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日本のデジタル広告代理業の闇について


はじめに

株式会社Qooxとして起業して、そろそろ2年になります。

ちょっと前は「なぜ山梨?」「なぜ起業」という質問が多かったのですが、最近は「何の会社?」という質問が増えてきました。

だいたいヘラヘラしながら「インターネット何でも屋です(笑)」みたいな感じで回答しているのですが、

実際のところ、真面目にインターネット何でも屋です。

システム開発、ウェブ制作、マーケティング支援、分析支援などなど、困ってる内容に合わせて企業の支援をしています。

今の所、「プロバイダ選択に困ってる」という相談を受けたことはないですが、相談されたら真摯に対応します(爆)

もっと言えば株式会社Qooxでは「情報格差をなくす」「関わっている人をハッピーにする」をモットーに、困っている人たちを助けています。

今回は、その「情報格差をなくす」に関連して「デジタル広告代理店の闇」について言及したいなと思っています。

デジタル広告代理店にフォーカスしていますが、同じことを他の業界・業種でも同様のことが言えると思います。

また私はGMO NIKKOというデジタル専業の代理店で約4年、Googleで広告主や代理店の支援を約4年経験しているので、それなりに業界のことを分かってると思います。

デジタル広告代理業の闇の入口

情報格差の問題

情報格差とは、情報通信技術の恩恵を受ける人と受けない人の格差のことです。

分かりやすい身近な例を挙げれば「それ、Amazonならもっと安く買えたのに!」というものです。

私が身を投じているインターネットビジネスにおいては、この情報格差による価値の見誤り、正しい価値算出ができていないように感じています。

価値の見誤りによって、委託元の企業は、本来の価値以上の金額を委託先に支払ってしまい、結果的に損をする・価格以上の価値を創出できなくなってしまっているのではないかと思います。

「情弱が情弱であることが悪い」とも言えてしまいますが、それは程度の違いなだけであって、私的にはやってることは詐欺師と変わらないように思っています。

デジタル広告代理業の闇の入口

闇の入口

次に闇の入口として、デジタル広告代理業の収益モデルについて解説します。

例えば1ヶ月の広告予算が100万円だとします。

その場合、日本のデジタル広告代理事業の慣習では、広告配信費用の20%を手数料としているため、代理店に支払う金額が約17万円、そして実際に使える広告配信費用は約83万円になります。

つまりこの17万円が広告代理店に発注する価値(意義)です。

では17万円で、広告代理店はどのようなことをおこなってくれるでしょうか。

  • 広告運用のノウハウを元にPDCAを実行

  • 広告の実績レポートの作成

  • 広告改善・拡大施策の提案

「他にも色々あるぞ!」と業界関係者から色々文句を言われそうですが、実際のところこの3つしか提供していない会社が殆どだと思います。

広告業界ではない人からすると「人月で17万だったら安いじゃん」と思うかもしれませんが、これはフルコミットの金額ではありません。

広告予算が100万円の場合、中堅以上の広告代理店だと業界経験も浅い新人が担当しますし、実態は定型化されたレポートと、特に代理店の色もない媒体機能の提案程度しかしてくれません。

実稼働時間で言えばせいぜい10時間程度、時給換算すると1万7千円になります。

更に言えばデジタル広告における主要媒体であるGoogleやMetaでは、自動入札やAPI提供によって、ほとんどの運用・レポート業務が自動化することができます。

にも関わらず「私たちのノウハウで~~」とか偉そうに語りながら毎月17万円取られるんです。

中には「広告代理店を変えたら成果が上がった!」と実感している人もいるかもしれませんが、それは前の代理店がきっと何もしてくれなかっただけだと思います。

やることは変わらないのに手数料は高くなる

もう少し問題点を上げると、広告代理店への手数料の支払いは「広告配信費×◯%」です。先述の通り、慣習では20%です。

つまり広告予算が100万円だと手数料は約17万円、広告予算が1,000万円だと手数料は170万円になります。

では広告代理店としてやることは変わるのか?

答えはNoで、やることは何も変わりません

確かに100万円ではなく1,000万円を使うとなると、広告媒体を増やす必要性も出てくるため、管理工数は少しだけ上がるかもしれません。

どちらかというと広告費を毎月1,000万円使うような広告主の場合、定例会が週次であったりするので、その報告資料の作成にかける時間が増えます。

つまり多くの広告主は、代理店にレポート費用を払っているようなものです。

それでも、せいぜい多く見積もっても月の稼働時間は30時間程度、時給換算すると5万円を超えました。

このように、代理店としての価値はかなり限定的であるにも関わらず、何故か日本においては「広告費用×◯%」というお金の取り方をし続けているのです。

デジタル広告代理業の闇

さて、デジタル広告代理業のビジネスモデルが歪なことは理解していただけたと思います。

冒頭の話とようやく合流するのですが、デジタル広告代理店は情弱に対して、更にひどいことをしてきます。

今回はそのケースを3つ紹介します。

  • 内掛け・外掛け

  • 媒体ディレクション費

  • 運用状況の非開示

内掛け・外掛け

これはあるあるなのですが先ほど100万円の広告予算の場合、手数料は17万円と説明しましたが、これは内掛けの場合です。

内掛けの計算式は以下です。

広告予算 ÷ (1 + 手数料率) = 広告配信費用
広告予算 - 広告配信費用 = 代理店手数料

予算100万円、手数料20%の場合、以下のようになります。

100万円 ÷ 1.2 = 83.3万円(広告配信費用)
100万円 - 83.3万円 = 16.7万円(代理店手数料)

一方で、手数料計算には外掛けという概念が存在します。

外掛けの計算は以下です。

広告予算 × (1 - 手数料率) = 広告配信費用
広告予算 - 広告配信費用 = 代理店手数料

予算100万円、手数料20%の場合、以下のようになります。

100万円 × 0.8 = 80万円(広告配信費用)
100万円 - 80万円 = 20万円(代理店手数料)

同じ「手数料20%」でも、内掛けの場合は約17万円、外掛けの場合は20万円になりました。

ただこれはあくまで計算方法の違いなので、内掛け・外掛け自体は大きな問題ではありません。

問題はこの内掛け・外掛けが説明されていないケースがあります

これこそ情弱につけ込んだ悪質な取引です。

「外掛け20%」は「内掛け25%」と同じです。にも関わらず、手数料を安く見せるために「外掛け」ということを隠して「手数料20%です」と説明する代理店は少なくありません。

代理店選びの際は、必ず内掛けか外掛けかを確認するようにしましょう。

媒体ディレクション費

これは出稿金額が少ない広告主の場合のあるあるです。

「媒体ディレクション費」という謎の費用を取ってきます。まぁ手間賃みたいなもんですね。

別にこれも良いっちゃ良いと思います。例えば広告費が20万円の場合、手数料は内掛けで3万4千円です。これだと流石に代理店もキツイと思います。

なので通常の手数料とは別に、固定で3~5万円程度で「媒体ディレクション費」を取ります。うん、分かります。

問題は、この媒体ディレクション費を取りたいがあまり、数十万円程度の広告費なのにも関わらず何媒体も運用しているというケースがあります。

例えば私が実際に相談を受けたケースだと、広告費は月50万円で、なぜか4つの媒体で運用されており、4媒体分のディレクション費がかかっていました。

内掛けの手数料換算をしたら30%を超えていました。

これも情弱につけ込んだ悪質な手法です。

はっきりいいます。広告費50万円以下はGoogleだけで大丈夫です。(商材によってはInstagramを足してもOK)

リスティング主体であればYahooやBingを足すことを検討しても良いのは、広告費が100万円を超えてからで良いと思います。

酷いところだと、同じGoogle広告なのに、リスティングとディスプレイでディレクション費を請求してくるところもあります。

もちろん先述の通り、広告配信費が少なければある程度そのような手間賃を取っても良いと思っています。

しかし世の中には広告主の成果拡大を考えず、自分たちの利益だけを考えて無闇矢鱈に配信媒体を増やしたがる代理店がいるので注意しましょう。

アカウントの所有権

「全然成果が上がらない…」「本当にこの代理店は運用してくれているのだろうか…」

そんな疑念から、いっそ代理店を変えてみようと思った人は多いと思います。

しかし、その時に直面する問題がアカウントの所有権問題です。

Googleを始めとする主要媒体は、広告アカウントの移行をすることが可能です。

広告アカウントの移行をすれば、現在の運用状況のまま、他の代理店に引き継ぐことができます。

しかしながら、殆どの場合、代理店は「アカウントの所有権は代理店側にある」と説明し、この引き継ぎをしてくれません

その時の決まり文句は「我々のノウハウが流出してしまうので~~」です。

ハッキリいいますが、たぶんその独自のノウハウにしがみついている代理店は殆どがノウハウを持っていません

というか、効果が劇的に変わるノウハウなんてもうありません。

なんなら以下の記事で紹介したような基本を分かっていない運用者だらけです。

まぁただこの決まり文句「ノウハウ」を言う理由は他にもあって、それっぽい理由をつけてアカウントを引き継がせたくないという場合もあります。

なぜ引き継がせたくないのか。それはイチからアカウントを作り直すと初動で効果が悪くなるからです。


整理すると、アカウントの移行に前向きではない代理店は2パターンいます。

  • 本気で自社のノウハウが詰まったアカウントと勘違いしている代理店

  • ついさっきまでは「御社のために~~!」とか言ってたのに、リプレイスの危機に瀕した瞬間に効果悪化を望む代理店


本当に広告主のこと考えるんだったら、素直にアカウントの移行を手伝えよって私は思います。

ちなみにこのアカウントの所有権問題は、しっかり契約書に記載されていることが多いので、契約時点できちんと確認するようにしましょう

アカウントの所有権が広告主側にあれば、代理店も素直にアカウント移行してくれると思います。

また、代理店に運用を任せる場合は、しっかりアカウントの管理者権限ももらいましょう。

実際のところ

「代理店は糞だ!」と言いたいわけではなく、「代理店業における価値の決まり方があまりにも杜撰だ!」と言いたいのです。

そしてその杜撰さに乗じて、悪い代理店たちは、広告運用のことをよく分かっていない人たちからムシり取ろうとしているような状況を悲観しています。

実際のところ、100万円の広告予算に対して17万円の手数料が妥当か妥当じゃないかは未だに答えを出せていませんし、それは各広告代理業を営んでいる企業の経営状況によると思います。

ただ今回紹介した「内掛け・外掛け」「媒体ディレクション費」「アカウントの所有権」問題は、個人的にはあまりにも悪質だし、業界のイメージも悪くしているので本当にやめていただきたい。


あとは週次で定例をしたくなる気持ちも分かるけど、広告運用に閉じた話で週次定例やってもそんなに変化ないからMTG時間を15分~30分程度にするか、隔週にしましょう。

仰々しくメールとか使わずに、Slack使いましょう。

で、お前の会社はどうなんだ。

株式会社Qooxで受けている運用は、すべて内掛け手数料10%以下です。2%で請け負ったこともあります。(広告費用が多かったので)

その変わりレポートは自動化されたもの、定例は殆どやっていません。

定例をやるケースは広告運用以外の仕事も受けている場合です。SEOとか、DXとかそのあたりですね。

また定例をしていなくても、「ちょっと喋りたい!」と言われたらいつでもMTGをセットします。

一番時間がかかる「報告資料」を殆ど作成していないので、この手数料でやれています。

小ぶりな案件が多いので殆どが10%で統一しているのですが、もう少し大小バリエーションが増えてきたらどこかで手数料を固定にしたいところです。(500万円以上なら50万円固定、みたいな)

社員を増やしてもこの手数料のまま取引を続けられるように仕組みづくりを頑張りたい所存です。

ということで、最後に宣伝です。

株式会社Qooxに運用のお願いをしたい、という方はぜひらご連絡ください!

info@qoox.co.jp


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