新刊「Scratchであそぶ機械学習」を紹介します
本日 2022年7月27日に発売となりました。「Scratchであそぶ機械学習」について書いてみます。(公開が夜になっちゃいましたが、発売日当日に変わりありませんね。)
この本は、石原淳也さん、小川 智史さんとの共著の本となります。監修はScratch界隈でお馴染みのアベ先生こと阿部和広さん。出版社は技術者の方ならお馴染みのオライリー・ジャパンとなっています。(動物のイラストの表紙ではありませんが←憧れますよね)
どんな本なのか
機械学習というのは人工知能(AI)の技術のうちの一つで、機械(コンピュータ)が学習を重ね、そうしたデータを元に未知の状況に対しても結果を出してくれるといったものになります。
AI(エー・アイ:人工知能)研究は昔から行われていますが、近年再び技術的進歩などもあり注目されました。その技術解説であったり仕組みを作る、効率を良くするなど、機械学習の内部や周辺技術の数学的な処理について書かれた本も多いのですが、こちらの本は「機械学習で何ができるの?」といった疑問にお応えできる本だと考えていただいて大丈夫です。
もちろん何ができるかを紹介するだけでなく、読者が自分の手で試せるような解説をしています。プログラミングをするの大変じゃないか?と思われるかもしれませんが、世界中で多くの子どもたちに親しまれているScratch(スクラッチ)をベースにした、Stretch3(ストレッチ・スリー)という環境を使っているため、子供だけでなくどなたにでも機械学習を遊ぶような感覚でお試しいただけるのが特徴かと思います。
Stretch3(ストレッチ・スリー)
Stretch3は共著者の石原淳也さんが管理するオープンソースプロジェクトで、github上で共有され展開されています。
本家のScratchと異なるのは拡張機能の種類の多さで、機械学習系の拡張のほか、ICカードやQRコードの読み取り、IFTTTを使ったWebHookの利用など、一般的に実社会でプログラムを利用する場面で使われるような機能が充実しています。
そして、あたりまえですがベースがScratchと同じですので、プログラムの作り方や使い方も同じです。Scratchを使ったことがある方ならもちろん、これから試してみたいという方でも割と簡単に取り組んでいただけると考えています。(完全にScratchがはじめてという方には、Scratchの入門書や公式のチュートリアルで少し親しまれるといいかと思いますが)
どういった方にお薦めか
どなたにでもお薦めしますが、
AI、機械学習に興味があって用例を触ってみたい
AI、機械学習で何かを作りたくてアイディアがほしい
Scratchはやってみたけどちょっと作れるものに飽きてきた
Pythonなどで書かれた機械学習の解説で挫折した
など広くご活用いただければ幸いです。
特に表紙のイラストやルビを多用している本の雰囲気などから子供向けかなと思われるかもしれませんが、子供にも読んで欲しくてそうしているだけで、大人でも楽しめるのではないかと考えて作りました。
実は2冊目?
この本の発売が発表されたとき前にも似た表紙の本あったよね?という方がいらっしゃいました。そうなんです、2年前に発売した姉妹本が存在します。(実は発売日が決まったときはもう少し以前の表紙に似ていました)
先に発売となったお姉さん本「Scratchではじめる機械学習」は石原淳也さんとの共著で監修は阿部和広さん。こちらの本は作例集的側面もありますがどちらかというと機械学習そのもの(単純パーセプトロンや遺伝的アルゴリズムをScratchで実装したりもします)や、拡張機能で使えるさまざまな機械学習拡張機能のデモを中心とした作りです。
その本を読んでくださって面白い作例をTwitterで公開してくれていた小川 智史さんと合流して、さらに作例を充実させたのが今回の妹本「Scratchであそぶ機械学習」なんです。
順に読まなければいけないとかもありませんしどちらでもお好きな方からお手に取っていただければと思います。
どんどん遊んでみましょう
このnoteを読まれるのは大人の方が多いと思います、子供をもつ保護者であればドキッとする言い方かもしれませんが、「遊び・学び」の違いはなんなのかなどと最近よく言われています。
社会的にも最新のテーマとも言えるAI・機械学習を身につけさせたい、体験させたいという気持ちは「学んでほしい」となるかと思いますが、ぜひ本書を渡すときに「いっぱい遊んでみようね」と誘ってあげてください。
そしてよかったら大人も一緒になって遊んでみると楽しいかもしれません。私は遊びながら学ぶことの多さに興味がありそうした活動をワークショップなどで続けてきました。
本書で扱う機械学習についても、デモンストレーションを見たり、概要を知識で知ることより、難しい仕組みをコードを書き写してみるよりも、Scratchで自分の手で掴みながら遊んでいてその面白さを実感したひとりです。
シェアしてください
実はこの本の企画自体は、先の「Scratchではじめる機械学習」の完成直後から持ち上がり手をつけはじめていました。つまり2年がかりで作ったということになります。
しかしながら、半年、一年と時間が経ちなんとか進めてまいりました。見出しの「シェアしてください」というのは著者の1人である私の個人的なお願いです。
今まで多くのScratchに関連する書籍に関わらせてもらいましたが、そうした書籍の場合「本を見て作りました」とか「Scratchをこの本で始めました」とか、SNSなどオンラインや、イベントなどの対面でそうしたお声をいただいたり、当然Scratchのサイト上で共有された作品が本の作例を組み立てた習作だったというものを見かけることがあり、”本が売れた・読まれている”だけではなく”書かれたことが使われている”と実感する場面に事欠かず執筆の大きなモチベーションになっていたようです。
しかし残念ながらこれらの本で扱うScratchを改造したStretch3で作った作品は、作品を共有する機能はなく、公式サイトにも作品のアップロード・共有はできません。
そうなるとお試しいただいた方がTwitterやYouTube、TikTokなどで「 #機械学習Scratchでやってみた 」と投稿していただくまで知る術もなく「書いても使ってもらえるのかな?」など疑念が芽生え、(プロ失格と言われても仕方ないですが)書き進める手が鈍っていった反省があります。
実際今回は、Twitterで読者と知り合ったり(共著者の小川さんもそうです)、子どもたちが作品を発表するプレゼンテーション大会のコメント役で参加させてもらったり、講師をしている教室に「本を読んだことがあって」と入ってきてくれる生徒がいたりと、一つ一つのきっかけがあって最後まで仕上げられたかなと感じています。
なので試して面白かったら是非、写真でも動画でも、コメントだけでもいいので投稿してみてくださいね。
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