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おじさんおひさまは少し振り返って考えたのだ

大人になるにつれ卒業していくものがある。なくて生涯ずっと追い続けられる人もいるのは知っているが、僕の場合は少なくともそうだ。

たとえばそれはアニメとか漫画。漫画は青年誌向けのものとかはたまに読んでたけどそれも買ってまでは読まずに評判になったものを単行本化のタイミングで電子文書で読むくらい。アニメにいたっては高校に入る頃には見なくなってたと思う。子供の頃は夢中でいろんなのを見てたけど。ジブリ作品もほとんど知らない。かまいたちのネタでトトロを見たことない人みたいなネタあったけど僕なんかほぼすべてのジブリ作品を見てない。理由はわからないけど僕の中でアニメとか漫画とかは子供の見るものと思い込んでどこかのタイミングで通過儀礼を済ませてしまっていたのかもしれない。

たとえばそれはアイドル。特定のアイドルに熱を上げるという思春期は大学2年くらいまではあった気がする。これに関しては興味がなくなったというより自分が大人になり恋愛や体験を積んでいくうちに「アイドル」として見てるのではなく普通に成熟した女性として魅力的かどうかが価値基準に変わっていったのだろう。そういう意味ではまさに大人になるにつれ卒業した代表的な嗜好だ。

歌がうまいアイドル歌手をみたら「歌がうまい人だな」と思い、ルックスが際立つアイドル歌手をみたら「きれいな人だな」と思い、バラエティで頭角をあらわすアイドル(まだバラドルなんて言葉あるのかな)がでてきたら「おもしろいな」とか「おもしろくないな」とか感じるだけで、それはアイドルとして偶像崇拝的なものとはまるで違う少し批評的な観点でみてただけに過ぎない。そんな感じが20歳くらいからある時期までずっと続いていた。正直、キョンキョンや菊池桃子に夢中だった頃とは年齢もずいぶんおじさんになって同じようにはアイドルを見られなくなるのはまあ当然と言えば当然のこと。

しかし。一瞬にして心を奪われるパフォーマンスを見て人生が変わる。
それが「サイレントマジョリティ」を歌う欅坂46であり、平手友梨奈だった。
なんだこれ、なんだこの癖になる振り付けは、なんだこの歌詞は、なんでこの子は笑わないんだ、と見る度に気になって仕方なくなり、あっさりファンになってしまった。まさかこんな年でアイドルグループを好きになるとは自分でも驚きだった。

ただ、その情熱は「不協和音」をピークに一気に冷める。ねるや長沢くんや今泉や米さんなどについてまわった部内イジメみたいな話や、てちのメンタルや体調の不安定さから来る腫れ物に触るような雰囲気とかみてるうちに「なんでこのグループを好きになったんだっけ」という感情になった。そしててちの脱退で完全に終了した。二期とか頑張って盛り上げてたりバラエティで活躍する姿をみてももうそれは別の普通のアイドルグループでありおじさんが夢中になれるものではなかった。

けやき坂に興味が移ったのは「けやかけ」で時折対抗戦とかで出てくるこの子たちは何だろうと思えたのと、欅坂のことならなんでも知りたかった時期なので彼女たちの冠番組も一応押さえておこうと「がな推し」を毎週録画しはじめたのがきっかけだ。やがて「がな推し」の方が断然面白くなってしまった。それはオードリーの魅力もあると思うし、ケイマックスの演出もあるだろうがなによりも一生懸命な彼女たちの魅力に惹かれてしまった。気付いたら「欅坂」ではなく「けやき坂」の方のファンになっていた。おひさま誕生である。

大人になってアイドルに夢中になるとは思わなかった。とはいえ、思春期の頃のような向き合い方ではない。皆子供のような年齢なのだ。アイドルというよりはテレビタレントとして見ているという感じだろうか。なのでライブに行くとかもないし(配信では何度か参加した)、ミーグリなどに参加しようとも思わないし、グッズを集めることもなければファンサイトのようなものを立ち上げることも閲覧することもない。単純に「おもしろくて」「かわいくて」「見てて楽しく幸せな気分になり」「歌やふりつけもよく」「なによりも全員集まった時の集合体としての魅力」に夢中なのだと思う。

けやかけでは今泉の天然トークやおバカぶりが好きだった。しかし報道では見事に仲間からいじめられシカトされていたことが伝えられた。すると冷めちゃうよね。やはり。織田奈那だいすき軍団のアピールやアナ雪の替え歌は良かったが、背景にある陰湿なものを知るとなんだか興ざめしてきてだんだん見なくなった。日向坂にはそうした陰湿なものを一切感じないので(存在しないとまでは言わないけど)全員選抜をずっと続けて、もうシングル1位とか紅白だのレコ大だの賞レースもいらないから、ひなたん、ひなくり、けやふぇす、も規模縮小していいから、とにかくいつまでも仲良く笑ってみてられるグループでいてほしかったというのが僕の気持ちだ。選抜制度が導入されたころにヤフコメなどでは「いまのままではダメだから変化は必要だった」「むしろ遅すぎたくらい」だの意見をみたけど、まったくそうは感じてなかったので、ああ世の中のおひさまと僕は大きく期待がずれてんだなと感じた。そうなるとこのままかつての欅坂から引いていったように日向坂からも引いていってしまうのかもしれない。すでに毎回買ってたアルバムやBlu-rayもそれぞれストップしてしまった。まだひなあいだけは見てるけど、外番組までは関連録画されててもみないで消去することも増えた。高校教育講座なんてまさにそう。

大人になって夢中になれるものを見つけたことはいまでもよかったと思ってる。
でもこれから先はまだわかんないな。もうあとひとりふたり辞めたら難しいかもな。ま、先のことはわからんけども。

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