真の「共創」を知りたければ2.5次元を見よう
いよいよ舞台『機動戦士ガンダム00』の2作目まで2か月をきりました。現状を考えるとこの2作目の公演がどうなるかは不透明ではありますが、実施されるように願いを込めて、1年と少し前に初めて2.5次元を体験したときに感じたことを書こうと思います。
かねてから2.5次元には興味があったもののなかなか行く機会がなかったのですが、大好きなガンダムで2.5次元の公演があると聞き、ファンクラブでの先行発売でチケットを取り見に行ってきました。それが舞台「機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build」です。
2.5次元とは
2次元(アニメなどのキャラクター)と3次元(実在する人物)の中間という意味で、キャラクターの模型や着ぐるみ、コスプレ、アイドル声優、これを舞台などで演じる俳優・女優などを2.5次元と呼ぶ。(Wikipediaより引用)
観た感想としては、控えめに言って最高でした。
観る前は「モビルスーツ戦とかどうすんの?」など不安もありましたが、実際観るとそんな不安は一掃されました。
・DVD/ブルーレイ発売時の告知動画
モビルスーツ戦は金属製の台車をゴロゴロと転がして再現しています。
普通に見たら「は?」となると思いますが、私からするとコレで充分です
何故か?
舞台上で起こっていることを元に脳内で再生するからです。いわゆる妄想です。
元々舞台上に18mあるモビルスーツを再現できると思ってませんし、むしろそこを完璧に再現しようとされると、見てる側はおそらくあら捜しを始めますし、きっと興ざめするでしょう。
もう少し詳しく説明すると、例えば、ヴァーチェという大きめのモビルスーツの装甲がパージされてナドレという小さいモビルスーツが出てくるシーンがあるのですが、舞台ではモビルスーツを模した台車が背の高いものから背の低いものに変わるだけです。
こちら(ファン)としては、その時のアニメのシーンをを覚えていて、脳内で再現しながら舞台を見ているので、
「ナドレ出るよ、ナドレ出るよ、、、、出たー!!!」
と勝手に興奮しながら見ています。
また演者さんのことは完全にアニメキャラとして見ています。
もう虚構と現実の境目が分からなくなっています。
「うわっ!今、スメラギ・李・ノリエガと目が合った!!スメラギさん絶対こっち見てた!!」
と勝手に興奮しながら見ています。
結局これも立道梨緒奈さんという女優さんが演じているので、スメラギさん本人ではありません。そもそもアニメキャラだし。
しかし頭の中では現実のスメラギさんとして見ています。
あらためてそのようなことを考えていると、この2.5次元の舞台を観劇して分かったのは、この舞台を完成させてるのは観覧者の脳内なんだということです。
モビルスーツの戦闘があんな台車をゴロゴロやってるだけなんて出来が悪すぎると批判的な意見も一部ではありましたが、これについては、舞台上で起こっていることを元に脳内で完成させる事ができない受け手側の問題であって提供側の質の問題ではないと考えています。
というか製作者サイドも、そもそもサイズの限られた舞台の上に18メートルからあるモビルスーツをリアルに再現できる訳無いと思ってるでしょう。
見た事は無いですが、コレはきっと他の作品もそうで、舞台上でテニスの試合や自転車のロードレースなんてできないので、最終的に完成させるのは観覧者の脳内である事が前提のはずです。
製作スタッフの演出、演者さんの全力の演技を受けて観覧者の脳内で完成させる。コレが2.5次元のあるべき姿だと感じました。
生産者側と受け手側とで共に創る。まさしく「共創」です。
少しだけマーケティングの話をすると、この「共創」というのは、エンターテイメントに限らず、生産者側が提供したもののを受け手の中で価値を完成させるという意味では、商品であっても同じなんじゃないかと思います。
そう考えると、今までは生産者側が圧倒的に情報を持っていて、その情報格差により「もの」の価値をコントロールできていましたが、今では受け手側の方が情報を多く持っているケースもあり、かつ「もの」の価値を最終的に完成させるのが受け手となった場合、マーケターって何ができるのだろうと疑問に感じるようになりました。
と、フワッとした疑問を提示してこの文章は終わりますが、とにかく「共創」とは何たるかが、いまいち分からない人は是非2.5次元の舞台を見てください。
興味のある舞台が無いという方は是非 舞台「機動戦士ガンダム00 -破壊による覚醒-Re:(in)novation」を見てください!
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