとTQM 1987年に制定された品質保証のための国際規格ISO 9000シリーズが抜本的に改定され、品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格に生まれ変わって23年、この間2度(2008年、2015年)の改定を経て次の改定に向けた動きが本格化される中、2000年の大改定(QAからQMS)の時期に筆者が関わっていた検討委員会のメンバー達が当時口にしていた懸念が、今正に着実に現実化しているように思います。 「このままじゃ、日本の品質管理が乗っ取られるぞ…」 1
まえがき 突然ですが、“品質”あるいは“品質管理”と聞いて、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか? もしかすると、「データの改ざん」とか「リコール」とか「産地偽装」「異物混入」などなど、マイナスのイメージが先行する方も、少なくないのではないでしょうか? 確かに、昨今のメディア報道を見たり聞いたりしていると、“品質”と言う用語は、社会的にはあまり好ましくない状況(事件や事故)と共に語られることが多いように思います。 しかし、1961年生まれの筆者にとっての“